スティル・ライフ (中公文庫)

著者 : 池澤夏樹
  • 中央公論社 (1991年12月10日発売)
3.85
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122018594

スティル・ライフ (中公文庫)の感想・レビュー・書評

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  • タイトルの「スティル・ライフ」って画材の静物、あるいは静物画という意味なんですね。 そっか、うん、確かにこの物語そのものがひっそりとしながらも存在感のある静物、なんだなぁ、と納得です。.
    先日読んだ、朝日新聞のコラム集「終わりと始まり」がよかったので、芥川賞受賞作である「スティル・ライフ」も読んでみようかな、と。(#^.^#)

    染色工場でアルバイトをする青年が主人公なのだけど、芯に硬いものと柔軟なもの、二つを兼ね備えているような彼が好きでした。

    池澤さんって、理系の村上春樹って言われている人なんですって。
    うん、なるほどね・・・・。(#^.^#)


    で、このお話に出てくるメインキャラは ぼく と、アルバイト仲間の佐々井。
    二人とも、リアルな世界からちょっと離れた所に身を置いて、でも、そんな自分が結構気に入ってたりするところが似てるかな。
    落ち着いた話しぶりや、じっと何かを見つめる姿勢が静かに私の中に入ってきて、気もちよく読めました。

    で、お話のヤマは、突然佐々井から持ちかけられる“仕事”の話。



    ネタばれです。


    なんと、佐々井は8ケタ(って〇千万だよね)の横領犯で、でも、そのお金には手をつけないまま、もうすぐ時効を迎える、という設定。
    そのお金を資金にして、株取引で利益をあげ、それを利子としてつけ元本も返す、という。
    一攫千金といった株の儲け方ではなく、地道に売り買いをして利益をあげていく、という過程も面白かったし、佐々井が残していったプロジェクターや山、川、星などの写真を一人で見る ぼくもよかったです。

  • 紀伊国屋書店が実施していた『本のまくら』フェアで手にとった一冊。 『生物と無生物の間』を読んで以来、理系の人が書く小説を読んでみたかったけど、まさしくこれ!って感じで言葉のチョイスが絶妙でした。 良い本に出逢えたなー☆

  • 公金横領の犯人の仕事を手伝う、ロシア人からスパイの誘いがある、派手な設定なのに、静かに、美しく進む物語。本の周りに人がひとりおさまる位の球状の静寂があって、本を手に取り読んでいる間はどこにいても周りの音から遮断される、そんな想像をさせられてしまったよ。続きが気になるけど、それは重要じゃないんだろうな。
    誕生日の贈り物。感謝。

  • 久しぶりに読み返しましたが、相変わらず素晴らしい小説でした。この小説は僕にとって「かすかに光る微小な天体」として、高い軌道の上に確かに存在し続けています。

  • ステイルライフ:まだこの作品を超えるような池澤夏樹の小説には出会えていない。独特の雰囲気と手ざわり感。

  • 難しい。たぶん 自分の 内なる世界 と 外の世界 の 2つの世界を目線を変えて 描いた小説2編。タイトルに 意味があると思う

    「スティルライフ」は 静止画の意味。星や外の世界を 静止画として 自分の内なる世界と別物として見る目線。小説の中での 佐々井の役割=外の世界を暗喩

    「ヤーチャイカ」は ロシア女性宇宙飛行士のコールサインを意味。宇宙(外の世界)から 自分の内なる世界を見る目線。小説の中での 恐竜の役割=自分の内なる世界の変化を暗喩

  • ものすごく不思議な読書体験。こういう本に出会えるから、読書はやめられないなあと思う。二作目の『ヤー・チャイカ』が好き。二度目を読むときに、感じ取れることが増えてるといいな。

  • 初めての池澤作品。きっかけは、池澤さんが訳・編集した作品を複数読んで、池澤さんの書いたあとがき(解説)がどれも言いようもないほど素晴らしかったから。洋の東西も成立年代も問わず、他人の作品やその描かれた時代背景を、これほど適切に捉えて、あとがきという短い枠の中で表現できる人が書く小説はどんなものだろう、と思ったからです。
    最近は本編以上に、池澤さんがどう解説してくれるかのほうが楽しみになってしまっていたぐらいです。

    今回手にしたのは、哲学的かつ観念的なのに、反面、とてつもなく冷静な視点で描かれた、すごい2編。

    ネタバレは避けたいので、あまり多くは書けませんが、どちらのお話も、少し歪な環境にいる主人公が、謎の人物と出会い、関わる中で、彼らの世界に多少引きずられそうになりながらも、自分自身と、自分が属す世界、そして、属さない世界との距離感を冷静に見つめながら、淡々と日常を営んでいく話です。

    謎の人物が、束の間、主人公の思考と生活を刺激して去っていくことに焦点をあてたら、「哲学怪談」とでもいえるかもしれません。

    読んでいる最中、これまでに読んだ、いろいろな作家さんの色々なお話が頭に浮かびましたが、そのどれとも異なる、とても不思議でとても深いお話です。

    「この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。」

  • 良い。すき

  • エントリーシートに書いた「好きな本」にスティル・ライフを入れた。こんな美しい話を読んだのは夏目漱石の夢十夜、以来。

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