暮しの思想 (中公文庫 M 30)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122003590

感想・レビュー・書評

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  • 何度も読み返したい本。いまは、もっと読み返したい。読んで欲しい。

    最近、シェアだのパブリックだのの本を読んでいたところ、本著の一番始めにある「趣味と人生」が思い出された。

    リスペクトという言葉を思い出したからです。

  • 40年を経て復刊、社会観察がおもしろい名著である。15本のエッセーが載っているが、主に英米圏と日本の比較であり、柳田民俗学から強く影響をうけている。「風呂」には温泉の話があるが、日本では娯楽にいくとはいいにくが、温泉にいって一旦、湯船につかれば、いろいろな娯楽が許されることを指摘している。宝塚歌劇団は宝塚温泉の娯楽として始まったらしい。温泉の流行には室町時代の「功徳風呂」などの寺社の温泉経営があったよう。「茶」では仕事中に「茶」を飲んでも許されることを指摘し(考えてみれば不思議)、茶は人間関係の結束に使われており、「茶の間」がその場所であったことをいう。「生活のなかの火」では、hibachiが英語になっていること、「面白い」が火を囲んで談笑をしているとき、顔が白くうつることから来た言葉であるという説があることを指摘している。「家具」では、西洋では家具は「動くもの」という意味があるが、日本の部屋はもともと何もないのが常態であり、いろいろなモノを吸いこんで成立しているとし、明治20年代くらいまではタタミも引っ越しでもっていくのが普通だったと指摘している。タタミは家具であった。「日記」では、藤原時代の私日記からはじめ、現代の私小説まで、日本における日記の流行を指摘していて面白い。「人とうつわ」では世の中を「いれもの」の連続であると面白い見方を披露し、西洋人は日本人とちがって「鏡」を恥ずかしがらずに見られる指摘している文も面白い。昔の女性は手鏡をふせてしまっておくしつけをうけたようだ。

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著者プロフィール

加藤秀俊(かとう・ひでとし) 1930年東京生まれ。社会学博士。一橋大学(旧制)卒業。京都大学人文科学研究所助手、同教育学部助教授、学習院大学教授、放送大学教授、国立メディア開発センター所長、日本育英会会長などを歴任。現在、中部大学学術顧問、世界科学芸術アカデミー会員。 著書に、『加藤秀俊著作集』全12巻、『メディアの発生』『メディアの展開』(中央公論新社)など多数。

「2016年 『加藤秀俊社会学選集 下巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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