背教者ユリアヌス 上 (中公文庫 A 48)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122001640

感想・レビュー・書評

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  • 歴史年表で一行しか載っていなかった、ユリアヌス帝にあれだけのロマンがあったなんて、感動しました。古代ギリシャ教への憧れから出てきた、信念を持って、運命に立ち向かう力強さに圧倒されました。

  • 中学生の頃、親の本棚で見つけて読んだ作品。文章にも内容にも魅かれ、枕元に置き、気に入っている箇所を毎晩のように読み返していました。
    当時は背景知識等もなく、ドラマとして楽しんでいたように思います。
    後に、サトクリフのローマンブリテン四部作や塩野七生の著書に惹かれたのも、もとを返せばこの作品との出会いがあったからかもしれません。
    いろいろな意味で、自分にとっての原点となる作品のひとつです。

  • 「ローマ人の物語」で知った本。
    こんなに小さい文字の文庫は久しぶり。
    文字の小ささ、漢字にルビをほとんどふってない、こういう大河小説は久しぶりなので、読み終わるのに時間がかかると思う。
    こういう小説そういえば本当に久しぶりだ。

  • ユリアヌスは古代ローマ帝国の皇帝として、当時帝国で主流となりつつあったキリスト教に抗して伝統的な多神教(異教)の復活を策したため、キリスト教徒から背教者(Apostata)と呼ばれた。
    もしこの皇帝が早世せず、あと30年生きていれば、その後1000年に渡るキリスト教によるヨーロッパの暗黒時代はなく、現在のキリスト教とイスラム教の反目も違った形になっていたかもしれない。
    歴史に仮定はありえないのだけど。

  • 最初の描写が辛かった。

  • 高校の世界史の時間に松井先生が諳んじた、この本の冒頭の情景の描写が抜群で、今でも、たまに冒頭の数ページを立ち読みしに行きます。文章で、何も見えない景色と、その色や匂いまでイキイキと描写しています。

  • 塩野七生『ローマ人の物語 キリスト教の勝利』でこの本を知る。

  • 11/8/7
    ユリアヌスの兄ガルスが副帝となり、ユリアヌスの幽閉が終了。その後ガルスはコンスタンティウス帝に殺される。
    辻邦正は初めて読んだが、その筆力は凄いと思った。青年ユリアヌスの考えや、古代ローマの雰囲気が生々と感じられる。

  • 日頃、遅読なのだが、この作品は三巻でひと月もかからなかった。
    通勤電車の中でも、ラッシュの中で読んでいたし、家に帰っても読み続けていた。
    印象は強烈であり、やはり辻文學だと再認識した。
    辻邦生の作品はほとんど読んでいるが、この作品は文藝作品として、作者の持ち味が遺憾なく発揮されていて、トップランクに入るだろう。

  • キリスト教が国教化されたローマ帝国で皇帝の座に就くことになり、古代からのローマの信仰を復興させようとしたユリアヌスの生涯をえがいた作品です。

    皇帝コンスタンティウスは、宮廷内で力をもつキリスト教徒たちの策謀に乗せられて、ユリアヌスの父を殺害します。ユリアヌスとその兄であるガルスは、幽閉生活を送ることになりますが、やがてユリアヌスは学問を志す青年ゾナスに出会い、彼の口から自分たちの身に起こった出来事の真相を知ることになります。

    三巻にわたる長編作品ですが、ドラマティックな展開が多いので、勢いをつけて読み進めることができました。「背教者」ということばだけではうかがうことのできない、ユリアヌスがめざしたローマ帝国の統治の理念をえがくことが本作のテーマのひとつだと思うのですが、上巻では学問に打ち込むことでそうした理念をはぐくんでいった、ユリアヌスの青年時代が中心となっています。

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著者プロフィール

作家。1925年、東京生まれ。57年から61年までフランスに留学。63年、『廻廊にて』で近代文学賞を受賞。こののち、『安土往還記』『天草の雅歌』『背教者ユリアヌス』など、歴史小説をつぎつぎと発表。95年には『西行花伝』により谷崎潤一郎賞を受賞。人物の心情を清明な文体で描く長編を数多く著す一方で、『ある生涯の七つの場所』『楽興の時十二章』『十二の肖像画による十二の物語』など連作短編も得意とした。1999年没。

「2014年 『DVD&BOOK 愛蔵版 花のレクイエム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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