醒めた炎―木戸孝允〈4〉 (中公文庫)

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  • 中央公論社
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (486ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122018495

感想・レビュー・書評

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  • (2015.11.19読了)(1991.11.11購入)
    副題「木戸孝允」
    木戸孝允(桂小五郎)の評伝、全四巻の最終巻です。第一巻を6月末から読み始めて約5か月で全四巻を読み終わりました。第一巻を購入してから25年経ちました。
    この本のもとは、日本経済新聞の日曜版に1979年5月6日から1987年2月22日まで、406回にわたって連載されました。始めたときは、二年ぐらいで完結するつもりだったそうですが、8年かかってしまった、とのことです。
    単行本は、上下巻二冊で、1987年7月と8月に刊行されています。
    木戸孝允(桂小五郎)の評伝、ということになっていますが、幕末史であり、明治維新史になっています。こんなに詳しい、興味深い幕末・維新に関する本は、初めて読みました。
    幕末・維新に興味のある方にお勧めです。
    この本を読むと、武士の世を終わらせ、明治の基礎をつくりあげたのは、木戸孝允なのだということがよくわかります。現実に沿って考えて、今やるべきことは何かということを着実に実行に移してゆける人だった。極端に走らず、何をどの程度やればいいのかを考えて提案し、説得して、同意を取り付けて、着実に実行していった。
    残念ながら、体がもたず、45歳で亡くなってしまった。胃がんだったのではないかとのことです。
    第四巻では、遣欧使節団の事、征韓論、台湾出兵、西南の役、木戸孝允の死、などが扱われています。
    戦争をやろうとする人は、戦争には、どれだけのお金がかかるかをまじめに計算することがないんですね。戦争には、兵站が必要であることは知っていても、それをまじめに考えることはないんでしょう。まあ、ちゃんと考えて計算したら、空元気は、あっという間にしぼんでしまうでしょうから。
    韓国への出兵は、危ういところで、実施には至らなかったけど、台湾出兵は、赤字に終わっています。

    【目次】
    遣外使節団
    留守政府
    大分裂
    「新政府」
    台湾出兵
    左大臣の策謀
    白雲を望む
    あとがき
    出典一覧
    村松剛の伝記的戦略  佐伯彰一
    人名索引

    ●新聞雑誌(16頁)
    「新聞雑誌」は、木戸の発案によって創刊された。
    開化の推進には民衆啓蒙のための情報機関が必要であることを、彼は力説した。
    ●台湾出兵問題(89頁)
    台湾に琉球の船が漂着して船員五十四人が住民によって虐殺されたという情報が八月に東京にはいり、琉球を支配してきた薩摩人たちが台湾征討をしきりに主張したのである。
    ●学制(94頁)
    政府は前年(明治五年?)の八月に学制を定め、「邑に不学の戸なく、家に不学の人なからしめんことを」期すという布告を出していた。
    フランスの教育制度に学んで全国を八つの大学区に分け、大学八、中学二百五十六、小学校五万三千七百六十をつくる計画だった。文部省は二百万の予算を計上したのだが、それが百万円に縮減されたのである。
    ●憲法制定(109頁)
    木戸は日本に帰るとすぐに、政規(憲法)制定の急を訴える建白書を政府に提出し、さらにこれを十月の「新聞雑誌」に掲載した。
    ●出兵費用(224頁)
    出兵の費用に関しても、大隈、西郷はあきれるほど楽観的だった。三月末の閣議で木戸が戦費の捻出方法についてたずねると、大隈は、
    ―五十万円の用意があります。
    五十万円で足りるという保証がどこにあるのかという木戸の質問にたいしては、戦費がそれ以上にかさんだら西郷は腹を切るといっていますと彼はこたえた。
    これでは、予算説明にはならない。
    ●国・政府(226頁)
    「深く惟ふ、國は人民によりて立つの名、政府は人民を安んずるの稱なり」
    ●地方議会(261頁)
    木戸の最大のねらいは国会創設の準備としての地方民会の設立だった。七十府県のうちで二府二十二県が、まだいかなる意味での議会も持っていない。
    ●鹿児島県(316頁)
    廃刀令も地租改正も、鹿児島では実施されていない。

    ☆村松剛さんの本(既読)
    「ユダヤ人」村松剛著、中公新書、1963.12.18
    「古代の光を求めて」村松剛著、角川新書、1964.02.15
    「ジャンヌ・ダルク」村松剛著、中公新書、1967.08.25
    ☆関連図書(既読)
    「花燃ゆ(一)」大島里美・宮村優子作・五十嵐佳子著、NHK出版、2014.11.25
    「花燃ゆ(二)」大島里美・宮村優子・金子ありさ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2015.03.30
    「花燃ゆ(三)」大島里美・宮村優子・金子ありさ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2015.07.30
    「花燃ゆ(四)」小松江里子作・五十嵐佳子著、NHK出版、2015.10.30
    「久坂玄瑞の妻」田郷虎雄著、河出文庫、2014.11.20
    「世に棲む日日(1)」司馬遼太郎著、文春文庫、2003.03.10
    「世に棲む日日(2)」司馬遼太郎著、文春文庫、2003.03.10
    「世に棲む日日(3)」司馬遼太郎著、文春文庫、2003.04.10
    「世に棲む日日(4)」司馬遼太郎著、文春文庫、2003.04.10
    「高杉晋作」奈良本辰也著、中公新書、1965.03.
    「高杉晋作と奇兵隊」田中彰著、岩波新書、1985.10.21
    「醒めた炎(一)」村松剛著、中公文庫、1990.08.10
    「醒めた炎(二)」村松剛著、中公文庫、1990.09.10
    「醒めた炎(三)」村松剛著、中公文庫、1990.10.10
    「岩倉使節団の西洋見聞」芳賀徹著、日本放送出版協会、1990.01.01
    「条約改正」井上清著、岩波新書、1955.05.20
    (2015年11月22日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    西南の役のさなか、睡眠中に木戸は突然「西郷も大抵にせんか」と大声で叫んだという。役の結果を知らぬまま、新生日本の行く末を案じつつ45歳で没したその生涯は、苦難に満ちた明治政府の形成過程そのものだったのである。巻末に詳細な出典一覧・人名索引を付す。昭和62年度菊池寛賞受賞の大作。

  • 「巻末に詳細な出典一覧・人名索引を付す。昭和62年度菊池寛賞受賞の大作(アマゾン紹介より)」 このために、4巻だけプレミアがついています。…4巻だけ買いました。

  • 10/05/05amazonマーケットプレイスにて購入

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