ファウスト 悲劇第一部 (中公文庫)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122001466

感想・レビュー・書評

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  • ありがたい!というか…
    100円均一のコーナーにございました。

  • 2015.10.10あらゆる知的探求も内心の欲求を満たさないことに絶望したファウストは、悪魔メフィストフェレスと魂をかけた契約を結び、人生を体験しつくそうとする……。巨匠ゲーテが80年の生涯をかけて、言葉のきわめて深長な象徴力を駆使しつつ自然と人生の深奥にせまった不朽の大作「ファウスト」の悲劇第一部を、翻訳史上画期的な、格調高い名訳で贈る。(裏表紙より引用)

    非常に有名な古典ということで、まず誰の訳のを読むか悩み、池内さんか高橋義孝さんか、この手塚さんか、比較読み比べしてこの訳を選んだ。わかりやすさはもちろん、文章にも多少なりとも硬さというか、古典なりの独特な重さも味わいたかったからである。ブクログではあまりこの訳は読まれてないらしい。結果、この訳でよかったと思えるほどに面白かった。ファウストという主人公に、自分を重ねている。学問を究めた先、知的好奇心の先には、彼が求めるものはなかった。いやその喜びは感じているが、彼の求めた至上のものには届かなかった。若かりし頃から知識を、理性的満足を求めるあまり、肉欲、身体的欲求を満たしてこなかったのである。かくして彼は悪魔と契約し、若返り、人生をやり直すことで、あらゆる充足を知ろうとする。その渇きを癒そうとする。"一方のたましいは荒々しい情念の支配に身をまかして、現世にしがみついて離れない。もう一つのたましいは、無理にも埃っぽい下界から飛び立って、至高の先人たちの住む精神の世界へ昇っていこうとする"とあるように、人間の内には二つの精神がある。そしてそれらは、大体の場合、対立し争いあう。理性的満足によれば、内なる渇き、虚しさを埋めきることはできない。獣性的満足によれば、時に良心の呵責に苛まれ、時に大切な人を、また我が身すら滅ぼす。一方には渇きと言う名の虚無、また一方には陶酔と言う名の破滅がある。知識を蓄え、立派に育った理性を持ちながら若返った彼には、今や豊かな感受性、激情への志向もある。悪魔により、言わばチートのような人生を送れる彼が、理性と獣性という人間の内的精神の二項対立の先に、どのような結末を迎えるのか。人の生というものを苦楽ともにすべて経験し尽くしたい、そしてこの世の絶対のひとつを知りたい、すべてを経験し、すべてを知り、そして満たされて、悪魔に魂を売り渡す……彼は人間の究極のゴールに辿り着けるのか。おこがましいが、彼の歩く道は、私の歩きたい道であり、彼の見出す答えは、私の人生の目的になるのではないかとも思うのである。単純におもしろいということだけでなく私の人生の方向性に対し決定的な影響を与える予感のする彼の生き様を、今後も読み進めようと思う。また劇ということもあり、詩や歌などにも溢れ、その言葉の数々にも荘厳さというか、軽く頭に浮かんでくるようなものではなく、重さと美しさを兼ね備えた言葉の数々も、すばらしいと思いました。

  • 知識を身につけるたび、浅はかな知恵でこの身を武装してあたかも自分が賢くなったような錯覚をするたび、ふしあわせになっていく人間のさだめ。

  • 世界の根源を求める男、ファウストの前に現れた悪魔・メフィストフェレス。魂を懸けて人間の真の生き方を求め、誰よりも人間らしく死ぬ為にファウストが叫んだ禁句は、「とまれ。お前はじつに美しいから」

    志學館大学 : 猫夜亭

  • ファウスト邦訳読み比べ、その1。


    映画ファウストの観劇を期に、原作読み返そうぜ月間第一段。ちなみに映画版は良かったです。
    言葉の選び方遣い方にため息が漏れる。前段の一行目からもうカッコいいってどういうことだ…。
    それでいて翻訳小説にありがちな、単なる小難しい単語の羅列ではないので、するりと胸に入ってくるのが好き。

  • 「読書力」おすすめリスト
    11.強烈な個性に出会って器量を大きくする
    →何でも見たい貪欲さ、メフィストフェレスがいい味

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著者プロフィール

ゲーテ

Johann Wolfgang Goethe 一七四九―一八三二年。ドイツのフランクフルト・アム・マインに生まれる。ドイツを代表する詩人、劇作家、小説家。また、色彩論、動植物形態学、鉱物学などの自然研究にも従事、さらにワイマール公国の宮廷と政治、行政に深く関わる。小説の代表作に『若きウェルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』など。

「2019年 『ファウスト 悲劇第二部』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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