- Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122015463
作品紹介・あらすじ
古代と近世を結ぶ谷間といえる中世は、権力崇拝の時代であり、宗教の時代でもあった-。その暗黒の中世に、統一国家として、東アジア諸民族の政治と文化の根幹を築いた唐王朝。史上稀にみる中国中世700年に及ぶ大唐帝国の誕生から滅亡までを詳述する、中世史の労作。
感想・レビュー・書評
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長年積んでたのをようやく。大唐帝国とか言いながら、漢代からの数百年に渡る中国中世史概説と言っても良い。南北朝時代の頃の北朝の野蛮人ネタ、南朝の内ゲバ文弱ネタはやや一昔前のテンプレ解釈のような趣もあるが、それも含めて偉大な概説として受け取れた。文章も軽快で非常に面白い。時たま同時期ヨーロッパと比較など筆の乗りっぷりは面白いし、流石に大学者の名著。最後には景気循環論の走りもあったり。
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[評価]
★★★★☆ 星4つ
[感想]
内容は面白かったけど、内容に偽りありだな…
唐朝については全体の二割程度しか書かれておらず、唐が誕生するまでの後漢末期から隋朝が滅亡するまでの方が中心的な内容だった。
そして唐朝の各種制度をそれまでの様々な王朝で前段階となる制度が存在していたことやきっかけがあったことが書かれており、歴史を流れで捉えることができたよ。 -
2018/01/20 0:22:05
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タイトルは「大唐帝国」とあるが、
チャイナの中世、すなわち、
漢帝国の終わりから、宋の初めまでの歴史が書かれた本である。
中学高校と世界史の中で、チャイナの歴史も習ったが、
五胡十六国時代、などは詳しく知らなかったので、
たいへん勉強になった。
それにしても、易姓改革のすさまじいこと。
チャイナには、いったい何人の皇帝がいたのであろうか?
チャイナの歴史を見ていると、
統一国家が覇を唱えている状態がフツウなのか、
諸豪が群雄割拠している状態がフツウなのか、
分からなくなる。
統一と分裂が繰り返されてきたことは事実であるので、
今のチャイナもいつかはまた分裂するのだろう。
日本やチャイナの周辺国からすれば、
チャイナに強大な統一国家が生まれると、
たいへん迷惑を被る。
チャイナが、金持ちになり、
「チャイナの夢」を夢想している今も
たいへん迷惑である。 -
中高と三国志にハマっていた自分。
「せっかく中国史の世界に踏み込んだしもっと色々知りたいな」と思い買ったのがこの本。
ポスト三国時代、というよりも中国中世という長いスパンを描いたこの本は素晴らしく面白い。
だいたい戦乱の時代というのは登場人物も国も多くて落ち着きがなく、わけがわからんという印象ですが、ふつうに読み物としてこちらは面白い。
しかもこれはそれだけでなくきちんと当時の学問的な問題意識も踏まえている。
その問題意識というのが、古代と中世の線引きとか中世と近世の線引きという、私のようないい加減な人間からするとそんなのどっちでもいいじゃないかという気もするわけですが(失敬)、けれども著書がただ面白いというだけでなくて、こういった学者的な問題意識もきちんと盛り込むのは、学者の社会に対する誠実さの一つなんじゃないかなとも思うわけです。 -
殺し合いの個人史のよう。文化面の記述が少ない。日本の近現代史との比較は余計感。宦官の弊害。不老不死の薬の物語がが興味深い(練丹術、丹薬)。道教の国ならでは?
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13/08/01 以前にも一度読んだが、面白く読めた。
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中国の歴史って死屍累々と言う言葉が
実に似合ってしまうところが恐ろしい。
欲のままに生きていたというわけなので
結局欲のままに行動すると
血にまみれるということになる様で…
中国の歴史は一応学んだものの
うといために復習をするのに最適でしたし
いろいろな歴史の裏側を知ることができました。
ただし、これタイトル詐欺ですぞ。
タイトルの事柄が出てくるのは
かなり後半です、あしからず。 -
歴史書でありながら物語のように読める。宮崎市定氏の真骨頂ともいうべきか。やはり王室の系図や関係地の地図を効果的にちりばめ理解を助ける。
また、ヨーロッパとの東西比較をし、秦漢帝国をローマ帝国になぞらえ、これらを古代の帝国とみる。ローマ帝国が滅亡したのと中国が三国に分裂した頃をもって中世の始まりとみる。その三国時代から唐の成立・滅亡までを描く。
難しい言葉や中国独特の表現がたくさん出てくるが、それらを辞書やネットで調べながら読むのも知識を増やすという意味でも有意義というものだ。
地図と系図のページに付箋を貼ったら、付箋だらけになってしまった。しかし最近の付箋は下部が透明で上の一部分のみ色分けされているものがあるので、色別に図を仕分けできるので便利であった。
また、皇帝や話題の人物の似顔絵は、ストーリーの想像を膨らませてくれた。400ページを超える大部であるが、まったく飽きさせることがない。さすがに宮崎氏の著作である。