- Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121600790
感想・レビュー・書評
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人間不平等起原論・社会契約論
(和書)2013年03月08日 15:12
2005 中央公論新社 ルソー, Jean‐Jacques Rousseau, 小林 善彦, 井上 幸治
アナーキズムの考えと通じるので驚きました。無政府主義は確かに一種の破綻としてあるのかもしれない。
しかし人間の自然状態がホッブスの言うように万人の万人対する戦争状態であるという考えの裏側として人間の相互扶助というものが人間の自然のなかにあるという。
裏面とは現存のキリスト教では引き裂かれてあるものが、それとは全く異なった福音書のキリスト教において相互扶助として連帯するという。
無政府主義を破綻として混沌としてあるものというより、相互扶助として考えると自然としてあるものは有益だろうと思う。
人間を引き裂くものとして社会が国家が政府があるのならそれは死滅してもらわなければならない。
人間の連帯として平等である社会契約があるという考えはとても面白い考えです。
こういった考えはボクは柄谷行人を読んで感心してきたものだけれどルソーもこういうことを書いているのだな。
ボクは若い頃、人間不信に陥った時に柄谷行人を読んで傾倒していたけれど、勉強不足でもあったと痛感しています。柄谷に傾倒したことは決して間違いではなかったと思うけど他にそういった考えがあるのだと知ることができたら良かったと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【熊谷英人・選】
フランス革命について考えれば考えるほど、ルソーの思想的影響力の巨大さを思い知らされる。好き嫌いはあれど、政治・社会、さらには人間一般について考えたい人にとっては必読の文献。 -
ひとまず「人間不平等起源論」を。
ルソーが自然を理想とし、社会を反理想としていることがわかる。原初的でありながら、かつ目指されるべきものとしての自然状態。 -
「人間不平等起源論」は、性善説と自然主義が混じった思考実験であり、なかなか徹底している。注を読むとビュフォン『博物誌』が大きな影響を与えているのに気付く。人間が肉食動物か、草食動物かというあたりから、人間の本質について検討しているのだ。ほかにはコルディアックの言語起源論、オランウータンの生態を報告した旅行記などからも影響をうけている。『社会契約論』は、「自己保存」の社会契約によって結合した個人が、一般意志のもとで主権者となり、立法を行い、代理として政府をたて執行権をゆだねるというもの。民主制については、「これほど完璧な政体は人間には適さない」といっている。よく評価しているのは、選挙をともなう自然的な貴族政体であって、君主制がその下、世襲的貴族政体が最悪だそうだ。ローマの歴史はよく調べてあり、また、マキャベリやロビンソンクルーソーも引かれる。宗教にもケンカをうり、今のキリスト教は聖職者の宗教であり、人間の宗教にならねばならず、そもそも宗教は力をもつなともいう。一般意志がかなり怪しく、全体主義の起源と読めなくもないが、ルソーは理想と現実を双方おっているので、そうなってしまうのだろう。彼の人生はハチャメチャである。
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[ 内容 ]
ルソーには近代の全てがあるといわれる。
大革命の先駆をなした詩人思想家の二つの代表的民主主義理論。
[ 目次 ]
人間不平等起原論
社会契約論
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