論破という病 「分断の時代」の日本人の使命 (中公新書ラクレ 834)

  • 中央公論新社 (2025年2月7日発売)
3.71
  • (11)
  • (12)
  • (4)
  • (4)
  • (3)
本棚登録 : 214
感想 : 13
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784121508348

作品紹介・あらすじ

自分と異なる意見を持つ相手を「敵」と認定し、罵りあうだけでは何も解決しない。今必要とされているのは、「メタ正義感覚」だ――。日本に放置されているコミュニケーション不全に対し、対立する色々な立場の間を繋いで成果を出してきた〝経営コンサルタント〟の視点と、さまざまな個人との文通を通じ、社会を複眼的に見てビジョンを作ってきた〝思想家〟の視点を共に駆使し、新しい活路を見いだす。

 堀江貴文氏失脚に象徴的な日本の「改革」失敗の本質的な理由や、日本アニメの海外人気が示唆するもの……などをひもとくことで、「グローバル」を目指して分断が深まった欧米とは異なる、日本ならではの勝ち筋を見つけ、この20年の停滞を乗り越える方策を提示する。

 また、明治神宮外苑再開発問題、再エネvs原発の電力問題、川口市のクルド人問題、歴史認識問題――現代の具体的な課題を元に、解決に向かう考え方を示す。

 あらゆる「絶対」が無効化し、混迷が深まる多極化時代の道しるべとなる1冊。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今年一番。ここ数年のリベラルの大敗北や改革の停滞の理由を紐解く本が各方面(訂正可能性の哲学、公正を乗りこなす、企業変革のジレンマ)から出ていますが、より噛み砕いていて実践的で解像度の高い本。水と油のエマルジョン、新しい公の概念を作ろう、ディスっていないでリーンイン。初老ですが自分も諦めずに実践せねばと思いました。

  • 大居さんから教えてもらった本。
    論破と言うことが流行っていて、分断の時代であるが、もっと建設的なことを議論しようよと言う前向きな本。例えばA対Bと言うディベート形式の論法がSNSでは繰り広げられているけれども、AもBも正しいだけど、AもBも間違っている。だから、Cと言う代替案を出そうということが求められている世の中であると言う内容。

    なので、一方的に〇〇がダメであると言うことを言うのではなくて、ここは良くないけど、こうしたら良くなるんじゃないかだったり、こういう見方ができるんじゃないかと言うポジティブな面を探そうと言う点で、社会においても会社においても家庭においても、応用が効くような内容であった。

  • 主張は共感、その通り
    でも全体的に説教くさく感じたのが残念(個人の好みだと思います)

  • 日本の働き手は末端まで〝自分の仕事〟に対する責任感が強すぎて、外部が介入するのをとにかく嫌がり、共通したシステムを入れて全体として合理性が生まれることに、強烈に必死に命がけで抵抗する傾向があるのです。

    自分も当てはまる気がします。でもこれ、全体して合理性が生まれることが納得できる前提があってこそだと思います。とりあえず新しいもの、導入しさえすれば成果になるもの、となると、それは合理性を追求したものとはいえず、今まで現場で積み上げてきたもののが却って効率的に感じて、反発を生むような気がしました。

  • 昭和の時代から日本人は議論をしてこなかった。
    現在、論破という言い負かすことで議論の体を成しているふりをしている。
    論破は相手の意見を汲み取っているように見えて、どう言い負かすかしか考えられていない。

    →必要なのは、相手の言ってることではなく相手の存在意義にと向き合うこと。
    =メタ正義感覚と著者は称している。
    (相手の言っていることの背景)
    相手の正義を尊重すれば自分が我慢する必要も無くなる。

    現代日本に置き換えると…
    平成の今が良くないからとにかく改革だ!
    という言い分を聞いてこなかったからこそ、
    いい意味でも今の日本がある。
    (もっとアメリカのように!と言っていたら、都市の真ん中でドラックが蔓延したり、失業率が上がっていたかもしれない)
    だが今の論破をする風潮から脱して、建設的な議論をしていくフェーズになっている。

    今の日本が変われない理由
    ・自分は世界の半分しか代表してないという謙虚さの欠如
    →多様性を超えた連帯という部分に目を向けてこなかった。
    しかし日本ではエンタメという分野においては他国よりも秀でている。
    (アメリカの一面的なヒーロー像に対して、日本では多様化)
    ・一分野に特化してコツコツ技術を磨くことには長けているが、臨機応変な対応と切りかえの能力が乏しい。
    →無理に切り替えなくても多くを巻き込み協業路線に切り替えれば上手くいく可能性は高い

    もっと論破に至る背景とかその辺を知りたい気もしたが、そこにはあまり触れない感じなのか。
    日本社会の在り方や課題への向き合い方に関することともっと論破を結びつけて欲しい

  • 大体はそうだよなと思う意見だった。
    水と油の世界という表現で、いわゆるコミュニティ重視派と個人重視派がどうやって折り合いをつけて、お互いの共通項を見つけていくかということが書かれていて、今のすぐ敵か味方かみたいな二元論にいきがちな世の中に必要な考え方かなと思った。
    これは個人レベルでも実践できることもあると思う。

  • ふむ

  • 【本学OPACへのリンク☟】

    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/728469

  • 思ったような本ではなかった。
    立ち読みするときにもう少し読んでみてから購入すれば良かった。
    決して本が面白くないと言っているのではありません。
    私には合っていないということです。

  • 私の読解力の低さゆえか、何が言いたいのかよく分からなかった。ただ作者がマッキンゼーで働いて、その後社会勉強のためいろんな職を渡り歩いて今は中小企業のコンサルでそこそこ稼いでるということは何回も出てくるので理解できた。

  • 東2法経図・6F開架:B1/5A/834/K

  • p25 「我々善人たちの敵」を徹底的に打倒しさえすればすべてうまくいく、という20世紀型の妄想から目を覚ます必要がある そういう議論から脱却し、政敵ではなく「問題そのもの」と向き合うのが21世紀の、”令和”の議論の大選定となります。

    p29 今は昭和の議論と平成の議論の両方から遠ざけられ孤立無援になっている、具体的な課題と向き合って解決策を考えている人を真剣に迎えにいき、社会で共有できるようになっていかなければなりません・

    p32 イデオロギー的な敵=政敵を論破することではなく、協力し合って具体的な問題解決を行うことこそが、令和の目的となるべきである

    p38 相手の言っていることではなく、相手の存在意義と向き合うこと

    p42 メタ正義感覚は足して2で割った妥協案ではない

    p45 どれだけ相手のニーズを汲み取った提案ができるかの競争

    p46 相手の正義を尊重させすれば、自分の側の正義を我慢する必要がなくなる

    p47 日本人の組織は、現場レベルの人もある意味で過剰なまでにg当事者意識のあることが多いので、無理やりゴリ押しすると、会社の規模にもよりますが時々「勝手に現場が方針をスルーして実行されない」ということすら起きます。

    p61 まず認識自体をメタ正義的な観点で捉え直さなくてはならない

    p65 グローバル経済に開かれるとは、格差が拡大し、社会が病むことである

    p85 ほっていても頑張れる人というのは世の中に一握りだけであり、ほっておいたら果てしなく堕落しちゃう人を、無理なく一つの目標に向かわせるための有象無象の仕組みが社会には必要

    p105 油の世界の価値を全否定しようとすると、今の欧州の極右勢力やアメリカのトランプ派のような形で反撃をうけるようになるには確実です

    p106 なんとなくの縁を維持するためのおせっかいをいかに保全するかが、油の世界のパワーを排除しないために大事なこと

    p118 競争のやり方が変わってしまった ドラクエ型からエーペックス型へ FPS ファーストパーソンシューティング

    ドラクエ型 一か所でとにかく地道にレベル上げをしていれば、そのうち無双できる

    FPS型 一瞬で作戦を変更して位置取りを調整しながら次のアクションを起こしていく

    日本はドラクエ型ではまだ世界一 自動車、スマホの部品、半導体製造の特殊な機械、化学製品

    FPS型 スマホ、ソフトウエア、家電

    日本の技術は世界一、できないことはないと無邪気に誇っている状況では徐々になくなっている

    p124 うちわで固まって、密度高く延々地道にやっていれば勝てる戦いではなくなってしまった

    ドラクエ型できっちり取り組むことが勝利の鍵である分野は残り続けるし、日本としてはそこの強みを崩壊させないようにすることも大事だ

    p139 日本の働き手は末端まで、自分の仕事に対する責任感が強すぎて、外部が介入することをとにかく嫌がり、共通したシステムを取り入れて全体として合理性が生まれることに、強烈に必死に命がけで抵抗する傾向があるのです

    自前で作ってうまくやったのが、ユニクロ、ヨドバシ

    p143 自前で作ってしまう 神奈川県秦野市 老舗旅館 元湯陣屋 陣屋コネクト

    p144 ダイニー 飲食店でスマホから注文するアプリ
    現場に奉仕する文化で作り込んだシステムを世界に展開する

    p167 高杉晋作 人は艱難をともにすることはできるが、富貴は共にできない

    p169 単に水の世界のオープンさを称えてそれに反対する存在をばかにするのではなく、水の世界のオープンさを保護し、容認できるだけの揺るぎない油の世界の安定、その2つをどう両立させればいいのかを考えていくことが、日本経済全体の再度の隆盛をもたらす上で避けて通れない課題となるのです

    p170 いまのグローバル経済は、オープンなようで、実は特定のタイプのアイディアしかのせられなくなってきているのではないか?

    p185 岸田内閣 中堅企業という法的区分を作った

    p187 ノーベル賞 コールディン ある程度規模が大きくなり、システム化標準化が行われた業界ほど、男女の給与差はすくなくなることがわかった

    p213 日本においては公に対して無理難題をあくまで非妥協的に言い続ける私であることが、なにか妙に高尚であるかのようにイメージされてきてしまった不幸がある

    p215 梅田駅北部の再開発 グラングリーン大阪
    地域一番の一等地に広々とした自由に座れる緑をつくって剛毅なプランで、賞賛に値する

    p234 日本が一番危険だったのは平成中期頃2002年であり、その時期に比べると今の日本はたった1/4になっている。これは主に犯罪を犯しやすい若い人口が減ったことが原因

    p249 倉本圭三x橋本直子対談

    p251 (移民をできるだけ少なくしたいのであれば)同時に自動運転やロボット導入などの省力化技術への投資を真剣に呼びかけてほしい

    p252 少しづつ受け入れ、毎回ちょっとしたズレでも大騒ぎしながら共生策をつんでいくプロセスを丁寧にやっていけば、あるレベルまでの外国人受け入れはメリットの方が大きい

    p260 板谷俊彦 日露戦争、資金調達の戦い

    p268 3BlueBrown チャンネル 深層学習の仕組み

    p280 サステナフォレスト 森の国の守り人たち

    p283 ひとつひとつの課題の本当の難しさに向き合い、丁寧にメタ正義的解決の種を育てていかないと、結局正義の私達と、私利私欲のために暴虐を尽くす敵という20世紀型ファンタジーに逃げ込み、アイツラを打倒しさえすれば、という妄想の中で延々とバトルをするだけで、現実的な課題はそのまま放置され続けることになってしまうのです

    p286 思考の空中戦に懐疑的でも、実際に現場にへばりついて毎日暮らし、そして一歩でも良い方向に動かしていこうとしている人こそがエライのだという価値観を我々は取り戻さなくてはいけません。
    両者の言い分を聞き、現場レベルの詳細な事情を汲み取り、しだいに束ねてメタ正義的解決の種に育てて行くような人々こそが、これからの時代の本当の正義の存在なのです

    p288 理想と現実のズレを減らしてゆく、本当のたたかい

    p315 タイムマシン経営が徐々に機能しなくなっている

    グローバルにまあまあ戦えているのはスマートニュース、time tree

    なめらかな社会とその敵 PICSY・分人民主主義・構成的社会契約論

全12件中 1 - 12件を表示

著者プロフィール

1978年神戸市生まれ。兵庫県立神戸高校、京都大学経済学部卒業後、マッキンゼー入社。国内大企業や日本政府、国際的外資企業等のプロジェクトにおいて『新しい経済思想』の必要性を痛感。その探求のため、いわゆる「ブラック企業」や肉体労働現場、カルト宗教団体やホストクラブにまで潜入して働く、「社会の上から下まで全部見る」フィールドワークののち、船井総研を経て独立。中小企業のコンサルティングで『10年で150万円平均給与を上げる』などの成果を出す一方、文通を通じた「個人の人生戦略コンサルティング」により幅広い「個人の奥底からの変革」を支援。著書に『21世紀の薩長同盟を結べ』(星海社新書)、『日本がアメリカに勝つ方法』(晶文社)、『「みんなで豊かになる社会」はどうすれば実現するのか』(amazon Kindleダイレクト・パブリッシング)など。

「2022年 『日本人のための議論と対話の教科書 - 「ベタ正義感」より「メタ正義感」で立ち向かえ -』 で使われていた紹介文から引用しています。」

倉本圭造の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×