- Amazon.co.jp ・本 (467ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122015852
感想・レビュー・書評
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平家物語と言うか、平氏が登りつめていく様、堕ちていく様を清盛の妻時子目線から見たもので、見る場所を清盛から隣の時子に変えるだけで、こうも時代は違って見えるのか、と驚愕しました。同母弟時忠の言う「平家にあらずんば人にあらず」の言葉も、もっと違う意味を持つ、ゾッとするものに感じました。確かに平家の反映は時子たちなくしてありえず、時忠の存在感は誰よりも強いものがありますが、時忠の気持ちや目指していたものは、決して清盛と「平家」と共に在ったものではなく、それも最後の時子との会話の中で垣間見ることが出来、恐ろしいものを感じます。最後、時子の「そなたらしい生き方ね」と言う言葉に、全てがこめられているような…。とにかく面白い!清盛の誰よりも近くにいた時子から見たものは、こんなにも違う景色だったのだと。そして…時忠はだいたいどの歴史小説を読んでも「なんかこいつ可愛くないな」感があり、この本でもそれは同じでしたが、時子と時忠が姉弟として会話をしている場面には、なかなか微笑ましかったり、ただの姉弟として接している場面にホッとしたり、またそれを嬉しく感じたりしました。
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後白河院ってタフな人だったんですね。
二条天皇や高倉天皇は病弱で若くして亡くなられたけど。
平家は、源氏ではなく後白河院に滅ぼされたんですね。 -
通勤電車の中で読む文庫本が切れたので、妻の書棚から取り出してきました。
先年のNHK大河ドラマは「平清盛」ですが、本書の主人公はその妻時子。武家としての平氏というより、公家としての平氏の盛衰を清盛の妻の目線で辿る物語です。
実は、著者の永井路子さんと初めて邂逅したのは、もう今から40年ほど前になります。私が中学校のとき、学校主催の講演会においでになったのです。何のお話をされたのか、残念ながら覚えてはいないのですが、穏やかさの中に何か凛々しさようなものを感じた記憶があります。 -
この本は、平家の繁栄から滅亡までを平清盛の妻である時子の視点を通して描いた物語です。
平家物語は長すぎるので、1冊にまとまってるこの本を手に取りました。
が、いざ読んでみると、清盛の子供達の描写がもっと欲しい、とか、福原での優雅な生活がもっと知りたい、とか、義仲や義経の登場から遁走までがあっさりしすぎ、など、もっともっと、と欲張ってしまい、時子の視点、というこの本のならではの特長を十分に楽しめませんでした・・・(じゃー、平家物語を読みなさい!とってことは重々承知です・・・)
それでも、この本を読み終えたときは子供の頃に暗記をした
祗園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり・・・
という冒頭の文章がよぎり、それが頭から離れませんでした。
よく考えたら、途中で亡くなる清盛より、平家滅亡までを見届けた、っていうか自分で幕引きをした時子が語る平家物語って一番ふさわしい形かも、と思いました。 -
平家の栄華と没落を、清盛の妻でありその死後平家の棟梁となった宗盛の母二位尼時子の視点からかいた長編。気丈な尼様という印象が強い時子ですが、清盛とのやり取りや、それぞれの子供たちへの想いなどをみてとると、女性として、母としての時子の姿がみえてくるはず。