君主論 (中公クラシックス W 2)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121600028

作品紹介・あらすじ

道徳の仮面を剥ぎ、政治独自の運動法則を鋭く見抜く不朽の書。

感想・レビュー・書評

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  • これで『君主論』を読むのは二度目になる。ほかに『君主論』を解説する本も読んだ。やっと腑に落ちた。

    一般的には悪徳の書と言われているが、ビジネスマンに必読の経営書と言えよう。

    やってはいけないことの教訓として以下のことが挙げられる。これらは、現代のビジネスシーンにでも当てはまるのではないだろうか?

    ・自国軍を持たずに、傭兵や他国の支援に頼ること。
     →自社の社員の成長に責任を持てという戒め。
    ・中立すること。
     →戦略のない経営に対する戒め。

    『君主論』を難解にしている理由は、群雄割拠状態のイタリアの歴史にある。日本の戦国時代と同様、中世イタリアも栄枯盛衰が激しい。

    本書は巻末に重要キーワードの索引が設けられており、後から参照するのにとても助かる。例えば、「中立」を探すと、ページを指し示す以外に「決断力のない君主は中立を選ぶ」という要約も載せている。

    のちほど文章を推敲しなおし、再度ブログにアップする予定。

  • 岩波文庫よりもズーーと読みやすい。内容をよく理解できる日本語。
    学術的な関心よりも内容に関心のある人はこちらがオススメ。

  • 塩野七生さんの影響で、かなり昔に読んだが、アーレントの「革命論」を読む準備で、あらためて読んでみた。

    マキャベリは、「目的は手段を正当化する」という考えということに一般的にはなっているのだが、かならずしもそういうものではない、という理解にもとづき読み始めた。

    なるほど、直接的にはそう書いてないけど、そういうふうに読めるというのは、その通りで、あながち間違った解釈でもないと思った。

    この中公クラシックの特徴として、訳文はだいぶ昔のものであっても、本文の前に新しい解説がついていて、これがなかなかによい。

    この「君主論」でも、結構、新しい研究成果、つまりかなり細かい文献調査を踏まえたところでの解説になっていて、とても面白かった。

    内容的には、君主たるものいかに国を治めるのかということより、新しい国をつくること、他国に侵攻して、そこをいかに支配するか、みたいな話が中心。

    となると、今、ウクライナで起きていることが思い浮かぶわけで、結構、生々しい激しい議論だなと思った。

    時代背景的には、イタリアが都市国家であるのに対して、フランスなどがより大きな国としてまとまり、このままでは、イタリアは他国の支配下におかれるという危機感がある。

    そのためには、イタリアを統一することが必要で、そのためには、残虐で冷酷な行為もときには必要であるということなんですね。

    この本の最後はこの本をささげられた方への檄文で終わる、ここがすごいな〜。

    そういう文脈なので、これはマキャベリの思想の全体ではなく、他の本ではより民主的なものもあるようである。

    が、この「君主論」のインパクトは大きいな。

  • 歴史的背景を知らないとなかなか頭に入ってきませんね

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 君主論は「マキアヴェリズム」として長い間攻撃されてきた。

    しかし、真のリーダーがいない現在は含蓄のある言葉が並んでいる。

    国家・人をよく観察し、具体論を展開していく内容は本気で国の将来を心配し、苦言を呈しているのがよくわかる。

    悲しいほどの現実主義であり、大いに参考になる。

    でも、いい人と見せたい自分との乖離がある。

    自分を悪く見せても結果を出す、この危害が重要なのであろう。

  • 目からウロコが落ちまくること請け合いです。含蓄に富む言葉の数々。悩んでる人はもちろん、悩んでいない人にも。人生で、この本に出会えた人は、幸せかもしれない。そうおもわせる内容だと思いました。

  • ルネサンス期のイタリアの風雲児をモデルとして理想の君主像を、時の外交官マキャベリが述べた本。歴史的な君主を例に挙げたりしており、人の上に立つべき人について考えさせられる。

  • 1532年に刊行された古典で、基本的に「国の君主とはかくあるべき」という旨で書かれているのですが、現在のリーダーにも当てはまるエッセンスが満載です。
    自分が掲げる指針に対して持つべき矜持、「ヒト」の扱い方など。

    「われわれ人間の自由意思は奪われてはならないもので、仮に運命が人間活動の半分を、思いのままに裁定しえたとしても、少なくとも後の半分か、半分近くは、運命がわれわれの支配にまかせてくれているとみるのが本当だと、私は考えている。」

    時代の変化を先見し、変化に即した方策を用意することで運命の半分は支配できる。
    言うは易しとはいうものの、こんな考えを念頭に置いておくだけでも、人生や運命に対するスタンスや、日々の行動が大きく変わってくるのだろうと思います。

  • 目的のためには手段を選ばないという意味のマキャベリズムの
    由来となったマキャベリの代表的な作品。
    デカルトは近代哲学の父といわれるが、
    マキャベリは近代政治学の祖と言われるらしい。

    結構前に読んで、そのときは読みやすくて面白いと感じたけど、
    今読むと、当時ほどの面白さは感じなかった。
    君主論というのは今で言えばリーダー論ということになるので、
    その手の本をたくさん読んだ後では、古典過ぎるのかもしれない。

    マキャベリが想定している君主(リーダー)の特徴は
    1)軍事を唯一の目的とする。
    2)聖人君子ではなく、必要ならその正反対の態度がとれる。
    の2つに要約できると思う。
    これは明らかに、戦時に必要とされるカリスマ型リーダーの典型だと
    思われる。
    マキャベリは毒薬で有名なチェーザレ・ボルジアを想定しているようだ。

    現代ではカリスマ型リーダーというのはあまり聞かなくなったが、
    カリスマとまではいかなくても、上記のような特徴を求められることはある。
    特に2)について、マキャベリ自身の言葉を引用すると、
    「君主、特に新しい君主は、人間が良いと考える事柄に従ってすべて
     行動できるものではなく、権力を維持するためには信義にそむき、
     慈悲心に反し、人間性に逆らい、宗教に違反した行為をしばしば
     せざるを得ない、ということを知っておかなければならない。」
    という表現になっているが、これは今でも十分通用する考えだと思う。
    ようするに、悪者になれるか?と問われているんだと思う。
    誰も悪者にはなりたくはないが、そういう時は必ずある。

    但し、現代ではカリスマ型とは違ったグリーンリーフのサーバント・
    リーダーシップのような考え方もあるし、自分にあったやり方を選べば
    いいとも思う。

    最後に、君主論については、当時のイタリアの状況がわからないと
    理解しにくい部分も多い。
    その辺の勉強をしてから、改めて読み直してみたいと思った。

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著者プロフィール

一四六九年生まれ。フィレンツェの政治思想家。少年時代より独学で古典教養を身につける。外交・内政・軍事の官僚政治家となり国内外で活躍、様々な型の君主と身近に接する機会を持つ。政変にともなって追放処分を受け、失意の日々に『君主論』を執筆、没後出版された。危機的状況を踏まえた激しい内容から権謀術数に長けた非道な思想家と呼ばれたが、一九世紀になって、同時代のレオナルド・ダ・ヴィンチ同様人間を冷徹な目で観察し科学的に認識した人物として高く評価される。一五二七年没。 一九二八年(昭和三)、東京都生まれ。京都大学文学部卒。京都大学大学院修了。大阪外国語大学教授を経て同大学名誉教授。主な著書に『伊和中辞典』(共編)、訳書にデッラ・カーサ『ガラテオ』、ペトラルカ『カンツォニエーレ(俗事詩片)』、レオナルド・ダ・ヴィンチ『解剖手稿』(共訳)などがある。

「2018年 『君主論 新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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