TUGUMI(つぐみ) (中公文庫)

著者 : 吉本ばなな
  • 中央公論社 (1992年3月1日発売)
3.72
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  • 1221レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122018839

作品紹介

病弱で生意気な美少女つぐみ。彼女と育った海辺の小さな町へ帰省した夏、まだ淡い夜のはじまりに、つぐみと私は、ふるさとの最後のひと夏をともにする少年に出会った―。少女から大人へと移りゆく季節の、二度とかえらないきらめきを描く、切なく透明な物語。第2回山本周五郎賞受賞。

TUGUMI(つぐみ) (中公文庫)の感想・レビュー・書評

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  • きらめく美しい海と
    胸の奥を満たす潮の香り。

    旅館の居間で飲む薄めのカルピスと
    扇風機の生ぬるい風。


    切なさの塊のような文体で綴られる、
    生意気な少女と過ごした
    海の見える旅館での
    忘れることのできない
    一瞬のきらめき。


    夏と言えば
    真っ先に思い出すのが
    大好きなこの作品です。


    まずなんと言っても
    病弱で生意気な少女つぐみの
    傍若無人でいて純粋無垢なキャラが
    とにかく魅力的で心惹かれるのです。


    コレあまり知られてないけど
    映画版で牧瀬里穂が
    つぐみを演じていて、
    これが妙に合ってたんですよね〜


    主人公の白河まりあが語る、
    つぐみという
    いとこの少女と過ごした
    山本旅館でのひと夏の思い出。

    ただそれだけの話なのに
    どうしてこれほど
    記憶に残って
    いつまでも光を放ち続けるんだろう。


    意地悪で口が悪く、
    わがままで甘ったれで
    ずる賢いつぐみ。

    病弱なつぐみが
    いつも
    イライラを抱えてるのは
    いつか来る死の不安が常にあるから。

    そして人に理解されてしまわないよう
    わざと汚く振る舞う
    つぐみの
    いじらしいこと。


    まりあとつぐみが仲良くなるきっかけとなった
    お化けのポスト事件、

    犬のポチとつぐみの見えない絆、

    恭一とつぐみの淡い恋模様、

    いつも穏やかで涙もろい
    つぐみの姉の陽子ちゃんの清らかな魂。

    眠れなくてパジャマのまま
    あてもなく歩く
    夜のピクニック。

    花火を見上げながら食べるスイカ。


    ばななさんが
    この作品に込めたものは、

    いつか消えて無くなってしまうモノへの郷愁。


    そしていつも
    ばななさんの小説に共通するのは、

    避けがたいけれど
    決して不幸ではない
    自然な別離の大切さと

    儚く散ってしまったモノが
    きらめいた軌跡を
    絶対に忘れないでいようという
    強い意志なんですよね。


    人はみな
    守り守られて生きている。

    だけど二度と戻れなくなってからじゃないと
    その中で守られていたことにすら気がつかない…

    一度そこから飛び出してしまわないと
    その温もりには
    絶対に気付かない…


    だからこそ
    人には別れが必要だし、
    人はいつか
    暖かい場所を離れ
    旅立っていくんだと思う。


    命の危機にさらされたつぐみが
    初めて自分の心情を綴った、
    まりあに最後に送った手紙。


    切なさと希望が入り混じったラストも
    本当に素晴らしい、
    記憶に残る小説です。

  •  とてもよかった! 読み進めていると、つぐみの行いや口の悪さがとても愛おしく思えてくるんです。きっとつぐみの周りにいる人たちもこんな気持ちなのかなあと思いながら読みました。

  • よしもとばななさんの文章って凄く独特なのにさらりと読めるんだよなあ。
    すごくそれが不思議。
    この本もそう、風景とか空気がすごく伝わってくる。

    つぐみが凄く嫌な子で、好きになれなくて、でも読み続けられた。
    魅力のある本だ。

  • 人は本音を言えることが、いいことなのか。
    弱音をはかず、弱いところをみせないほうがいいのかもしれない。そんなことを感じる。
    従兄弟という極めて微妙な距離感だからこそ、心を許せるのか。
    従兄弟がいない自分にはわからないけど、人との距離は近いに越したことがないとは思えない。
    それぞれに合った距離があり、それが一致した時にお互いのことをよく理解してくれるかけがえのない関係が築けるのかもしれない。
    そんな人との距離感に悩んだ時に心休まる本だと思う。

  • こういう、正解とかテーマとか何にもない、ただある人々に起こっているかもしれないドラマが描かれた小説もいいなー。
    ただの喜怒哀楽では説明できない、あるワンシーンのその人物なりの表情や動作が繊細に書かれていて、ちょっとじーんとしたり、うわぁ、この書き方好き!てなったりする本でした。

    つぐみの強烈なキャラが面白くて、全然重そうでも難しくもなく、綺麗な海辺の長閑な時間の中でどんどん過ぎていく日々。さらさら読めて、後味も良く、人の心の機微に触れられる気がする。夏にオススメの一冊です。

  • 今更ながら、この本に出合えて良かったと思う。海に出かけたくなった。つぐみは自分の知り合いなんじゃないかってくらい、入り込んだし、4人が言葉にしなくてもお互いを必要としている感覚が素敵だなぁと思った。どの話も好きだけど、最後病院と東京で電話していて、病院側の電話に代わる代わる人が集まってくる場面が好きだった。東京に帰るまりあに対して、皆と離れて残念と思っていたけど、つぐみも言ったように、何かを得るために何かを失う、だったり、別々の場所でもちゃんと繋がってるんだと感じて、読んだあとじんわり温かくなった本。

  • やっぱりあと書きの「つぐみは私です」には、ぎょっとしました。
    つぐみは死んでしまうと思いながら読み進めていたので、生きていたかと(悪く言えば)拍子抜けしてしまった。手紙の署名「TUGUMI・Y」は昭和のかっこよさが21世紀には少し臭いなと笑った。こういう臭さは、吉本ばななの本にはよく感じる。数年前の自分の失態を思い出した時の恥ずかしさに似ている。だからとてもむずむずして、よく印象に残ってしまって、やっぱりしばらくはむずむずしている。一種のネタか御家芸みたいに思っている。
    あらゆる海の感触とか、私の体験は昔すぎてすっかり覚えていないので、近い内に(せめて)浜に行きたい。砂の感触しか覚えていないし、それがグラウンドなのか庭なのか砂浜だったのかもさっぱりだ。もしかしたら、間違えて弟に履かれた砂まみれの靴下かもしれないし。
    とにかく、次は「うたかた/サンクチュアリ」を読みます。

  • 私の愛読書。

    私の理想の美少女は、実はつぐみだったりする。
    キッチンに並び、TUGUMIは私の精神安定剤。

  • やっと、やっと、最強に口が悪い女の子に会えました!
    「よしもとばなな、好き」と言いながら、TUGUMIを読んだことが無いって何か間違っているで、、、、と思いつつ、積読状態のものが多すぎて後回しになっていました。やっと健全に「よしもとばなな、好き」って言えるような気がするわ。
    以下まともなレビューというより、相変わらずの読み終えた後味のような、ゆるーい感想の垂れ流し。
    病弱故に破天荒、という一見矛盾した、つぐみの特徴はどこか、私自身を彷彿させるものがあって、人間は内にいるときと外にいるときとで、ここまで大きく変わることが出来てしまうものだという点も私自身のことのようで、何だか厭になってしまいました。つぐみの馬鹿!と思いながら、自分も馬鹿だなーってずっと思いながら、読んでいました。そして、よしもとさん自身でもあるというから、尚一層なんだか厭になってしまいました。「外面のいいやつ」というのか、「二重人格」というのか、兎に角厭ーな人間とだけ思われがちなものですが、人間ってそんなものじゃないかと思うのです。意地っ張りにならずに、暴力性を開花させずに、全うに生きていける人ってそういないでしょう?と寧ろ信じたい部分もあるのです。理想としては、一貫して心穏やかに生きていたいものです。だけど、泣き叫びたい悲しいことはいくらでも起きるし、昔の美しい女優さんのような絵になる泣き方じゃ物足りないことの方が多いし、泣くだけじゃやりきれなくて怒鳴り倒したくなることだって多いものです。うっかりしていたら、それがエスカレートして、許されないところまで行きついてしまうかもしれないのが、人間の恐ろしいところであり、「人間らしさ」と隣り合わせにあるところだと思います。大人になるにつれて、「つぐみ」からちゃんと卒業しないといけないのかもしれません。だけど、感情って大事だなとも思うのです。つぐみを見ていると、他者の力に惑わされることなく、縛られることなく、やりたいことをやりたいようにやることの必要さ、尊さを思い出せられるし、眩しいと感じさせられます。しかも、つぐみはそれだけじゃないもんな。ただつぐみに関して言えば、「勝手」に生きているわけではないらしく、不器用なんだか器用なんだか、兎に角頭の中ではどうやら相当色んなことを考えて、しっかり生きていると見えます。相当なやり手です。「いい女」だと勝手に思っています。しかも美人と来た。困ったものです。個人的には、羽海野チカさんに、つぐみと、まりあと陽子ちゃんと、皆、書いて頂きたい、きっととっても上手に書いて下さると思うのです。あのお方、可愛らしい女の子がうっとりとしている表情を描くのがとってもお上手な方だから。だけどうっとりとした表情のつぐみが、放つ台詞は最強にめちゃくちゃで、まりあは愕然とするわけでしょう。絵にしても、とっても楽しいと思います。そういえば、羽海野せんせ代表「はぐみちゃん」と、名前も含めて対称的な女の子だなあ。
    生きている年代こそ違うけれど、ちょうど私と同世代の女の子達の物語です。大人だけど子供、その位置づけの中での、もやもやーっとした、曖昧な世界の中に生きるやつのぐだぐだした感情が、よしもとさんにとってがっつり掴まれている作品です。たまらなく好きだなー。好きだなー。表紙も好き。夏の田舎の砂浜の懐かしい(ただし、私は嗅いだことの無いはずの)匂いを感じる素敵な本です。

  • つぐみが魅力的過ぎる。

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