- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122001275
感想・レビュー・書評
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場所に現れるおばけと人のもとにあらわれるおばけの比較から妖怪と幽霊を定義し、以下幽霊や霊魂、怨霊、日本の霊魂信仰などについて様々な切り口から研究した一冊。平易な語り口なので民俗学の本としても普通の教養の一冊としても読めてとても面白い。
ちょっと小説書くのに生霊の知識が必要だったのでwikiなどに依るよりもどうせなら原典をあたりたいなと思って借りたら文庫本一冊というお手軽な感じだったので(もっと分厚いハードカバーだと思ってた)読みやすいよというお薦めもありまた、ペラペラ読んでいた感じ他も気になる内容だったので読んでみることにしました。個人的に収穫だったのは、源氏の夕顔が(もともとその説を取ってはいたけど)御息所の生霊にではなくやはり物の怪によって衰弱し死んでしまったんだなということに対するかなりきちんとした理屈がわかったことですね! なるほど、「場所」に出没する怪異はその「場所」に行っただけでもうアウトなんだって。
他にも、最初の方に話題に挙げられていた「どうして怪談は夏に流行るのか」という問題点についてまさか(落語家のルーツである)御伽衆に話を持っていくとは思わず、「怪異を語ることで他の怪異を寄せ付けない」(=だから、お盆があり祖先の霊と共に他のいらない霊魂までもが寄せつけられてしまい、災いをもたらしかねない夏、その霊を防ぐために怪談が流行る)というわけで御伽衆が怪談を語っていたということを知れたのはかなり大きかったです。そうなると怪談噺も多く作った圓朝は大分原初の形に近い落語家だったのではとか思ったりする。あと憑き物のところの家に憑く怨霊のこととか、天皇家に祟る御霊のこととか。調べようと思ってたこと以上に収穫がいっぱいあって満足です!詳細をみるコメント0件をすべて表示