折口信夫の晩年 (中公文庫 M 51)

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122004665

感想・レビュー・書評

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  • 夢中になって読んだ。著者は、折口信夫の晩年に仕えた弟子であり、当時学生であったが、現在は、日本を代表する歌人となっている。「先生の怒りの激しさは、目の当たり見た者でなければわからない。」「そうした強烈な人間の業と業との闘争を敢えて繰り返して、しかもなお心の結びつきの失われないためには、夫と妻、生みの親と子というような、どろどろの人間の業の底のところで結ばれた、生涯断ち切ることの出来ない絆が必要であった。師と弟子との愛はどれだけこまやかであっても、それだけでは、業の底にまで至ることはなかった。」怪物折口の晩年の日常を伝える評伝として。圧倒的で理不尽な師に若者らしい反抗心を抱きつつも、真正面から対峙しえない悲しみを綴った弟子の青春録として。茂吉や柳田ら文士との興味深い交遊録として。非常に深い余韻の残る評伝である。これは、結局のところ、弟子である著者自身が豊かな才能の持ち主だからこそ生まれた評伝でもあると思う。

  • 折口信夫の高弟で晩年の生活を共にした筆者が、日々のリアリティと折口信夫という人物の「幽暗な影」を見事に描いています。その日々の歩みには「死者の書」と同じ旋律が流れていたのですね。死に向かう姿を描いたページは伝記を超え、優れた文学と言うべきでしょう。北原白秋が折口を「黒衣の旅人」と評していたことを知りました。

  • 普通の弟子が見た折口信夫。
    特に晩年とあって、書かれた姿は別人。加藤守雄と合わせて読むと鬼気迫る思いがした。

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