方法序説: ほか (中公クラシックス W 9)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121600127

感想・レビュー・書評

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  • デカルトの代表作。
    新たな哲学の土台を確立するまでを自伝的エッセイ風に書いた作品。
    哲学の第一原理とした「我思う、ゆえに我有り」が有名。

    おそらく10数年振りに読んだが、なかなか面白かった。
    真理を導き出す方法として4つの規則が出てくるが、
    真理が確立するまでの暫定期間中に守るべき道徳法則としての
    3つの格率の方がより哲学的に感じた。
    哲学をどのように定義するかによるかもしれないが。。

    3つの格率とは、
    1)自分の国の法律と習慣に従う。
    2)疑わしい意見でも一度従うと決めたら従い続ける。
    3)世界の秩序より自分の欲望を変えるようにすること。
    となっている。
    これが面白いのは、真理を導き出す方法としての4つの規則
    (明証性、分析、総合、枚挙)と矛盾するところ。
    いずれ真理に到達するんだから、それまではこれでいいと言い切る
    デカルトの柔軟性は見習いたい。

    今回、読み直して見ての一番の収穫はやはり3つの格率。
    初めて読んだときは、4つの規則と3つの格率をメモって
    よく見直していたような記憶があるが、今読むと3つの格率の方が
    現実的だと思う。
    一歩間違えば妥協になってしまうが、やはり形而上学では
    生きていけない。
    この辺の結論はニーチェが出しているので、
    そちらの感想に譲ろうと思う。

    それにしても、格率3)なんて自己啓発本のおきまりのフレーズ。
    やはり、輸入物には西洋哲学とキリスト教の影響があるのかも。

    また、大陸合理論、心身二元論、動物機械論などその後の哲学史に
    影響を与えた部分をチェックしてみるのもそれはそれで面白い。
    さらに、本の中には出てこないが、三つの夢や、神の存在証明の循環など
    本書にまつわる話はまだまだある。
    いずれゆっくり読み直したいと思う。

著者プロフィール

デカルト

Rene Descartes 一五九六―一六五〇年。フランスの哲学者、数学者。数学的明証性を学問的認識の模範と考え、あらゆる不合理を批判検討する立場を確立した。そのことによってしばしば近代哲学の父といわれる。一六三七年公刊の『方法序説』は思想の領域における「人権宣言」とも称される。長くオランダに隠れ住んだが、終焉の地はスウェーデンであった。

「2019年 『方法序説・情念論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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