海の都の物語 上: ヴェネツィア共和国の一千年 (中公文庫 し 4-4)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122016347

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  • 「中世の商人国家かく闘えり」

    所蔵情報
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=K26641

  • ヴェネツィア共和国の盛衰をえがいた作品です。

    「水の都」として知られるヴェネツィアをテーマにする本作を執筆するに際して、著者は最初「水の都の物語」というタイトルを予定していたといいます。それが「海の都の物語」というタイトルに変えられた理由について、著者は「ただ単に水の上に町をつくった人々を書くのではなく、海に出ていくことによって生きた人々を書こうとしている」のだと説明しています。ここには、海上交易で栄えたヴェネツィア人の合理的な精神を把握しようとする著者の意図が込められているように思えます。上巻では、ヴェネツィアとおなじ海上の商業で栄えた都市でありながら、きわめて個人主義的な気質をもつという点で好対照をなすジェノヴァとの抗争について、ていねいに説明がされています。

    著者の歴史小説をいくつか読んできましたが、観念的な歴史の理解をしりぞけ、人間の現実の姿にせまろうとしているところに最大のおもしろさがあるように感じていました。おそらく本書でも、イデオロギー・フリーな立場から、合理性を重んじるとともに勇気と決断力をもちあわせていたヴェネツィアの人びとへの共感が語られていると期待していたのですが、本書にかんしてはこれまで読んだ作品とはやや異なった印象を受けます。とくに、「理想主義」と「現実主義」の対比の枠組みが、それ自体イデオロギー的なかたちで前提されており、その枠組みにのっとって歴史的な事象の評価がくだされているように見えるところに、違和感をおぼえます。

    本書のなかで著者は、「私は、マキアヴェッリの言葉に示唆されて、ヴェネツィアという国家を、一個の人格として取りあつかうつもりでいる」と述べていますが、たとえばチェーザレ・ボルジアのような具体的な個人に焦点をあてた小説にくらべると、やはり具体性に欠け、著者の考える「現実主義」が観念的に先行するようなかたちで前面に出されてしまっているように感じました。

  • 新書文庫

  • (1990.08.19読了)(1989.08.18購入)
    (「BOOK」データベースより)
    “おまえと結婚する、海よ。永遠におまえがわたしのものであるように”―葦におおわれた潟に建国以来、現実生義に徹した交易によってその地位を築いた地中海の“商人”、あるいは“海軍”、ヴエネツィア共和国を精密に描き、歴史の面白さを堪能させる気宇壮大な盛衰史。

    ☆塩野七生さんの本(既読)
    「イタリアからの手紙」塩野七生著、新潮社、1972.06.05
    「ルネサンスの女たち」塩野七生著、中公文庫、1973.11.10
    「神の代理人」塩野七生著、中公文庫、1975.11.10
    「サロメの乳母の話」塩野七生著、中公文庫、1986.01.10

  • エンリコ・ダンドロ、それに尽きる。

  • ヴェネツィアほどの精緻な政治体制を造った国でさえも時代の波に抵抗しきれずに滅んでいく。まして稚拙な政治体制しか持たない国では・・

  • 松家氏推薦

  • 揺れ動く世界情勢の中、広い国土もなく、限られた人的資源で、智慧を駆使して国を守り抜こうとした人々の姿に感動致します。(上下2巻)

  • 2008/03/31 読了 ★★★★
    2009/12/01 読了

  • ヴェネチアの歴史を物語り感覚で楽しく理解できます。下巻の「聖地巡礼パック」の章が気に入ってます。この、商売上手!!

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