犬が星見た―ロシア旅行 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
4.00
  • (101)
  • (70)
  • (94)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 807
レビュー : 86
  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122008946

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 読みたかった本。食べ物や観光・同行者の話の羅列と思ったら、銭高老人の口癖やさばけた感想を綴る百合子さんにはまり、面白くて一気に読んでしまった。そしてあっけない静かな幕引きにも痺れた。

  • 武田百合子の書くものってなんかもう武田百合子そのものでしかない。唯一無二。

    ーーーーーーーーーーー

    "写真機がこわれても、本当は私は平気なのだ。見ているだけの方がいいのだ。"(p.112)


    "六月十二日 トビリシ
    いい天気。泣きたいばかりのいい天気。
    存分に泣け、と天の方から声がすれば、私は眼の下に唾をつけ、ひッと嘘泣きするだろう。"(p.155)

  • 『つれて行ってやるんだからな。日記をつけるのだぞ』


    ご主人が著者を子どもか妹、はたまた犬のような可愛がりかた
    珍しいチーズを知っていれば百合子がそんなことを知っているのかー!
    神妙な顔をして本を読めば、やいポチわかるか、など。
    でもちゃんと妻として寝台での酒やつまみ(チーズなのにキャラメルと間違い食べてくれなかったりしたが)を用意したりしている。
    カメラで写せ写せと写していたものがフィルム入ってなくて撮れておらず、ばかといわれるからひた隠し次の日散歩で適当に撮りに行くのが可愛らしい。
    そこでドッカーンの事故を見てしまったり。
    アクシデントでひとつ町に寄れなくなると、どうしていけないのかなぁと著者にだけ聞こえる声で主張する夫さん、子どもみたい。
    2人で別行動しようか?とゆっても却下。
    どちらが子どもでポチなのか。
    気に入った食物をあぷあぷと食べたり。

    同行した竹内さんも、銭高老人も、ご主人も、この旅以降からだを壊したりして結局そのまま最後の旅となった。
    犬が星見た、なんてほんとうにセンスがいいなあ。

  • こんなに心動く随筆は初めて。
    百合子さんの文章は憧れです。
    まだ見ぬロシアを想像して読んだ学生時代。
    今は夫婦という結びつきに思いを馳せながら読んでいます。

  • 1969年、横浜から船でロシアへ。鉄道や飛行機でロシア大陸横断の約一ヶ月の旅へ。のんびりとした、不便さも楽しむロシア旅。決してはしゃぎ過ぎず、臆することもなく、悠々と大陸を行く武田百合子。私も一緒に旅した一ヶ月、旅の終わりのセンチメンタルな気分に、あとがきがまた秀逸。

  • 武田泰淳、竹内好と共にロシア旅行に出かけた武田百合子の日記。
    帰国後、夫泰淳と竹内氏は病で、二度と3人で旅行することはない。
    犬が空を見上げるように、大きな目で見まわしているのが、眩しい。
    最近なにかと話題になったレーニンの木乃伊(本書のなかで、そう何度もいわれている)も出てきます。

  • 武田泰淳とそのズッ友の竹内好、武田百合子のロシア旅行記

    あとがきがすごく良かった
    女房をポチと呼ばれて怒らない奴があるか、と思うが時勢かな
    好奇心旺盛で目がキラキラしていたんだろうな

  • 昭和44年6月10日、作者は横浜を出航し、ロシアに上陸し列車と飛行機を使ってユーラシア大陸を横断する。
    ナホトカ、ハバロフスク、イルクーツク、ノボシビリスク、アマル・アタ、タシケント、サマルカンド、ブハラ、トリビシ、ヤルタ、レニングラード、モスクワ、ストックホルム、コペンハーゲン。
    道連れは、何かにつけて大げさな大阪の富豪銭高老人。お酒とポルノ雑誌ばかり探している主人と竹内氏。添乗員の山口青年。

    素朴な筆致で土地の人との交流や風景を描いている。タシ(ウズベク語で石)ケント(都)の意味。ウズ(私の)ベク(支配者)。ウズベクは自らの支配者という意味。ブハラはサンスクリット語で僧院。トリビシはグルジア語で温泉の湧くところ。
    日々の食事と出来事が生き生きと描かれている。

  • 読んでいるとき、原っぱで塩パンと牛乳入り紅茶を食べるときの、こころもちを感じた。
    きらびやかではないが記憶に残る。
    ふとその一文を思い出す。

  • 旅行にもって行こうと思ったのにうっかり読んでしまった。
    夫の武田泰淳と竹内好と3人でのロシア旅行の日記。
    この著者や幸田文のように、もともと文筆家を志していたわけではないが環境的にいつの間にか書くようになった女流作家というのがいて、独特の感受性と文体をもちあわせていることが多いので、わりと好きなんである。
    著者の武田百合子は金持ちの家に生まれてずいぶん奔放な人生を送ったようだ。女性に人気があるというのもなんとなくうなずける。

全86件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

武田百合子

大正14(1925)年、神奈川県横浜市生まれ。旧制高女卒業。昭和25年、作家の武田泰淳と結婚。口述筆記をしたり、取材旅行に同行し、夫の手となり、足となっていたが、夫の没後、『富士日記』により、昭和52年、田村俊子賞を受賞。竹内好と武田夫妻、三人での旅行記『犬が星見た――ロシア旅行』で、昭和54年、読売文学賞を受賞。『武田百合子全作品』全7巻がある。平成5年死去。

「2019年 『武田百合子対談集(仮)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

武田百合子の作品

犬が星見た―ロシア旅行 (中公文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×