- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122018358
感想・レビュー・書評
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旧約聖書を読んだことも開いた事もないけれど、
色川武大の人生観がよく読めて面白い。
S4年生まれ、平成元年死去60歳、55~57才の作品。
旧約聖書は中学生の頃から読みはじめていると書いている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「私は、西遊記の中に登場する、自分の個性だけで方々に跋扈している化け物のようなものなのでしょうね。悟空や八戒や悟浄は、なぜか、わりにたやすく三蔵法師に帰依して、大ざっぱな生き方をしました。みずからの個性など観音の掌の上で踊っているようなものだと彼らは気づいていくのですね。ほかの化け物たちは個の範囲で生きることにこだわって、次々に打ち倒されていきます。」
...なんとなく自分のことを言われている気がするw -
この人の文章力のすごさ。斬新な切り口を簡潔な文章でいともたやすく書いているように見える。他の著書にも言える事だけど本当にすごい。
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なんとバンコクの紀伊国屋の216バーツという値札がついている(日本価格は495円+税)!タイに行って、宗教のことをあれこれ考えて買ったんだと思う。分かりやすすぎる…苦笑。
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20090305-20090310
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旧約聖書を色川武大氏が読み解き、日本人の感性と作家としての感性で、あれこれ解説してくれる。
これを読めば、今のイスラエル紛争などの侵略や簒奪なんて
むかしっから彼の国、彼の人種らには「てんであたりまえ」なんだと判る。
旧約は、キリスト出現前までの彼の土地の神と預言者にまつわるエピソードなのだが
もうとにかく殺し殺されの連鎖というか、俗まみれこのうえない人間臭い神が人民をかきまわすお話なのだ。
勿論、他の土地の神はすべて邪教とみなすという一神教がベースになっている。この点、何とも排他的なんだよなー。
天地創造やそのほか全てについて圧倒的なパワーを持つ神とされる存在が、誰よりも嫉妬深く人間臭い考えを発揮するとなると
それはもう、じつに個々の人間たちは振り回されまくりで、蹂躙される一方なのである。
神とその預言者による、生死を紙切れより薄く扱った民族的右往左往。死屍累々の連続。
そんなのが延々繰り返される厳しい土地、それがイスラエル周辺なのだろうか。
僕は、神というものは、たぶん大自然や、世の理そのものを擬人化したパッケージを指すのだと理解しているが、その点、
やっぱり「やおよろずの神がそれぞれ信じられる国」=日本に生まれてよかった、とも思うのである。 -
ギャンブルき印の不良だった著者が、これまで培ってきた人生哲学で旧約聖書をひもといていく。聖書の中の数編のエピソードが著者の中で一度そしゃくされてから語られるので、聖書特有のの固苦しさはない。たんなる聖書の解説本ではない。著者と聖書の奇妙な交わりには、人が荘厳な存在と正面から向き合うときの、挑戦的な姿勢が見てとれる。