太陽と鉄 (中公文庫 A 12-6)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 215
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122014688

作品紹介・あらすじ

最後まで冷徹な自己分析、自己認識の中で、限りなく客観的、論理的世界へ飛翔して、自らの死と対決する三島ミスチシズムの精髄を明かす「太陽と鉄」、詩を書く少年が作家として自立するまでを語る「私の遍歴時代」、ともに自伝的作品2篇を収め、三島文学の本質を解明する。

感想・レビュー・書評

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  • よく、体育会系を揶揄する言葉に《脳みそが筋肉》なんてのがあるが《筋肉が脳みそ》だったら三島由紀夫になるのでは?なんてこと考えてしまう。恍惚へと、カタルシスへと息荒く昇りつめるような語りで、三島好きはさらに惚れ込み、三島嫌いはなんだコリャ意味不明?と嫌悪しそうな三島自身による三島作品のについての詩的解説のような『太陽と鉄』。ときめいた!

  • まさか遺書?
    ジェット機に乗って臨死体験してるだけ?

  • 一度挑戦して25ページで挫折。読むコンディションをとtのえ一年半おいて再挑戦。それでも「太陽と鉄」は論理の筋道を追うのに行きつ戻りつの読書だった。自分の身体に筋肉をつけることにこれほどまでのきらびやかな理論を展開した人がいただろうか、というのが一読後の感想。言語と肉体を対立したものと置き、多くの人は前者が形成され後者があとから来るが、著者は「まず始めに言葉ありき」。先に言語が形成され、肉体は遅れて形成されたので、幼少期、青年期の我が貧弱な肉体よ、と。意識の絶対値と肉体の絶対値が重なり合うところに惹かれ、ボディビル、剣道等を経て、エピローグのF104搭乗による音速の体験でそれは頂点を迎えた、と。言語の呪術性がなし崩し的に精神に終わりを認識させないこと、英雄的な死には強靭な肉体が必要不可欠、という認識は、史上有名な最期を迎えるにあたる道筋だったのだろうか、という思い。「私の遍歴時代」はうってかわって、作家を志した少年期から、世界周遊の旅に出るあたりまでの若き日の小説家としての思いがざっくばらんに語られ。やはり「僕は太宰さんの文学はきらいなんです」と面と向かっていい「そんなこといったって、こうして来てるんだから、やっぱり好きなんだよな」という太宰のかえし、名場面だなあ。

  • もう、「太陽と鉄」は何度も途中で読むのをよそうかと思った。没後50年、命日でもあり、何か三島を読もうと思った。それで手にとったのだけれど、電車の中で読んでいると、いつのまにか寝ている。全く頭に入っていない。それでも、がまんして読み続けた。たまたま、恩師から三島のことについて書かれた文章を紹介するメールが届いたこともある。何とか終盤、おそらく自衛隊の体験談で、飛行機に乗っている話などは意味が通じた。それ以外は何だったのだろう。肉体に対する自信のなさなのか。まあそれはいいだろう。いっしょに文庫に収められている「私の遍歴時代」こちらは打って変わって読みやすく、一気に読み通した。まあ、太宰との関係とかおもしろくはある。芝居に対する思いとか、世界旅行に出て太陽と出会ったときの話とか。そして、ここには蓮田善明の名前があり、神風連、西南戦争と続いていくのだ。やはり石牟礼道子を読まないといけない。

  • 三島の文体にはやはり矜持や自尊といった現在では失われてしまった人間には最低限必要な感情表現が含まれていて、とても快い。美しすぎる!たくさん読んでいきたい。

  • 表題の「太陽と鉄」は、筋肉フェチな三島。

    「私の遍歴時代」は、有名な太宰治とのエピソードについて書かれている部分があります。こちらがとても読みやすく面白い。

  • 2009/
    2009/

    生の緊張の故出がそのまま死につながるという逆説を理論的に証明した。

  • 一時遠ざけていたけど、
    共感できるところがすごくおおい。

  • 080909購入。

  • エッセイと自伝が1冊にまとめられています。自決の2年前に出版された「太陽と鉄」。死を捉える視線があこがれに見えてしまう。

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著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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