開業医の正体 患者、看護師、お金のすべて (中公新書ラクレ 809)

  • 中央公論新社 (2024年2月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784121508096

感想・レビュー・書評

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  • 軽い気持ちで読み始めたのだが、これが意外に面白かった。
    正直でフェアで好感の持てる著者である。
    自分のことをビビりでいわゆる「繊細さん」だと言う。ここまで自己開示する医師ってそうそういないような?

    看護師との関係性など、なるほどそういうことだったのね、と納得。開業するのって資本金ほとんど要らないなんて!専門のコンサルにお任せしているっていう世界。
    なるほどなるほど。
    (どこにでもコンサルって今はガンガン入ってくるのね。この件に関しては、うーん…。いろいろ思うところはある。そういう種類の「仕事」もあるとは思うけどね。)

    理念はちゃんとあるのに、自分の弱さをさらけ出してくれるこんな医師が主治医だったらいいな。最近ホームドクターにしていた医院が高齢のために閉院してしまい、次の主治医を探さなくてはいけないのだが、参考にさせてもらおう。
    でもこんな人なかなかいないよね。

  • 私は子供の頃に体が弱く、頻繁に医者に掛かっていた。一患者としては、予約を取り、具合が悪い中を待った結果、納得のいく診察と薬の処方を頂くための、たった数分の真剣勝負である。ところが先生から「しばらく様子を見ましょう」「原因が分かりません」などど言われると、不安になるし、時にはイライラしてしまうもの。正直「こいつ大丈夫か?」と思いたくなるもの。

    全ての先生に当てはまるか分からないが、医師の方も、短時間で真剣勝負をしていることが分かった。「様子見、原因不明、ストレスが原因」という言葉も、真剣勝負の結果、やむなく発せられる言葉なのだろう。筆者のように、ここまで自分の弱みを自己開示してくださり、真剣に考えてくださるのであれば、自分の子供を長期間委ねてみたい気持ちになる。

    また、人間の体、特に成長著しい子供の身体は神秘そのものであり、成人内科の類似範疇ではない、小児科の特徴を少し学ぶこともできた。
    開業にかかる手続きやマネタイズも紹介されていて、勤務医とは異なる、起業家、経営者としての側面も興味深かった。

  • 普段知ることのないことを知れて、興味深かったです。
    医者のリアルと本音が面白かったです。自分にとって良い医者とは何かを考える良い機会になりました。

  • 主治医を決め、決めたら信じてみること。
    それが医師と患者のいい関係の基本になる。
    何かあったら来てください、今はわからないが熱が下がらなかったら絶対もう一度来て、の意味だとは知らなかった。めんどくさい、来ないで、の意味だと思っていた。これは知らなかったら分からない。そういう医師の気持ちをもっと知りたいと思った。

  • いま快調に売れているようだが、それもうなずける、大変よくできた本である。

    クリニックを開業して18年目の著者が、開業医という仕事の舞台裏を赤裸々に綴っている。
    タイトルから連想されるような暴露本ないし告発本的な色合いはなく、真摯な内容だ。

    著者は作家兼業の医師で、小学館ノンフィクション大賞に輝き、『1文が書ければ2000字の文章は書ける』という文章術の著書まであるほどだから、文章がうまい。
    ゆえに、本書は実用書的な側面もありつつ、エッセイとしても読み応えがある。

    一例を挙げれば、最後の項目「開業医が虐待を発見したとき」は、見事な一編のエッセイになっている。

    それでいて、実用書的な機能もきっちり果たす内容になっている。

    開業医を目指す人にとっては最高の「開業入門」になるだろうが、それはまあ、読者のごく一部だろう。

    私も含めた大部分の読者にとっては、かかりつけの開業医との賢いつきあい方を教えてくれるという意味で実用的なのだ。

    「患者学」という新しい学問分野があって、それは医療者と患者が互いについて学び合うものなのだそうだが、本書も一般向けの「患者学」の試みだと思った(ただし、本書に「患者学」という言葉は出てこない)。

    著者は昨年、『患者が知らない開業医の本音』(新潮新書)という本を上梓しており、私はそちらも読んだ。
    テーマが重なり、同じ新書というフォーマットでもあるので、ヘタをすれば二番煎じになりかねない。
    しかし、著者はエピソードの重複を避け、2冊をきちんと書き分けている。その点も誠実だと思った。

  • 千葉大学の小児科でがん治療に関っていた、バリバリのエリート外科医が、開業して町医者になったお話。開業医の内輪話がなかなか面白い。両方経験して、どちらもの大変さ、やり甲斐を感じているようだが、凄腕外科医が、開業して、風邪だの胃腸炎だの、軽症の患者さんを診ているだけでは、ちょっと勿体ないなあと思った。

  • なるほどなぁと思いながら読んだ。

    大学病院時代、病気になり勤務医を退職したこと、クリニックの立ち上げ、電子カルテの作り込み、クリニックでの診察あれこれなどなど。

    すごく実直に文章を書かれていて、医師目線でのとらえ方が読んでいて新鮮だった。

    面白かったのは松永先生が自身のことを「ニコニコした医者ではない」と言っていたこと。それまで勝手に想像していた先生像を裏切るものだったが、かえってその飾らなさが好感を持てた。

    風邪に抗生剤は不要なこと。開業医でも診断のつかない病気はあること。しかし、患者が危ないのかそうでないのかを判別することが大事だということ(6日間熱が下がらなかった1歳半の子の例)。

    先生の考えがよく分かり共感できた。もし近くに住んでいたら行きたかったなと思った。

  • 何冊か書いてらっしゃるのか。寡聞にして、存じ上げなかった。
    読みやすい文章で好感。
    小児外科医で、大学病院、一般病院の勤務と、開業医の違いも含めて披露していただく。もちろん、一番気になる収入の辺もそうだが、この先生が、ご本人の著を信じれば「算盤より仁」であるのだけど、それでも一般ピーからすると色々違う。まあ、命預かってるし当然の報酬と思いながら、そこまで使命感持ってやってる人と、そうでない方、ここはどう見分けるのだろう。

    若い先生は、患者志向、みたいに仰っている点もあったと思うが、最近あった先生の、患者を症例としか見ない感じもあって、人それぞれだと思った。

    開業するときの苦労、特に人を集めるところとか面白かったな。
    かかりつけ医の大事さも理解出来たと思うが、かかりつけ医がクソかどうかなんか患者側からしたら全然分からないわけで、一旦決めたら信じろみたいなのはどうか。
    そんな、理想的な駐在さんみたいな先生、どんだけおるの。

    その辺が、医師が信じられてないところだと思う。

    信じられるかどうかすら分からないのに信じないとしょうがない患者の気持ちもわかって欲しいのだ。

    個人的に色々あって。

    開業医の仕事は、診療ではなく診断、という言葉は至言。

  • なまなましいことはあまり書いていないが、アウトラインはわかるかも。

    払ってもいい金額:600円
    貼った付箋の数:2

  • タイトルから想像した内容は、
    親の金の力で私立の大学に入った後、開業医になって薬漬けの処方箋を出す…そんな暴露本で、その見分け方や対処方法であったが、全く違ってた。

    開業医の皆がこの著者のように考えてくれているのであれば良いと思うのがだが…

    本の帯に「良い医者」とめぐりあうための必読書とあったが、ほとんど医者通いのない自分には、初めて出会う開業医がどうなのかを判断するよすが(方法)が欲しかった。

  • 開業医である著者が、勤務医と開業医の働き方の違いや、開業に関わるお金の話などについて、赤裸々に書いた本。医師の働き方や懐事情等、普段知る機会がないような話が書いてあるのは興味深かった。また、医師が患者に求めることや、薬の使い方、子供に関するケガ、病気の話等、参考になる話も多かった。

  • 外科医よりだが、医師の実情がとても分かりやすく記載されている。子供持つ親視点としても面白い本。

  • クリニックを受診している全人類に読んでほしい。

    医療従事者として読了。
    どこの医師も考えていることは同じ。
    専門家と非専門家の知識の差から生じるトラブルやジレンマが赤裸々に書かれています。

    患者が読んでどう思うのかと不安になる記述もありましたが、他の方々の感想を拝見すると、さほど問題ないようで、非常に面白いとのこと。

  • 千葉大医学部を卒業後、小児外科医となり、大学病院勤務後、現在まで17年間、開業医をしている著者がその舞台裏を赤裸々に語る。
    クリニックを開業する際の資金の工面、開業医の生活ぶり、患者との距離感、診察しながら考えていること、看護師に求めることなど、興味深い話が満載だ。
    特に興味を引かれた点を以下に列挙しておく。
    ・開業の際の資金調達には、医療に特化したリース会社があり、開業コンサルタントも引き受けてくれる
    大家にクリニックを建ててもらい、借金を返していく「建て貸し」という方法もある。
    ・電子カルテは業者から買うより、中身やひな形を自分で「作る」べき。
    ・開業医にとって最大のストレスは重症患者の受け入れ先が見つからないとき
    ・セカンドオピニオンは自由診療であり、保険は適用されない。
    ・風邪に抗生剤は有害無益。体内に耐性菌が増え、将来危うくなる。
    ・年収平均は病院勤務医が1479万円、法人の開業医が2530万円、個人開業医が2458万円
    ・患者が医者を選ぶときに見極めるポイントは「医療」だけではなく、家族の悩みに答えてくれ、家族を支えてくれること。
    ・子どもの診察で、虐待らしき外傷を見つけても、児童相談所への通告は、親との関係が悪くなったり、それを断ち切ったりすることになるので難しい。

    開業医の診察を受けるときは、他の患者も待っていることから、病気の原因、薬の効能や副作用などについて、腑に落ちるまで聞けないことが多い。また、開業医ともっと親しくなりたいと思うこともある。
    そんな自分が、いくぶんでも開業医との距離を縮められる話が書かれているのかなと思い読んだ本である。結果的に、あちこちに経験談やホンネが書かれており、それなりに面白かったが、専門が小児科であり、大人の患者の診察に関する話題が少ないような気がした。

  • 開業医の正体というタイトルに惹かれて、手にとりました。
    患者、看護師、お金の全て、この先生の感じていることをキチンと書いてくれていると思いました。
    とても患者を大切にされる良い先生ですね。
    興味深い本でした。

  • 小児科医で開業医をしている方の開業にまつわるあれやこれや、これまで診てきた患者さんとその親御さんたちの話、一緒に働いた看護師の話。などなど。

    この人の別の本を読んで面白かったのでこれも読んだ。かかりつけ医との関係か〜。かかりつけ医なあ……いるけど……モヤっとすることもなくはなく……でも情報は一箇所に集約した方がいいよなあと思って変えずにいるけど……予約問題なあ。予約朝イチで待機してないと絶対とれなかったりするの、マジ途方に暮れる。まあさあ、幸いそんな大事になったことはないんだけど……難しいなあ。

  • N049

  • 対人説明なんだな。すごい。

  • ほんのタイトルが気になって読んでみました。
    開業医の先生のことが少しわかった気がします。
    厳しくとも、こんなふうに子供や親のことも考えて下さる先生なら安心です。
    色々な患者がいる一方で、色々な先生もいますので、1例として参考にできる本でした!

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著者プロフィール

1961年、東京都生まれ。87年、千葉大学医学部を卒業し、小児外科医となる。
2006年より、「松永クリニック小児科・小児外科」院長。13年、『運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語』(小学館)で第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞。19年、『発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』で第8回日本医学ジャーナリスト協会賞・大賞を受賞。
著書に『小児がん外科医 君たちが教えてくれたこと』(中公文庫)、『呼吸器の子』(現代書館)、『いのちは輝く わが子の障害を受け入れるとき』(中央公論新社)、『小児科医が伝える オンリーワンの花を咲かせる子育て』(文藝春秋)、『発達障害 最初の一歩』(中央公論新社)などがある。 

「2020年 『どんじり医』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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