自殺論 (中公文庫 D 26ー1)

  • 中央公論新社
3.43
  • (36)
  • (45)
  • (133)
  • (10)
  • (4)
本棚登録 : 1068
感想 : 64
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (568ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122012561

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  自殺が社会的環境によって促されるものであるとし、その社会的要因を分析した1冊。サブタイトルに「社会学研究」とある通り、社会学的分析を徹底的に追及した古典でした。

     宗教、家族、政治などの社会的統合の強さに反比例して自殺は増減する、社会が無統制になった「アノミー」の状態が自殺の一因となる、など現代の日本においても十分に通用しうる結論が導き出されています。

     日本に目を向ければ、他国より高い自殺率や、若年層の死因1位が自殺であるという事実、それにあまりにも高い中高年男性の自殺など、社会が抱える問題はたくさんあります。

     社会的統合を強める、すなわち昔のような強い地縁によって結びついたムラ社会の復活ということもあるのでしょうか。功罪ありそうです。

  • マッチョな本です。自殺する気がなくなります。そういう意味でいい本ですし、著者の「若い」信念が相当強いのを感じます。もっと年老いてから書かれた本を次は読んでみたい!

  • 社会学の古典的名著だそうで

    そう言われる所以はわからなくもないけど、あくまで社会学の第一歩という意味で。他人の理論をばさばさ切り捨てるところまではいいけど、自分の主張は中途半端な例示に留まっている印象。

    当然だけど内容が古い。良くも悪くも昔の人だなあという感じ

  • 武器としての哲学の推薦本である。副題に社会学研究としているが、何が社会学なのかは書かれていなかったような気がする。多くは、国籍、宗教、結婚の有無で自殺の割合を計算している。日本の例では腹切りがあるなど古い。日本の沖縄出会ったような、強制的自殺や他者を巻き込んでの自殺、自殺する予定での殺人についてはあまり詳細な分析がない。

  • 社会学はやっぱり怪しいけど,面白い

  • 名前だけ知っていたので読んでみた。

    文庫本なので注釈の活字が小さいのと、個々の論点について本文中で数字を列挙して例証または反証しているのと、何よりも文章が回りくどく読みづらかった...が、内容は社会学の祖にふさわしく、面白かった。

    用語の定義、データの取捨選択、仮説と検証...一方で「温度が高いと自殺が増える」といった単純な説に対しては、「もし、そのとおりであればこれこれのケースについても同じ傾向が見いだせるはずであるが、そうなっていない」という反証をあげて打ち消し、他方で「社会は個人の総和にすぎない」という主張に対しては、「交通路」のような理解しやすい例をあげて、個人とは別に「社会」というものが実在であることを説明していくスタイルが心地よい。

    結婚と自殺の関連について述べているくだりでは、離婚の効果(?)について、「離婚を容易にすると男性にデメリットが増え、離婚を困難にすると女性にデメリットが増える」という傾向を発見し、その原因が女性の社会参画が少ないことだと論じているが、その後の「女性が男性と同じようになればよいというものではない」「女性には女性に向いた役割があり、男性が(余計に)負担している役割を分担するのがよい(具体的には育児や家事ではなく『芸術面での活動』とあった)」という提言には19世紀の本とは思えないほど共感した。
    「男性と女性は違う」という当たり前の事実を元にそれぞれが活躍できる社会を目指す、前々世紀の主張に比較して、現代のサヨク・フェミの喚き声がなんと幼稚なことか。

    デュルケームは自殺を社会的な病理ととらえ、自殺の原因(のひとつ)を「社会と個人の分断」と分析し、解決策として、人間が活動時間の大半を割くことになる「労働」環境における組織化を提言している。
    本書で提言されている労働組織は「投票のときだけ顔を合わせる」ような労働組合ではなく、中世的なギルドでもなく、ましてや赤化したテロの温床でもないが、宗教や国家では無理な役割を担う「社会」として納得性があった。
    デュルケームの提言とは、構成員の範囲と個人に対する尊重の度合いが比較にならないことを承知で言えば、終身雇用が存在していた頃の日本企業にその片鱗があったのかもしれない。

    もし学生をやり直すとしたら、本書のテーマを現代のデータで再検証して、数表をビジュアルなグラフにしてみたい。

  • 自殺をはじめて学問的に扱った人。
    字が小さくてびっしり、読みづらい。英訳本を見つけたから、そっちを読もう。

  • とても難しかったのでもう一度読み直します

  • 今月の1冊目。今年の8冊目。

    大分前に買った本をやっとこのGWで読み終わった。自殺のカテゴライズを統計資料を用いて力強く論証したもの。しかし、長い。そしてところどころ分からない箇所もありました。正直もう1度読む気力はないですね。まあ、大体の内容が分かっただけでもいいと思いました。社会学の古典。

  • 19世紀末に著された論考なので、現代の“自殺論”を踏まえて読むと、誤りや古い考えが散見される。前時代の古い学説という前提で読むべし。

    とはいえ自殺を個人の病理でなく、社会の構造の面から捉えようと試みた研究は当時は画期的、新鮮だったはず。社会学の面白さを味わえる。
    全体的に冗長な記述が続いて退屈である。だが“自殺の文明史”として読める部分もあり、そこだけは少々興味深く読めた。古代から中世にかけて自殺者や遺族に罰則が課せられていた史実や、近代欧州の自殺の傾向、例えば軍隊で自殺が多かったこと(そしてその理由の考察)等が記述されていて興味深い。

全64件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1858-1917年。フランスの社会学者。マックス・ウェーバーと並ぶ社会学の創始者。代表作は、本書(1895年)のほか、『自殺論』(1897年)、『宗教生活の基本形態』(1912年)など。

「2018年 『社会学的方法の規準』 で使われていた紹介文から引用しています。」

エミール・デュルケームの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×