人魚の嘆き・魔術師 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 579
レビュー : 81
  • Amazon.co.jp ・本 (110ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122005198

感想・レビュー・書評

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  • 異形コレクションつながりで。谷崎潤一郎を読むのは久しぶり。平凡な感想を許していただければ、文章が上手い。きれい。なぜこう思うのかというと、私が最近ひいきにしている鏡花より谷崎はいつも文学全集で格上の扱いで、密かに「なぜ?」と感じていたが、読んだらよくわかった。小説内容と等しく構成、言葉にも端正な美しさを求めたのだろう。でも鏡花独自の文体や描写のあでやかさもいいんだからねーと1人スネています...。

  • 谷崎の作品で、これ程に情景と色彩を意識した作品は無いだろう。
    文学と云うよりも絵画と云う芸術に等しい、オスカー・ワイルドの"サロメ"(或いは"ドリアン・グレイの肖像")を想わせる箇も屡々見られる劇的な作品である。
    表紙絵・挿絵の水島氏の作品も、"サロメ"にあるビアズリーの作品の雰囲気を意識した、日本特有であって、幻想的・異端な美の描写が何とも云えず文面を誇張する。

    "人魚の嘆き"では、憂う情や退屈の苦痛さえも情景として色彩と変える様で、此処では特に水島氏の作品が活きている。
    美麗で繊細な描写に絶句する。

    "魔術師"も又、感情よりも情景を意識した作品であるが、これはまた別の悲劇を映している様に感じた。
    最上の美を有った者こそ真の孤独者であるのだろう。妖艶たるは即ち孤高である。幻惑させ得る魔術師は現実から隔絶され、最も哀れな存在であろう。
    対照的な"女"は最後に醜悪な姿に変えられるが、其れは誰かを愛し愛される事の出来る女への魔術師の嫉みでもあり、羨望でもある様に感じた。
    対極の存在を魔術を以て、美と醜と云う両極に、虚と愛の両極に、容貌でさえも変えて仕舞う。酷く悲しい噺。

    全体の作品としては、矢張り小説としての評価は低い様に想う。
    芸術としては魅力のある物で、評価は4にしておく。

  • たっぷり挿し込まれた水島爾保布挿絵がふつくしい・・・!内容自体は後の谷崎自身も赤面モノというのが分かるTHE幻想耽美。めくるめく極彩色絵図に乱歩が影響されたというのも納得。個人的には引き出しの一つとして読んで損無しでした。ゆったりした字組みにして函入りの頑丈な絵本風にすると女子は喜ぶと思います。

  • 美しい文体と美しい挿絵。
    色香が漂う本。

  • 挿絵とあいまって、2つの話どちらも面白く読んだ。美しいものについて、ここまで明確なものを訴えてくる作家の表現は今日日ないだろう。

  • 挿絵や表紙のイメージとは合わない作品が最近多いように感じる。個人的に漫画は好きだけど、その絵柄が表紙の作品は内容がどんなに真面目だったり、硬派だったとしても手に取れない。(ライトノベルならともかく)
    読み進めてもその絵柄で頭の中をキャラクター達が動きまわってしまうい気が逸れてしまうからだ。

    その点この表紙と合間合間の挿絵は作品を壊したりしない。むしろ美文調の作風を二人の絵師は生かすのだ。引き立て役に徹するのではなくなくてはならないものとしての存在感を見せつけてくる。

    正直、上手く言葉にならない。難しいわけじゃないのだが、いざ感想を、と考えると途端に自分の拙い語彙では表現しきれずもどかしさに襲われてしまう。

    ただ一つ、氏の作品を読めば日本語の語彙の豊富さ、美しさを再確認させてくれるとハッキリ言える。最近の小説も面白いが氏のような優美な日本語を巧みに扱える作家がすぐに出てこない。

  • この本、挿絵が気に入って購入したんだよね。
    内容(殆ど覚えちゃいない)にあってたような気がする。

  • 谷崎さんの幻想文学が大好きです。
    この本は、お気に入りの一冊です。

  • ただただ、耽美。
    絵画的な美しさをこれでもかと表現した作品。

  • 美文を味わい幻想的な気分に浸る作品。

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著者プロフィール

明治十九年(一八八六)、東京日本橋に生まれる。旧制府立一中、第一高等学校を経て東京帝国大学国文科に入学するも、のち中退。明治四十三年、小山内薫らと第二次「新思潮」を創刊、「刺青」「麒麟」などを発表。「三田文学」誌上で永井荷風に激賞され、文壇的地位を確立した。『痴人の愛』『卍(まんじ)』『春琴抄』『細雪』『少将滋幹の母』『鍵』など、豊麗な官能美と陰翳ある古典美の世界を展開して常に文壇の最高峰を歩みつづけ、昭和四十年(一九六五)七月没。この間、『細雪』により毎日出版文化賞及び朝日文化賞を、『瘋癲老人日記』で毎日芸術大賞を、また昭和二十四年には、第八回文化勲章を受けた。昭和三十九年、日本人としてはじめて全米芸術院・米国文学芸術アカデミー名誉会員に選ばれた。

「2018年 『父より娘へ 谷崎潤一郎書簡集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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