TUGUMI(つぐみ) (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.72
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本棚登録 : 11293
レビュー : 1264
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122018839

感想・レビュー・書評

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  • きらめく美しい海と
    胸の奥を満たす潮の香り。

    旅館の居間で飲む薄めのカルピスと
    扇風機の生ぬるい風。


    切なさの塊のような文体で綴られる、
    生意気な少女と過ごした
    海の見える旅館での
    忘れることのできない
    一瞬のきらめき。


    夏と言えば
    真っ先に思い出すのが
    大好きなこの作品です。


    まずなんと言っても
    病弱で生意気な少女つぐみの
    傍若無人でいて純粋無垢なキャラが
    とにかく魅力的で心惹かれるのです。


    コレあまり知られてないけど
    映画版で牧瀬里穂が
    つぐみを演じていて、
    これが妙に合ってたんですよね〜


    主人公の白河まりあが語る、
    つぐみという
    いとこの少女と過ごした
    山本旅館でのひと夏の思い出。

    ただそれだけの話なのに
    どうしてこれほど
    記憶に残って
    いつまでも光を放ち続けるんだろう。


    意地悪で口が悪く、
    わがままで甘ったれで
    ずる賢いつぐみ。

    病弱なつぐみが
    いつも
    イライラを抱えてるのは
    いつか来る死の不安が常にあるから。

    そして人に理解されてしまわないよう
    わざと汚く振る舞う
    つぐみの
    いじらしいこと。


    まりあとつぐみが仲良くなるきっかけとなった
    お化けのポスト事件、

    犬のポチとつぐみの見えない絆、

    恭一とつぐみの淡い恋模様、

    いつも穏やかで涙もろい
    つぐみの姉の陽子ちゃんの清らかな魂。

    眠れなくてパジャマのまま
    あてもなく歩く
    夜のピクニック。

    花火を見上げながら食べるスイカ。


    ばななさんが
    この作品に込めたものは、

    いつか消えて無くなってしまうモノへの郷愁。


    そしていつも
    ばななさんの小説に共通するのは、

    避けがたいけれど
    決して不幸ではない
    自然な別離の大切さと

    儚く散ってしまったモノが
    きらめいた軌跡を
    絶対に忘れないでいようという
    強い意志なんですよね。


    人はみな
    守り守られて生きている。

    だけど二度と戻れなくなってからじゃないと
    その中で守られていたことにすら気がつかない…

    一度そこから飛び出してしまわないと
    その温もりには
    絶対に気付かない…


    だからこそ
    人には別れが必要だし、
    人はいつか
    暖かい場所を離れ
    旅立っていくんだと思う。


    命の危機にさらされたつぐみが
    初めて自分の心情を綴った、
    まりあに最後に送った手紙。


    切なさと希望が入り混じったラストも
    本当に素晴らしい、
    記憶に残る小説です。

    • 円軌道の外さん

      アセロラさん、
      いつもコメント
      ありがとうございます!

      この夏から
      体調を崩したり、
      仕事が多忙だったり、
      愛猫を亡く...

      アセロラさん、
      いつもコメント
      ありがとうございます!

      この夏から
      体調を崩したり、
      仕事が多忙だったり、
      愛猫を亡くしたりで、
      まったく本を読めない状態でした(≧∇≦)

      ようやくここ最近は
      気持ちが上向きになりつつあるので、
      ぼちぼちレビューも
      復活したいと思ってます(笑)



      おおーっ!
      アセロラさんにとっても
      大切な作品だったんですね(^_^)v

      しかも映画版まで
      御存知とは!(驚)


      つぐみのキャラは
      今思えば
      「元祖ツンデレ」で(笑)、

      ボーイッシュな女性がふとした時に見せる
      弱さや脆さや強がりに
      滅法弱い自分にとっては(笑)
      ホンマまぶしいくらい魅力的な女の子でした♪


      まりあのキャラは
      包容力に溢れて
      年の割にはスゴく大人びていて、
      (つぐみと一緒なら
      大人にならざるを得なかったのかな笑)

      つぐみの
      最大で唯一の理解者でしたよね。

      個人的には
      まりあのキャラこそが
      実はばななさん、そのものなんじゃないのかなって
      勝手に思ってます(笑)



      2013/12/01
    • Eriさん
      円軌道の外さん初めまして(*^^*)
      コメントありがとうございました*
      円軌道の外さんのレビュー心に沁みます(>.<)
      私は思ってる事...
      円軌道の外さん初めまして(*^^*)
      コメントありがとうございました*
      円軌道の外さんのレビュー心に沁みます(>.<)
      私は思ってる事を文章にしたり、言葉にするのがヘタクソなので羨ましいわぁ~(>_<)☆
      これからも覗かせて頂きます。
      私もTUGUMI大好きな一冊です(*≧∀≦*)
      自分に無いものを沢山持ってるつぐみは私の憧れです☆私が男だったらきっと恋してたなぁ~。


      2013/12/09
    • 円軌道の外さん


      わぁ~
      わざわざコメント頂き
      ホンマ嬉しいです(^O^)

      しかも大好きなTUGUMIのレビューに
      共感してもらえるなんて...


      わぁ~
      わざわざコメント頂き
      ホンマ嬉しいです(^O^)

      しかも大好きなTUGUMIのレビューに
      共感してもらえるなんて!

      あんなに傍若無人に振る舞っても
      どこか憎めないキャラって
      なかなかいないですよね(笑)

      ばななさんが
      命を吹き込むかのように、
      つぐみの悲しみや
      胸の奥に抱えた
      もやもやした想いや
      つぐみが持つ
      誰よりも純粋な心を
      丁寧に丁寧に描いたからこそ、
      多くの人を魅了する
      憎めないキャラになったんだと思ってます。


      Eriさんは
      思いを伝えるのが
      全然ヘタクソやないですよ(笑)


      言葉って
      生かすも殺すも自分次第やし、

      心で暖めるより
      言葉にして
      文字にして
      人目に触れて初めて、
      言霊が宿ります。


      だから上手い下手は関係ないし、
      好きな想いを
      素直に文字にして
      書いてみてくださいね(笑)


      これからもヨロシクお願いします!(^_^)v



      2013/12/12
  • 人は本音を言えることが、いいことなのか。
    弱音をはかず、弱いところをみせないほうがいいのかもしれない。そんなことを感じる。
    従兄弟という極めて微妙な距離感だからこそ、心を許せるのか。
    従兄弟がいない自分にはわからないけど、人との距離は近いに越したことがないとは思えない。
    それぞれに合った距離があり、それが一致した時にお互いのことをよく理解してくれるかけがえのない関係が築けるのかもしれない。
    そんな人との距離感に悩んだ時に心休まる本だと思う。

  • ばななファンになったきっかけの本。とにかく絵が眼の前にひろがる大好きな小説。

  • 今更ながら、この本に出合えて良かったと思う。海に出かけたくなった。つぐみは自分の知り合いなんじゃないかってくらい、入り込んだし、4人が言葉にしなくてもお互いを必要としている感覚が素敵だなぁと思った。どの話も好きだけど、最後病院と東京で電話していて、病院側の電話に代わる代わる人が集まってくる場面が好きだった。東京に帰るまりあに対して、皆と離れて残念と思っていたけど、つぐみも言ったように、何かを得るために何かを失う、だったり、別々の場所でもちゃんと繋がってるんだと感じて、読んだあとじんわり温かくなった本。

  • やっと、やっと、最強に口が悪い女の子に会えました!
    「よしもとばなな、好き」と言いながら、TUGUMIを読んだことが無いって何か間違っているで、、、、と思いつつ、積読状態のものが多すぎて後回しになっていました。やっと健全に「よしもとばなな、好き」って言えるような気がするわ。
    以下まともなレビューというより、相変わらずの読み終えた後味のような、ゆるーい感想の垂れ流し。
    病弱故に破天荒、という一見矛盾した、つぐみの特徴はどこか、私自身を彷彿させるものがあって、人間は内にいるときと外にいるときとで、ここまで大きく変わることが出来てしまうものだという点も私自身のことのようで、何だか厭になってしまいました。つぐみの馬鹿!と思いながら、自分も馬鹿だなーってずっと思いながら、読んでいました。そして、よしもとさん自身でもあるというから、尚一層なんだか厭になってしまいました。「外面のいいやつ」というのか、「二重人格」というのか、兎に角厭ーな人間とだけ思われがちなものですが、人間ってそんなものじゃないかと思うのです。意地っ張りにならずに、暴力性を開花させずに、全うに生きていける人ってそういないでしょう?と寧ろ信じたい部分もあるのです。理想としては、一貫して心穏やかに生きていたいものです。だけど、泣き叫びたい悲しいことはいくらでも起きるし、昔の美しい女優さんのような絵になる泣き方じゃ物足りないことの方が多いし、泣くだけじゃやりきれなくて怒鳴り倒したくなることだって多いものです。うっかりしていたら、それがエスカレートして、許されないところまで行きついてしまうかもしれないのが、人間の恐ろしいところであり、「人間らしさ」と隣り合わせにあるところだと思います。大人になるにつれて、「つぐみ」からちゃんと卒業しないといけないのかもしれません。だけど、感情って大事だなとも思うのです。つぐみを見ていると、他者の力に惑わされることなく、縛られることなく、やりたいことをやりたいようにやることの必要さ、尊さを思い出せられるし、眩しいと感じさせられます。しかも、つぐみはそれだけじゃないもんな。ただつぐみに関して言えば、「勝手」に生きているわけではないらしく、不器用なんだか器用なんだか、兎に角頭の中ではどうやら相当色んなことを考えて、しっかり生きていると見えます。相当なやり手です。「いい女」だと勝手に思っています。しかも美人と来た。困ったものです。個人的には、羽海野チカさんに、つぐみと、まりあと陽子ちゃんと、皆、書いて頂きたい、きっととっても上手に書いて下さると思うのです。あのお方、可愛らしい女の子がうっとりとしている表情を描くのがとってもお上手な方だから。だけどうっとりとした表情のつぐみが、放つ台詞は最強にめちゃくちゃで、まりあは愕然とするわけでしょう。絵にしても、とっても楽しいと思います。そういえば、羽海野せんせ代表「はぐみちゃん」と、名前も含めて対称的な女の子だなあ。
    生きている年代こそ違うけれど、ちょうど私と同世代の女の子達の物語です。大人だけど子供、その位置づけの中での、もやもやーっとした、曖昧な世界の中に生きるやつのぐだぐだした感情が、よしもとさんにとってがっつり掴まれている作品です。たまらなく好きだなー。好きだなー。表紙も好き。夏の田舎の砂浜の懐かしい(ただし、私は嗅いだことの無いはずの)匂いを感じる素敵な本です。

  • つぐみが魅力的過ぎる。

  • とても有名なお話ですが、情報を入れずにまっさらな状態で読みました。
    語り手のまりあが、つぐみと過ごす夏。
    儚くて、美しくて、優しくて、少ししょっぱい。
    まるでその景色を見ているような感覚になりました。
    懐かしささえ感じました。
    とても好きです。

  • すがすがしい気持ちになれる本でした。
    いい気分になりたいときに。


    つぐみ、まりあ大好き。

    終わりの方はどきどきした、
    一気に読んでしまった。

    同じ大学生としての立場から読んだけれど、
    自分も懐かしいあの頃の景色、
    少し想い出して
    幼かったなぁなんてね。

  • つぐみの魅力にやられました。なぜ中高生のときに読んでなかったのか、後悔するとともに今読めて良かったと強く感じました。どの章にも印象的な、ハッとさせられる描写があり(例えば、怒り の中の表現描写。本当に怒っているときの色は赤ではない)、何かの折にはふと読み返そうと思う、自分にとって大切な本のひとつになりました。
    山本周五郎賞は読んだ本全て当たりなので、自分の中で好きな賞です。センター現代文の問題にもなっているそうだが、納得。

  • きれいな海辺の町に住む、病弱な美少女のきらきらした話。まっすぐで、ひねくれていて、不器用なつぐみに惹きつけられます。仕事で疲れているときほど読みたくなる一冊です。

著者プロフィール

吉本ばなな(本名:吉本 真秀子 よしもと まほこ、旧筆名:よしもと ばなな)
1964年、東京都生まれの作家。日本大学芸術学部文芸学科卒業。卒業制作の「ムーンライト・シャドウ」が日大芸術学部長賞を受賞。また「キッチン」で第6回海燕新人文学賞を受賞、デビュー作となる。
1989年『TUGUMI』で山本周五郎賞を受賞。1996年イタリアのフェンディッシメ文学賞(35歳以下部門)、1999年イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門を受賞。2000年『不倫と南米』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。その他代表作に、映画化された『アルゼンチンババア』などがある。
海外での評価が高く、著作が多くの国で翻訳されてきた。

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