無意識の構造 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 218
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121804815

作品紹介・あらすじ

私たちは何かの行為をしたあとで「われ知らずにしてしまった」ということがある。無意識の世界とは何なのか。ユング派の心理療法家として知られる著者は、種々の症例や夢の具体例を取り上げながらこの不思議な心の深層を解明する。また、無意識のなかで、男性・女性によって異性像がどうイメージされ、生活行動にどう現れるのか、心のエネルギーの退行がマザー・コンプレックスに根ざす例なども含めて鋭くメスを入れる。

感想・レビュー・書評

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  • 河合先生の本は、進んで読ませて頂いており、何冊か読ませていただいたが、今回の本は少々難しかった。

    「あとがき」で、「本書ではやはり、はじめの部分はどうしても入門的なことを書かねばならないが、後の方にはすこし深い、思い切ったことも述べることにして、筆をとった」と書かれており、理解不足もやむをえないかと、少し救われた気分だ(笑)。

    作家・随筆家としての河合先生ではなく、日本を代表するユング派の心理療法家としての本気が、なるべく初心者にも理解できるように書き下ろされたものであり、内容的には一般人読者にはハードルの高いものだと思う。

    しかしながら、ユング派の心理療法(見る夢を解釈して、無意識の状態を知り、治療に生かしていく)について、少しでも覗いてみたいと思い手に取ってみた。

    フロイトもユングもともに「無意識の世界」の研究を進めたが、簡単に言えば無意識のとらえ方の違いから袂を分かつことになったようだ。本書の著者・河合隼雄先生は、そのユングの考え方を支持されている。

    本書は、ユングの理論の中で、コンプレックスとはどのようなものか、自我とは何か、無意識から現れるイメージやシンボルとは何か、無意識の深層に潜む、グレート・マザー、元型、影について、ペルソナとアニマ(アニムス)の関係について説明されている。

    「夢は、無意識層から意識へと送られてくるメッセージ」と言うことで、本書の中でも数多くの夢の解釈事例が掲載されており、その解釈を通じて上記の概念について説明されている。

    正直のところ、夢の解釈については、プロの心理療法家の領域であり、素人が分かろうはずはない。

    夢の解釈を理解することより、人の心が病んだり、回復したりすることにちゃんとした理屈があるのだということや、それを知らずに間違った行動をとることがいかに危険であるかを知ることに、本書を読む意味があると思った。

    我々が普通にわかる「意識」層。
    その「意識」層に影響を与える「無意識」の構造を知ることが大事。そこには我々が知らない重要なメカニズムがあるということを知るだけでも大きな意味があると思う。

    最終部分に、ユングが自身の体を使って自身の理論の実証実験を行うような場面が書かれている。凄まじい格闘の末に成果が得られたようだが、それはユングの自伝などに記載されているとのことだ。

    ユングが最終的に至ったのは、自身の考える「無意識」の構造との共通点が、古代の東洋哲学に見られるということであったようだ。

    「ユング心理学と仏教」という河合先生の別の著書もあるようでそちらの本も非常に興味深い。

    ふだん我々が何気に見てる夢・・・これには、自分自身の心の状態が確実に反映されている。夢は大事なメッセージだ。

    本書によれば人は一夜に5本立てくらいの夢をみているという。なのに朝思い出せない(涙)。そして、思い出せたとしても、その夢の解釈は素人ではやらないほうがよさそうである。

  • 興味のある分野だったが、如何せん主観的にすぎるように感じてしまった。学問の性質上避けがたい部分があるのも理解できるし、この分量では根拠を充分に示せないことも理解できるが、学者の思い込み、と指摘されたらそれまでに感じてしまう。

    ただ、普遍的無意識、という考え方はとても面白いと感じた

  • この名著が上梓されたのは1977年。今から40年前である。人の半生分の長さほど昔に書かれたという事実は、評価する上では考慮すべきでしょう。評価などと生意気な、とお叱りを受けるのは当然、自分でもおこがましいと思っています。
    こんな前置きを書いておきながらですが、いやはや素晴らしい。特に後半。
    ユングという人の研究が進み、ある程度の普遍性を得ている現代では特に驚きがあるわけではないでしょうが、ここには生きる指標がありました。
    人生を、とくにその後半をいかに生きるか、答えだと思っていたことに確信が持てました。

  • 日本に箱庭療法を広めたユング派の第一人者、河合隼雄による著書。分析心理学について解説している。
    最初は夢分析などを行う分析心理学に対して胡散臭いと思っていたが、本書を読んで印象が変わった。
    人間本来の性質に出来るだけ近づいていこうという態度が非常に共感が持てるものだった。
    具体例を見てもあまりパッと想像しやすいものではないものもあったため時代を感じたが、それも含めて考える材料として格好の本であった。

  • 荒井優先生 おすすめ
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    ★ブックリストのコメント
    日本でのユング研究の第一人者です。ユング心理学入門に手ごろな本です。

  • ヒステリーとは心理的な問題が身体的な症状に転化されたもの
    トラウマと抑圧
    こだわりを持つ時、人は意識の円滑さを失う
    エディプスコンプレックス→父を殺し母を愛そうとする心理
    器官劣等
    カインコンプレックス→兄弟間の競争意識
    メサイヤコンプレックス→自分の劣等感から抜け出すために親切の押し売りをする
    普遍的無意識と個人的無意識
    イメージやシンボルは自分たちの考えを具現化したもの
    リビドー→心的エネルギーは性的エネルギーに還元されること
    創造的退行
    劣等感と向き合うことが大切
    夢は、現状をはっきりさせた上で分析を行う

  • "意識と無意識。無意識の構造を探るため、夢の分析をしたり心理療法で心の奥深くを探ったりしてきた人がいた。フロイトさんやユングさん。
    彼らの研究を平易に我々日本人向けに解説して下さった本。"

  • 私はそろそろ、社会の中で闘っていくためのモデルとなる父親像を求める時期に入っている、ようだ。なのかな。

  • ユングが深いのか、著者が深いのか。人間や自分自身をよりよく理解するための無意識の構造について、興味がつきない。無意識を理解するには、個人個人の心の構造だけでなく、社会や文化の知識や洞察も不可欠。文学作品や神話もとりあげつつ、人の心や世界の捉え方の不思議に迫る。難解な箇所も多く、いずれ再読したい。

  • ユング心理学の大家である河合隼雄先生の本です。人間の精神構造についてユング心理学の概念を用いて説明しています。男性の女性性を表すアニマ、逆に女性の男性性を表すアニムスといった概念で個人内の葛藤を分析する方法論は自然科学好きな僕にとって異文化で面白いと思いました。他にもユング心理学は神話と結びつきが強く、シナリオライティングの本で見た元型(アーキタイプ)という概念がユング心理学由来であることを知ったのも収穫でした。もうひとつ実に面白いと思ったのが共時性という考え方です。自然科学では事象発生を因果律という規則の下で分析しますが、共時性は個々の事象の連鎖という線形な見方をやめて世界の全体性、統合性を軸に分析します。これは新しい世界解釈のフレームワークだと思いました。天才的な物理学者パウリがこれについてユングと共著で本を書いたのも興味深いです。

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著者プロフィール

東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。メーカー勤務を経て、現在フリーランスの翻訳者。

「2020年 『パリジャンが教える ヒゲの教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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