TUGUMI(つぐみ) (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.72
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本棚登録 : 11256
レビュー : 1262
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122018839

作品紹介・あらすじ

病弱で生意気な美少女つぐみ。彼女と育った海辺の小さな町へ帰省した夏、まだ淡い夜のはじまりに、つぐみと私は、ふるさとの最後のひと夏をともにする少年に出会った―。少女から大人へと移りゆく季節の、二度とかえらないきらめきを描く、切なく透明な物語。第2回山本周五郎賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • きらめく美しい海と
    胸の奥を満たす潮の香り。

    旅館の居間で飲む薄めのカルピスと
    扇風機の生ぬるい風。


    切なさの塊のような文体で綴られる、
    生意気な少女と過ごした
    海の見える旅館での
    忘れることのできない
    一瞬のきらめき。


    夏と言えば
    真っ先に思い出すのが
    大好きなこの作品です。


    まずなんと言っても
    病弱で生意気な少女つぐみの
    傍若無人でいて純粋無垢なキャラが
    とにかく魅力的で心惹かれるのです。


    コレあまり知られてないけど
    映画版で牧瀬里穂が
    つぐみを演じていて、
    これが妙に合ってたんですよね〜


    主人公の白河まりあが語る、
    つぐみという
    いとこの少女と過ごした
    山本旅館でのひと夏の思い出。

    ただそれだけの話なのに
    どうしてこれほど
    記憶に残って
    いつまでも光を放ち続けるんだろう。


    意地悪で口が悪く、
    わがままで甘ったれで
    ずる賢いつぐみ。

    病弱なつぐみが
    いつも
    イライラを抱えてるのは
    いつか来る死の不安が常にあるから。

    そして人に理解されてしまわないよう
    わざと汚く振る舞う
    つぐみの
    いじらしいこと。


    まりあとつぐみが仲良くなるきっかけとなった
    お化けのポスト事件、

    犬のポチとつぐみの見えない絆、

    恭一とつぐみの淡い恋模様、

    いつも穏やかで涙もろい
    つぐみの姉の陽子ちゃんの清らかな魂。

    眠れなくてパジャマのまま
    あてもなく歩く
    夜のピクニック。

    花火を見上げながら食べるスイカ。


    ばななさんが
    この作品に込めたものは、

    いつか消えて無くなってしまうモノへの郷愁。


    そしていつも
    ばななさんの小説に共通するのは、

    避けがたいけれど
    決して不幸ではない
    自然な別離の大切さと

    儚く散ってしまったモノが
    きらめいた軌跡を
    絶対に忘れないでいようという
    強い意志なんですよね。


    人はみな
    守り守られて生きている。

    だけど二度と戻れなくなってからじゃないと
    その中で守られていたことにすら気がつかない…

    一度そこから飛び出してしまわないと
    その温もりには
    絶対に気付かない…


    だからこそ
    人には別れが必要だし、
    人はいつか
    暖かい場所を離れ
    旅立っていくんだと思う。


    命の危機にさらされたつぐみが
    初めて自分の心情を綴った、
    まりあに最後に送った手紙。


    切なさと希望が入り混じったラストも
    本当に素晴らしい、
    記憶に残る小説です。

    • 円軌道の外さん

      アセロラさん、
      いつもコメント
      ありがとうございます!

      この夏から
      体調を崩したり、
      仕事が多忙だったり、
      愛猫を亡く...

      アセロラさん、
      いつもコメント
      ありがとうございます!

      この夏から
      体調を崩したり、
      仕事が多忙だったり、
      愛猫を亡くしたりで、
      まったく本を読めない状態でした(≧∇≦)

      ようやくここ最近は
      気持ちが上向きになりつつあるので、
      ぼちぼちレビューも
      復活したいと思ってます(笑)



      おおーっ!
      アセロラさんにとっても
      大切な作品だったんですね(^_^)v

      しかも映画版まで
      御存知とは!(驚)


      つぐみのキャラは
      今思えば
      「元祖ツンデレ」で(笑)、

      ボーイッシュな女性がふとした時に見せる
      弱さや脆さや強がりに
      滅法弱い自分にとっては(笑)
      ホンマまぶしいくらい魅力的な女の子でした♪


      まりあのキャラは
      包容力に溢れて
      年の割にはスゴく大人びていて、
      (つぐみと一緒なら
      大人にならざるを得なかったのかな笑)

      つぐみの
      最大で唯一の理解者でしたよね。

      個人的には
      まりあのキャラこそが
      実はばななさん、そのものなんじゃないのかなって
      勝手に思ってます(笑)



      2013/12/01
    • Eriさん
      円軌道の外さん初めまして(*^^*)
      コメントありがとうございました*
      円軌道の外さんのレビュー心に沁みます(>.<)
      私は思ってる事...
      円軌道の外さん初めまして(*^^*)
      コメントありがとうございました*
      円軌道の外さんのレビュー心に沁みます(>.<)
      私は思ってる事を文章にしたり、言葉にするのがヘタクソなので羨ましいわぁ~(>_<)☆
      これからも覗かせて頂きます。
      私もTUGUMI大好きな一冊です(*≧∀≦*)
      自分に無いものを沢山持ってるつぐみは私の憧れです☆私が男だったらきっと恋してたなぁ~。


      2013/12/09
    • 円軌道の外さん


      わぁ~
      わざわざコメント頂き
      ホンマ嬉しいです(^O^)

      しかも大好きなTUGUMIのレビューに
      共感してもらえるなんて...


      わぁ~
      わざわざコメント頂き
      ホンマ嬉しいです(^O^)

      しかも大好きなTUGUMIのレビューに
      共感してもらえるなんて!

      あんなに傍若無人に振る舞っても
      どこか憎めないキャラって
      なかなかいないですよね(笑)

      ばななさんが
      命を吹き込むかのように、
      つぐみの悲しみや
      胸の奥に抱えた
      もやもやした想いや
      つぐみが持つ
      誰よりも純粋な心を
      丁寧に丁寧に描いたからこそ、
      多くの人を魅了する
      憎めないキャラになったんだと思ってます。


      Eriさんは
      思いを伝えるのが
      全然ヘタクソやないですよ(笑)


      言葉って
      生かすも殺すも自分次第やし、

      心で暖めるより
      言葉にして
      文字にして
      人目に触れて初めて、
      言霊が宿ります。


      だから上手い下手は関係ないし、
      好きな想いを
      素直に文字にして
      書いてみてくださいね(笑)


      これからもヨロシクお願いします!(^_^)v



      2013/12/12
  •  とてもよかった! 読み進めていると、つぐみの行いや口の悪さがとても愛おしく思えてくるんです。きっとつぐみの周りにいる人たちもこんな気持ちなのかなあと思いながら読みました。

  • よしもとばななさんの文章って凄く独特なのにさらりと読めるんだよなあ。
    すごくそれが不思議。
    この本もそう、風景とか空気がすごく伝わってくる。

    つぐみが凄く嫌な子で、好きになれなくて、でも読み続けられた。
    魅力のある本だ。

  • 人は本音を言えることが、いいことなのか。
    弱音をはかず、弱いところをみせないほうがいいのかもしれない。そんなことを感じる。
    従兄弟という極めて微妙な距離感だからこそ、心を許せるのか。
    従兄弟がいない自分にはわからないけど、人との距離は近いに越したことがないとは思えない。
    それぞれに合った距離があり、それが一致した時にお互いのことをよく理解してくれるかけがえのない関係が築けるのかもしれない。
    そんな人との距離感に悩んだ時に心休まる本だと思う。

  • ばななファンになったきっかけの本。とにかく絵が眼の前にひろがる大好きな小説。

  • 大好きだった本を十数年ぶりに再読。きらきらした海と、終わりゆく夏と、終わりゆく子供の時代。病弱でわがままでズル賢いつぐみに、それでも魅力を感じてしまうのは、似たような感情を少なからずみんな持っているからなんだよね。素晴らしい作品は、何年経っても相変わらず素晴らしく、こちらが歳をとったことすら忘れさせてくれるような、懐かしさすらあった。

  • こういう、正解とかテーマとか何にもない、ただある人々に起こっているかもしれないドラマが描かれた小説もいいなー。
    ただの喜怒哀楽では説明できない、あるワンシーンのその人物なりの表情や動作が繊細に書かれていて、ちょっとじーんとしたり、うわぁ、この書き方好き!てなったりする本でした。

    つぐみの強烈なキャラが面白くて、全然重そうでも難しくもなく、綺麗な海辺の長閑な時間の中でどんどん過ぎていく日々。さらさら読めて、後味も良く、人の心の機微に触れられる気がする。夏にオススメの一冊です。

  • 病弱で生意気なつぐみと私(まりあ)とそれを取り巻く周囲の人々との淡く、どこか切なく、それでいておだやかな陽光のようにあたたかいストーリー。

    つぐみは、ガラス細工のような少女。鮮やかな細工は小粋で且つ生意気であるが、光を元の光以上に綺麗に透過させる純粋さをのぞかせます。つくりは脆いが、脆いが故に、そのはかなさがそれの美しさを一層際立たせる。そんな存在に思えました。

    こんな夏休み、学生のうちに体験したいなぁと思わせる作品です。

  • 今更ながら、この本に出合えて良かったと思う。海に出かけたくなった。つぐみは自分の知り合いなんじゃないかってくらい、入り込んだし、4人が言葉にしなくてもお互いを必要としている感覚が素敵だなぁと思った。どの話も好きだけど、最後病院と東京で電話していて、病院側の電話に代わる代わる人が集まってくる場面が好きだった。東京に帰るまりあに対して、皆と離れて残念と思っていたけど、つぐみも言ったように、何かを得るために何かを失う、だったり、別々の場所でもちゃんと繋がってるんだと感じて、読んだあとじんわり温かくなった本。

  • やっぱりあと書きの「つぐみは私です」には、ぎょっとしました。
    つぐみは死んでしまうと思いながら読み進めていたので、生きていたかと(悪く言えば)拍子抜けしてしまった。手紙の署名「TUGUMI・Y」は昭和のかっこよさが21世紀には少し臭いなと笑った。こういう臭さは、吉本ばななの本にはよく感じる。数年前の自分の失態を思い出した時の恥ずかしさに似ている。だからとてもむずむずして、よく印象に残ってしまって、やっぱりしばらくはむずむずしている。一種のネタか御家芸みたいに思っている。
    あらゆる海の感触とか、私の体験は昔すぎてすっかり覚えていないので、近い内に(せめて)浜に行きたい。砂の感触しか覚えていないし、それがグラウンドなのか庭なのか砂浜だったのかもさっぱりだ。もしかしたら、間違えて弟に履かれた砂まみれの靴下かもしれないし。
    とにかく、次は「うたかた/サンクチュアリ」を読みます。

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著者プロフィール

吉本ばなな(本名:吉本 真秀子 よしもと まほこ、旧筆名:よしもと ばなな)
1964年、東京都生まれの作家。日本大学芸術学部文芸学科卒業。卒業制作の「ムーンライト・シャドウ」が日大芸術学部長賞を受賞。また「キッチン」で第6回海燕新人文学賞を受賞、デビュー作となる。
1989年『TUGUMI』で山本周五郎賞を受賞。1996年イタリアのフェンディッシメ文学賞(35歳以下部門)、1999年イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門を受賞。2000年『不倫と南米』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。その他代表作に、映画化された『アルゼンチンババア』などがある。
海外での評価が高く、著作が多くの国で翻訳されてきた。

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