少女コレクション序説 (中公文庫)

著者 : 澁澤龍彦
  • 中央公論新社 (1985年3月10日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122012004

少女コレクション序説 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 澁澤龍彦の幻想世界とエロス。
    少女・人形への想いが物語りの少女につながる。
    コンプレックスの様々な名称は、たくさんあって驚いた。

  •  デカルトコンプレックスについて

     近代哲学の礎を築いた最重要人物デカルトが、死んだ娘を模した少女の人形に魅せられていたという逸話はあまり有名である。この話に嫌悪感を抱くものは多いだろう。しかし、誤解を恐れずに言えばそもそも少女という存在自体が幾分かはオブジェなのである。失った人間がその空白を埋めるために想像世界で愛を獲得するためには、対象の幻影だけで事足りるということを知ることになるだろう。幻影とはすなわち人形である。
     
     リラダンの『未来のイヴ』で人口美女アダリアーへの不可能の恋に悩むエワルド青年は、人形製作者であるエディソンから、訓戒を与えられる。
    「貴君にとって、あの女の真の人格は、あの女の美しさの輝きが貴君の全存在中に真ざました《幻影》にほかなりません。この影だけを貴君は愛しておられる。・・・結局、あの女のうちに創造したりしておられるものは、貴君の精神が対象化された幻ですし、またあの女のうちに、複写された貴君の魂でしかないのです。そう、これが貴君の恋愛なのですな。」
    すなわち、人形愛は究極の自己愛にほかならないのである。

  • 「少女」という影に自身の欲望を投射するとか、小児期に負った心の傷が芸術の根底になるとか、自分の要素を持った客体として妹をみる(近親相姦)とか……読んでいると、「女性として」はいろいろ言ってやりたくもなる。けれど対象を「その者の対」と単純化して考えたり、好きな物語の登場人物(BL)に置換したりすると、読み物としては楽しめてしまう。
    あと個人的には「クロンハウゼン夫妻の列挙したポルノグラフィーの特徴を示す11項目のリスト」が日本の現在でもフッツーに通じ得てみえて、人間変わらないなぁと苦笑してしまった。
    後半は前半の知識を基に、「少女」を拡大した知識が語られていて興味深かった。

  • タイトルと中身は結構違ってて、エロス全般について考えた文学書という感じでした。
    読んでいて心にとめておきたい文章が結構でてくるけど、教養がないと読みにくく、分からない単語もちらほら出てきました・・・

  • その名の通り、少女を始めとする澁澤龍彦の愛するもののコレクション。人形愛や近親相姦などのテーマを、いろいろな作家の見解を交えて解説している、珠玉のエッセイ集です。
    特に私が気に入っているのは、近親相姦の章、「インセスト、わがユートピア」。ジョン・アプダイクの「強姦は下層階級の、姦通は中産階級の、近親相姦は貴族階級の性的罪悪である」という言葉を、この作品で初めて知って、そして妙に納得してしまいました。というのも、これを読む前に嶽本野ばら著の近親相姦の物語を読んでいたのですが、そこで愛し合う二人は貴族階級だったので、フィクションとはいえ、とてもびっくりしたのを覚えています。この章の詳細はネタバレになりそうなので書けませんが、いろいろな作品から培われた洞察力、そしてそれを宝石のように美しく纏め上げる文章力にただただ脱帽でした。
    上では近親相姦の部分を挙げましたが、そのように、一見理解できないような性癖を、(中には澁澤龍彦の過度な妄想も含まれますが)美しく、ロマンチックに語った作品です。

  • エロス、倒錯、フェチズムが渦巻くめくるめく澁澤ワールド満載! のエッセイ。
    耽美で官能的な文章世界にはみてはいけないものをそっと覗き込むようなスリルがあり、引き込まれました。
    シモン先生の儚く官能的な少女人形がまた、この世界にぴったり。

  • 少女コレクション序説/人形愛の形而上学/アリスあるいはナルシシストの心のレンズ/犠牲と変身/東西春画考/セーラー服と四畳半/インセスト、わがユートピア/幻想文学の異端性について/ポルノグラフィーをめぐる断章/近親相姦、鏡のなかの千年王国/処女生殖について/ベルメールの人形哲学/ファンム・アンファンの楽園/幼児体験について/コンプレックスについて/宝石変身譚/エロスとフローラ/鏡について/匂いのアラベスク/玩具考/マンドラゴラについて/シモンの人形

  • エッセイ。性倒錯とかに関する文学的な解説である。

  • 耽美、幻想的、の意味を知った本。
    当時の私にはちょっとレベルが高かったのでじっくり読みました。

  • 再読。しばらくぶりに澁澤の衒学趣味を堪能する。本書は、その大半がエロティシズムをめぐるエッセイからなるが、いつもながらの博覧強記ぶりには驚くばかり。澁澤を読む楽しみは、まさにここにこそあるのだろう。エロティシズムの本質が「産まない」ことにあるとすれば、たしかに人形への偏愛はその極北の姿でもある。なお、表紙は四谷シモン製作の人形だが、本書に刺激されてベルメール等の関節人形をGoogle画像でしばし鑑賞することに。人形から発せられる静謐で不思議なエロティシズムに思わず魅き込まれそうになった。危ない、危ない。

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