太陽と鉄 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.62
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本棚登録 : 209
感想 : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122014688

作品紹介・あらすじ

最後まで冷徹な自己分析、自己認識の中で、限りなく客観的、論理的世界へ飛翔して、自らの死と対決する三島ミスチシズムの精髄を明かす「太陽と鉄」、詩を書く少年が作家として自立するまでを語る「私の遍歴時代」、ともに自伝的作品2篇を収め、三島文学の本質を解明する。

感想・レビュー・書評

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  • よく、体育会系を揶揄する言葉に《脳みそが筋肉》なんてのがあるが《筋肉が脳みそ》だったら三島由紀夫になるのでは?なんてこと考えてしまう。恍惚へと、カタルシスへと息荒く昇りつめるような語りで、三島好きはさらに惚れ込み、三島嫌いはなんだコリャ意味不明?と嫌悪しそうな三島自身による三島作品のについての詩的解説のような『太陽と鉄』。ときめいた!

  • まさか遺書?
    ジェット機に乗って臨死体験してるだけ?

  • 一度挑戦して25ページで挫折。読むコンディションをとtのえ一年半おいて再挑戦。それでも「太陽と鉄」は論理の筋道を追うのに行きつ戻りつの読書だった。自分の身体に筋肉をつけることにこれほどまでのきらびやかな理論を展開した人がいただろうか、というのが一読後の感想。言語と肉体を対立したものと置き、多くの人は前者が形成され後者があとから来るが、著者は「まず始めに言葉ありき」。先に言語が形成され、肉体は遅れて形成されたので、幼少期、青年期の我が貧弱な肉体よ、と。意識の絶対値と肉体の絶対値が重なり合うところに惹かれ、ボディビル、剣道等を経て、エピローグのF104搭乗による音速の体験でそれは頂点を迎えた、と。言語の呪術性がなし崩し的に精神に終わりを認識させないこと、英雄的な死には強靭な肉体が必要不可欠、という認識は、史上有名な最期を迎えるにあたる道筋だったのだろうか、という思い。「私の遍歴時代」はうってかわって、作家を志した少年期から、世界周遊の旅に出るあたりまでの若き日の小説家としての思いがざっくばらんに語られ。やはり「僕は太宰さんの文学はきらいなんです」と面と向かっていい「そんなこといったって、こうして来てるんだから、やっぱり好きなんだよな」という太宰のかえし、名場面だなあ。

  • もう、「太陽と鉄」は何度も途中で読むのをよそうかと思った。没後50年、命日でもあり、何か三島を読もうと思った。それで手にとったのだけれど、電車の中で読んでいると、いつのまにか寝ている。全く頭に入っていない。それでも、がまんして読み続けた。たまたま、恩師から三島のことについて書かれた文章を紹介するメールが届いたこともある。何とか終盤、おそらく自衛隊の体験談で、飛行機に乗っている話などは意味が通じた。それ以外は何だったのだろう。肉体に対する自信のなさなのか。まあそれはいいだろう。いっしょに文庫に収められている「私の遍歴時代」こちらは打って変わって読みやすく、一気に読み通した。まあ、太宰との関係とかおもしろくはある。芝居に対する思いとか、世界旅行に出て太陽と出会ったときの話とか。そして、ここには蓮田善明の名前があり、神風連、西南戦争と続いていくのだ。やはり石牟礼道子を読まないといけない。

  • 2014.1.28 読了

  • 三島の文体にはやはり矜持や自尊といった現在では失われてしまった人間には最低限必要な感情表現が含まれていて、とても快い。美しすぎる!たくさん読んでいきたい。

  • 表題の「太陽と鉄」は、筋肉フェチな三島。

    「私の遍歴時代」は、有名な太宰治とのエピソードについて書かれている部分があります。こちらがとても読みやすく面白い。

  • 2009/
    2009/

    生の緊張の故出がそのまま死につながるという逆説を理論的に証明した。

  • 一時遠ざけていたけど、
    共感できるところがすごくおおい。

  • 080909購入。

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著者プロフィール

三島由紀夫

一九二五(大正一四)年東京に生まれる。本名、平岡公威。学習院高等科を経て東京大学法学部を卒業。在学中の四四(昭和一九)年に処女創作集『花ざかりの森』を刊行。戦後四七年大蔵省に入り翌年退官。四九年に刊行した『仮面の告白』で名声を確立し、以後、文筆活動に専念する。『潮騒』にて新潮社文学賞、『白蟻の巣』にて岸田演劇賞、『金閣寺』にて読売文学賞、『絹と明察』にて毎日芸術賞、『サド侯爵夫人』にて芸術祭賞などを受賞した。六八年、「楯の会」を結成し、七〇(昭和四五)年、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。

「2020年 『三島由紀夫 石原慎太郎 全対話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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