古本綺譚 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論社
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本棚登録 : 87
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122016958

感想・レビュー・書評

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  • 第一章の古本屋のエピソードが良かった。
    他は自分の好みではなかったが、芦原将軍が実在した人物であることを知ってびっくり!

  • 2014.12.13 読了

  • 取り立ててすごいでもない古本屋の面白エピソードがメインなのだが、不思議と坂口安吾の短編でも読んでいるかのような独特の叙情感が有る。どこかに連載されていたのだろうか。半ばに突然出てくる「芦原将軍研究」はサブカルの人はもちろん、夢野久作、筒井康隆、赤瀬川原平などを読み込んでいる人には必須であろう(それがサブカルか)。全編を通じてつげ義春の漫画に自然と変換される。

  • 事実は小説より奇なり。古本屋だった彼がその後どうなるか。人生わからないものである。

  •  基本的には著者の本業(副業?)である古本屋家業にまつわる悲喜こもごもを綴ったエッセイだ。

     夜逃げの資金に本を売り払う夫婦の話とか、均一ワゴンの本をすべて買い取っていく正体不明のおじさんとか、読書家が死んだ時、ハイエナのようにその蔵書を狙う古本屋たちの争奪戦とか、面白いけれども、時代は30年以上前の話で、とても時代を感じる。インターネット全盛の今の古本屋とは全く業務が違う(と思う)


     この本の中で格別面白いのが「狂聖・葦原将軍探索行」だ。


     簡単に言うと、葦原将軍は精神を病んでいて、自分を皇位継承者と妄想していて、いろんなところで勅語を連発して、大正から昭和初期にかけて、世間を騒がせていた人だ。言語や論理は明瞭なので本気なのか詐病なのかわからないところもあったらしい。


     当時のマスコミはそんな将軍を面白がって取材対象とし、政局や軍の戦略、世相についての意見を求めた。そのたびに将軍は「朕は…」と発し、けっこうまともなことを話した。なんでこんなに世間から注目されているのに不敬罪で捕まらなかったのかわからないが、戦局が不利になる前の日本は以外と自由だったのかもしれない。


     この本のなかでは、将軍詐病説を追い、探っているが、推理小説ではないので、真相はわからないままだ。


     小説の基本は変な人を丁寧に注意深く書くことだ。と、ある純文学の小説家が言っていた。
     これはお手本みたいな小説だ。


     葦原将軍と言う人を初めて知ったけど、たぶんこの人のことを書いた本は昔はたくさんあったと思う。こんな変な人、滅多にいないから、小説家は放っておかなかったことだろう。


     他の本も探してみたい。

  • 06'09'21購入。古書店を経営する著者氏の、古書にかける情熱が伺えて楽しい本。第?〜?章から為り、?章は『狂聖・芦原将軍探索行』と題して、幕末〜昭和(初期)を生きた実在の人物(精神病患者)を、一冊の左翼本に隠された事実を紐解きつつ、詳らかにしている。これは、ひじょうに面白かったです!芦原将軍が実は板垣退助暗殺未遂事件に関与してたとか、幸徳秋水の大逆事件に与していたとか…?!読みながら、ほんとかよーと疑心暗鬼でしたが、やっぱりフィクションなんでしょうかね?<br>その事実を知る者はいない.

  • 古本業界に集まる人々の、なんとも業深いエピソードたち。

  • 一頁目の
    「この世にあって誰も見たことがないような本を掘りだしたいと、凄いような奇跡を夢みているのが愛書家で、
    そういう本を入手して売って儲けたいと、常にまじめに考えているのが古本屋である」
    という一文に惚れて購入した。

    三部構成で、1部はエッセイとも短篇とも取れる古本屋の物語、
    2部がかの狂聖・芦原将軍をめぐる古本屋と愛書家の話、
    3部が古本にまつわる話、といったところ。
    個人的には3部の目録と古本に挟まっている紙くずの話が面白かった。

    そう言えば、かなり前の話だが、古いハヤカワJA(眉村卓だったかな?)を手に取ると、
    自然にページが開く。栞代わりに何か挟まっているのはよくあることだが、
    なんとそこには20年以上前のものと思しき葬式の写真が!
    ぎぇぇぇ〜
    さすがにぞっとして買うのをやめる(『猫城記』だったら買ってたかも(笑))。
    話は逸れたが、まぁ、ざっと読み終わるし、書痴は読むべし。

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著者プロフィール

出久根達郎(でくね・たつろう)
1944年、茨城県生まれ。作家。古書店主。中学卒業後、上京し古書店に勤め、73年より古書店「芳雅堂」(現在は閉店)を営むかたわら文筆活動を行う。92年『本のお口よごしですが』で講談社エッセイ賞、翌年『佃島ふたり書房』で直木賞、2015年『短篇集 半分コ』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。他に『古本綺譚』『作家の値段』『雑誌倶楽部』『春本を愉しむ』『本があって猫がいる』『隅っこの昭和』『幕末明治 異能の日本人』『桜奉行』『漱石センセと私』など多数。

「2018年 『文庫 本と暮らせば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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