イスラーム生誕 (中公文庫 い 25-2)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122017313

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  • コーランの翻訳等で知られる著者が、初期の著作「ムハンマド伝」を手直しし、新たに「イスラームとは何か」を書き下ろしてまとめたもの。
    文章は平易で読みやすいが、作者が漢文にも堪能なため、初めて見る熟語も多数。(各漢字自体は難しくないので、意味は推測できるが。)
    ムハンマド以前のベドウィンとしての生き方・生活様式が詳しく説明することで、現在のイスラームの特徴、不可解さを分かり易く解き明かしている。

  • 日本におけるイスラーム学の泰斗、井筒俊彦先生によるイスラーム概説書です。厳格な一神教であるイスラーム教がなぜベドウィン族から生まれたのか、ムハンマドにより創設されたこの宗教が同族から迫害されながらも広まった背景、『コーラン』の内容が「警告(タズキラ)」と「導き(フダン)」とに分けられる理由、「怒りの神」と「愛の神」の二面性を持つ唯一神アッラーについてなどなど、イスラームを学ぶ上での基礎知識が歴史的背景をもとに懇切丁寧に述べられています。この本の初版が出てすでに30年たとうとしてますが、今でもイスラームを学ぶためにまず手にしなければならない本であるのは間違いありません。

  • ユダヤやイスラムなど宗教に興味が出てきて、古本屋でたまたま見つけて何となく買った本でしたが、これが、大当たり! すごく面白い本だった。
    しかも文章が熱をもっていて、読ませる。でもわかりやすい。イスラムについて何も知らないわたしにでも読めるくらい。
    井筒俊彦さんの本、これからどんどん読んでいこうと思った。
    P126 つまり、人間が彼にとってかけがえのない大切なものである自分自身を、そっくり神に引き渡すこと。自分に関わる一切を神の手にゆだねて、なんでも向うのなすまま。これがイスラームという宗教における宗教的実存の最も根本的な姿勢である。そしてこのように自分をすっかり神に任せてしまった人を「ムスリム」という。
    P128 ちょうど「イスラーム」に対応する実存的性質をあらわす形容詞が「ムスリム」であるように、「ジャーヒリーヤ」に対応する人間の内的あり方を指す形容詞は「ジャーヒル」である。宗教的に人生の転換点をあらわす「アスラマ」を境として、同じ一人の人が、その境界線の前ではジャーヒル、後はムスリム。自己の全てをあげてそっくりそのまま神に引き渡してしまった人は、それまでの彼には自分でも良そうもできなかったようないろいろな性質が現れて来る。性格も一変するし、行動のパターンも変わる。それに第一、ものの見方が根本的に変わってしまう。そうでなければムスリムではあり得ないのだ。

  • 1990年8月10日、初、並、帯無
    2015年2月13日松阪BF

  • (2001.11.02読了)(2000.09.30購入)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    イスラームとは、ムハンマドとは何か。シリア、エジプト、メソポタミア、ペルシア…と瞬くまに宗教的軍事的一大勢力となってキリスト教を席捲した新宗教イスラームの預言者ムハンマドの軌跡を辿る若き日の労作に、イスラーム誕生以前のジャーヒリーヤ時代(無道時代)との関連の歴史的解明と、さらにはコーランの意味論的分析を通じてイスラーム教の思想を叙述する独創的研究を加えた名著。

    ☆関連図書(既読)
    「テロリズムと世界宗教戦争」宮崎正弘著、徳間書店、2001.10.31
    「オサマ・ビンラディン」エレーン・ランドー著・大野悟訳、竹書房、2001.11.01

  • コーランの翻訳等で知られる著者が、初期の著作「ムハンマド伝」を手直しし、新たに「イスラームとは何か」を書き下ろしてまとめたもの。
    文章は平易で読みやすいが、作者が漢文にも堪能なため、初めて見る熟語も多数。(各漢字自体は難しくないので、意味は推測できるが。)
    ムハンマド以前のベドウィンとしての生き方・生活様式が詳しく説明することで、現在のイスラームの特徴、不可解さを分かり易く解き明かしている。

  • 日本を代表する大学者の本が100円で売っていた。前半のムハンマド伝は、はしがきに述べられたようなロマンティシズムをなんとなく感じ取ることができたし、大体分かったが、後半はかなり難しくてほとんどわからなかった。でも、ジャーヒリーヤ時代とムハンマド以後の違いとか、イスラームの本来の意味するところ,「自分の大切なものを他人に引き渡し、相手の自由な処理に任せる」(この場合相手は神)ということとか分かったし、良しとするか。クルアーンや、その他の詩からの引用が豊富です。

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著者プロフィール

1914年、東京都生まれ。1949年、慶應義塾大学文学部で講義「言語学概論」を開始、他にもギリシャ語、ギリシャ哲学、ロシア文学などの授業を担当した。『アラビア思想史』『神秘哲学』や『コーラン』の翻訳、英文処女著作Language and Magic などを発表。
 1959年から海外に拠点を移しマギル大学やイラン王立哲学アカデミーで研究に従事、エラノス会議などで精力的に講演活動も行った。この時期は英文で研究書の執筆に専念し、God and Man in the Koran, The Concept of Belief in Islamic Theology, Sufism and Taoism などを刊行。
 1979年、日本に帰国してからは、日本語による著作や論文の執筆に勤しみ、『イスラーム文化』『意識と本質』などの代表作を発表した。93年、死去。『井筒俊彦全集』(全12巻、別巻1、2013年-2016年)。

「2019年 『スーフィズムと老荘思想 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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