TUGUMI(つぐみ) (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122018839

感想・レビュー・書評

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  • グラリ、グラリと、
    大きく心を動かされた。
    こんな感覚は、初めてだ。

    本でも映画でも、
    泣いたり笑ったりすることはあった。
    感動的なシーンには、涙もろい性だ。
    けれども、こんなにもわたしの
    心の奥底を探り当てた作品には
    出会ったことがない。

    散りばめられた言葉のピースと、
    その天才的な文章構成で、
    恐ろしいほど繊細なひとの心情を
    書き連ねてしまう。

    この人は、天才だ。
    「告白」の章から、まさにそれを感じた。

    グイッと心の中に入ってくるこの感覚、
    まるで自分も同じ世界に
    タイムスリップしたような妙な心境。
    気を抜くと、今にも自分を忘れ去ってしまいそうだった。

    読み終わったあと、
    無意識にまた表紙をめくった。
    もう一度、同じ感覚に会うために。

  • 今から20年以上前に発表された作品だが、読むのは初めて。
    破天荒なつぐみが面白いだけの作品ではない。めちゃめちゃだが真っ直ぐで、常に全力。たまならく魅力的だ。
    自らを犠牲にして報復した後に、生きる気力もなくなったつぐみが送った手紙で本書は終わるが、新たなつぐみの人生が始まったんだなと感じる。
    また人物の向こうに見える海の匂い、太陽を反射してキラキラ輝く水面、波打ち際の音...。
    登場人物だけではなく、その背景までもが鮮やかに思い浮かぶ。気持ちの良い本でした。
    さて、牧瀬里穂主演の映画を見るべきか...悩む。

  • 一度手放してもまた巡り会う本がある。わたしにとって『TUGUMI』がそうだ。
    初めて読んだのは、ちょうどつぐみらと同じ年頃だった。でもどんなことを思いページをめくっていたのかは、すっかり忘れているのだけれど。
    ただ、その頃が想い出となった今でも、わたしにも忘れられない夜があったことは覚えている。

    『TUGUMI』のなかでも「夜のせい」の章がすきだ。
    時を経ても夏の夜のにおいに、ふと胸が締めつけられる瞬間があるから。

    病弱でワガママで生意気で、そして美少女のつぐみ。
    距離をおきたくなるような少女なのに、彼女がとても魅力的にみえるのは、まわりの人々が優しいからなんだと思う。それは、つぐみへの献身的な優しさ。つぐみを取り巻く人間は、みんなやさしい。
    漁港と観光で回る故郷のひと夏の出来事は、今までの少女でいられないことに気づかされる。それは、新しい自分との出会いなのだ。

    きらめく夏の海辺の町の風景が癒される物語なのだけれど、わたしにとって『TUGUMI』はやっぱり夜の匂いがするのだ。

  • TSUGUMIの口の悪さに「嫌な子」っていう印象を持ってしまうけれど、真っ直ぐなところもあって、本を読み終わる頃にはTSUGUMIが大好きになってしまった。

  • キッチンと並ぶ吉本さんの代表作。
    たまたま、同じくらいの季節で、やっぱり夏って他の季節とは少し違うなぁと。なんだか海に行きたくなってしまう。
    この作品も、やはり身近に死がはっきりと存在していて、生というものが死によって色濃く描き出されている。
    巻末のインタビューにあったが、どうあっても人生は死に向かう以外の意味はない。そこに希望や意味を見出すのが哀しき人間の運命であり、言葉をもってしまった人間が動物とは一線を画すところである。
    それを悲観するのでなく、ただそうなっているのだと、吉本さんは、ことばによって人の心を浄化させることができる。
    書くということ、ことばの力。ことばは決してひとのどうぐなどではない。言葉が人を通して語る、池田さんの言葉がまた頭をよぎった。

  • つぐみが愛すべきキャラ過ぎてズルい。。。

  • 夏の匂いや海辺の情景を思い浮かべると懐かしく感じた。それは、母の故郷である島を思い起こさせてくれた。キラキラと輝く風景と、そこに住む美しいが強烈なつぐみ。切ない話だが、エネルギッシュな話でもあった。色々な場面を頭で思い浮かべながら読み進むことができた。母にも読んでもらおう。

  • つぐみ。
    キャラクター部門でなら、ばななさんの作品の中でも一二を争う子だったのではなかろうか。

    そして最強の萌えキャラ…。

    先取りしていたばななさんのセンスに度肝抜かれる!

    個人的にN・Pの箕輪萃もキャラ部門で上位だと思っている。

  • 西伊豆を連想させる海辺の町を舞台にしたひと夏の出来事が、みずみずしい感性を持って描かれ、何とも爽やかな読後感が残りました。つぐみという死に直面しているような不幸、そして超わがままで個性的な小悪魔的美少女が東京から来た青年・恭一、いとこのマリア、そして姉の陽子などに対して心を開いていく様子が素晴らしく、感動を呼びます。まさに清清しく通り過ぎていったひと夏の青春誌そのものです。描き方が、透明感があり、美しい映画を見た後の印象に近かったように思います。小松空港~金沢往復で読んだだけに海岸が北陸を思い出さざるをえませんでしたが、やはりこの透明感は明るい地方のイメージですね。

  • クソ生意気で、言葉遣いが悪くて、根性がひん曲がっていて、性格も悪くて意地悪なつぐみ。
    もし、出会っても絶対に友達にはなれない。
    なぜなら私も意地が悪くて性格が悪いので、つぐみに会ったらぶっ殺してやりたいと思う可能性が高い。
    性格が悪い同士仲良くはなれないな!とは思うけど、私はつぐみをきっと好きになると思う。
    お前本当性格悪いな!と思うけど、でも、私はつぐみの自分の中の絶対を曲げない強さと、でも真っ直ぐは生きていけない弱さに共感する。

    『いつもどこかまわりになじめないし、自分でも何だかわかんない自分をとめられず、どこへ行きつくのかもわかんない、それでもきっと正しいっていうのがいいな。』
    正しさは多分、他人が決めることではない。多数決で決めれることでもない。自分で決めることだけど、決めたからには貫き通す覚悟がないと、おそらくそれは正しさにはならない。

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著者プロフィール

吉本ばなな(本名:吉本 真秀子 よしもと まほこ、旧筆名:よしもと ばなな)
1964年、東京都生まれの作家。日本大学芸術学部文芸学科卒業。卒業制作の「ムーンライト・シャドウ」が日大芸術学部長賞を受賞。また「キッチン」で第6回海燕新人文学賞を受賞、デビュー作となる。
1989年『TUGUMI』で山本周五郎賞を受賞。1996年イタリアのフェンディッシメ文学賞(35歳以下部門)、1999年イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門を受賞。2000年『不倫と南米』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。その他代表作に、映画化された『アルゼンチンババア』などがある。
海外での評価が高く、著作が多くの国で翻訳されてきた。

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