魯山人陶説 (中公文庫 き 7-2)

制作 : 平野 雅章 
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 115
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122019065

作品紹介・あらすじ

書画、篆刻をよくし、生涯にわたって美食を追い求めた魯山人。「食器は料理のきもの」と唱え、40代後半から本格的に陶器の制作をはじめ、多彩で個性に富む数々の名品を生み出した。みずからの作陶体験と鋭い鑑賞眼をもって、古今の陶芸家と名器を俎上にのせ、やきものの尽きせぬ魅力を縦横に語った"魯山人のうつわ論"。

感想・レビュー・書評

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  • 昨年(令和元年)は魯山人没後60年ということで各地で企画展が催されたが、終了間際の京都現代美術館に滑り込んだ。というわけで久しぶりに本書を読み返した。

    魯山人の作陶態度を一言で言えば「土」への飽くなきこだわりだ。絵や模様はあくまで補助的なものに過ぎない。これは彼が料理において素材を最も重視したのと同じことだ。だから土は産地の違うものを混ぜてはならぬという。土本来の個性を最大限に引き出すためだ。全ての芸術は元をただせば自然美であるという芸術観がその根底にある。芸術は人格を写すものでなければならぬというのも、芸術家に修身じみた精神性を要求しているのではなく、小賢しい「智恵」より内なる自然の真心に従えということだろう。魯山人の作品はどれも自由でのびやかな豊かさを持ち、玄人的な匠の技より、素人の「鈍雅」と奔放な道楽に満ちている。それでいてどっしりとした重みと品格があるから不思議だ。それが天才というものかも知れない。

    芸術作品は何でもそうだが、特に陶芸というものは百万言を費やすより実物を観るに限る。もっと言えば、実際に制作してみないとその真価は分からないかも知れない。魯山人自身鑑賞者の眼と制作者の眼の違いを指摘している。そう言ってしまえば身も蓋もないのだが、本書は写真も豊富に掲載されており、魯山人が先人達の作品に何を感じたか、この天才が一体どんなモノを気に入り、あるいは気に入らなかったのか、それが分かるだけでも陶芸といものを朧気ながら理解できた気になれる。その言動から際立った個性が強調されることの多い魯山人だが、意外にオーソドックスで伝統的な日本美の継承者であるということも。

  • とっても時間がかかったけど読了。
    難しい。。。

  • 魯山人の陶芸に関する寄稿や、挨拶、考え方などを集めた内容。様々な陶器の知識がある前提で話が進むので、写真が掲載されていない部分の話は分からない部分も多かった。が、食にこだわった結果、陶器にこだわるようになり、人に作らせるだけでは飽き足らずに自分で窯を作って焼く、総合的に芸術を修めるために書も絵もやる、果てには古い陶器のルーツを探すために窯を発掘して研究する等々、自らの美を果てなく探求する様は恐れ入った。良いものを見て勉強しろ、美は自然の中にある、と言うような発言が印象に残った。

  • 魯山人味道に続き、魯山人の焼き物に関するエッセイや講演を、弟子がまとめたもの。

    魯山人は、製陶で人間国宝の打診を受けたことがあり、それを断っている。功績は、織部に対する貢献。40歳から陶芸を始めたのだから、すごいもんだ。作陶を始めたきっかけは、自分の料理に合う器がないので自分で作るしかなかったと。曰く、器は料理の着物。美人には美しい着物を着せたくなるものだと。

    かくいう僕は、残念ながら陶芸をよく知らないので、それほど本書を理解できたわけではない。勉強勉強。

  • 永く後世に残る名品には真心や情熱がある。慶長以前の作家には真心が多い。大自然の美が明瞭に見えていたのだろう。ものの美を見るには魂の交流がいるし、芸術はつくり手が人格者である必要がある。その人格者が無我の境で作ったものに人は心打たれる。狂人といわれるまで仕事に夢中になって初めて個性は発揚され、強くスケールの大きいものができる。このように芸術は心の仕事であるし、芸術家にとって実生活そのものが芸術である。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    書画、篆刻をよくし、生涯にわたって美食を追い求めた魯山人。「食器は料理のきもの」と唱え、40代後半から本格的に陶器の制作をはじめ、多彩で個性に富む数々の名品を生み出した。みずからの作陶体験と鋭い鑑賞眼をもって、古今の陶芸家と名器を俎上にのせ、やきものの尽きせぬ魅力を縦横に語った“魯山人のうつわ論”。

  • 美術館で誰とも知らずに入ったら感動の陶器が(・∀・)欲しいと思った。陶器が………。欲しかった。買えなかった。本を買った。。。。。  ( ´・・`)

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著者プロフィール

北大路魯山人 (きたおおじ ろさんじん)
料理研究家・陶芸家・書家=本名房次郎。1883(明治16)年、京都・上賀茂神社の社家の次男として生まれる。1904(明治37)年、日本美術展覧会の千字文の書で一等を受賞。その後、篆刻、陶芸に手を染める。19年には古美術商を営むかたわら、会員制の「美食倶楽部」を発足させる。25年には東京麹町に、当時のセレブを対象にした日本料理の料亭、星岡茶寮を創設、顧問兼料理長に就任。26年、北鎌倉の山崎に窯を築き、星岡窯と称した。料理と陶磁器と書に鬼才を発揮、新境地を開いた。美食に人生をかけ、美的生活に耽溺した。1959(昭和34)年12月21日、好物のタニシのジストマによる肝硬変で死去。

「2020年 『魯山人の和食力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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