謎の七支刀―五世紀の東アジアと日本 (中公文庫)

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  • 中央公論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122018693

感想・レビュー・書評

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  • 1991年(底本1983年)刊。著者は京都大学名誉教授。表題の「七支刀」は奈良県大和石上神社に蔵され、昔から刀銘の存在が知られていた。その刀銘の文字比定・解釈に関する学説史と著者の私見、私見開陳の前提として、考古学史料と文献史料との矛盾・競合の場合の優劣・判断基準・双方の限界等を指摘し、その上七支刀銘解釈に影響された①稲荷山古墳鉄剣銘と②江田船山古墳王刀銘の解釈、③七支刀銘の源流たる中国内の長文刀銘の解説、④七支刀が百済から日本に伝来し、謎も多い5Cの東アジア情勢まで射程に。他説批判のお手本の如き論じ方。
    確かに、叙述テーマが明快かつ範囲の狭く、問題の所在も明らかだが、本書は他説の説明に相当の分量を割き、これを十分踏まえつつ、提起された問いに即して論じられる。つまり、細かいのに各部での検討対象が明快という意味で、本書は抜きん出た長所を有する。
    補足。東晋から南朝宋へ流れていく5世紀の中国の模様が判りやすい(参考文献の提示がないのが困るが…)。

  •  読む前は、百済の近肖古王(クンチョゴワン)が倭国にもたらしたものと信じていたが、宮崎先生の解説で考えを改めた。ちょうどBSで韓国歴史ドラマ「百済の王 クンチョゴワン」を見ているので、同時並行して読むことができた。
     個人的には近肖古王の時代にわが国に来たものであってほしいが、宮崎市定先生のご指摘はまったく崩し難い。
     また、七支刀以外の解説もいちいちもっともである。
     それにしてもわが国の考古学界はどうなっているのだろう?新しいあるいは異なった意見を受け入れない姿勢は、閉鎖的封建的である。以前にも遺跡にこっそり石器を埋めて、いかにも新たな発見のように装った研究者がいた。少しでも変わっていることを期待したい。

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