真昼のプリニウス (中公文庫 い 3-4)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122020368

感想・レビュー・書評

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  • 生きる、という感覚と他者
    生の実感を持てないものは
    持つものに憧れる
    それを愛だ恋だと錯覚する

    物語ることへの疑問
    消費社会への根本的な嫌悪感と
    人間の生のように熱い火山たち
    そして恋人
    欠けていたピースが徐々に揃う

    結末は書いてないけれど。

  • <span style="color:#cc9966;">私はここまで来た。この山に、この身に、この心に、何が起こるかを見に来た―。浅間山頂の景観のなかに、待望のその時は近づきつつある。古代ローマの博物学者プリニウスのように、噴火で生命を失うことがあるとしても、世界の存在そのものを見極めるために火口に佇む女性火山学者。誠実に世界と向きあう人間の意識の変容を追って、新しい小説の可能性を示す名作。</span>

  • 人は、なぜ手紙を書くのか。

  • 図書館で見つけて借りてみました。著者のお名前がひっかかったのと、表紙がウィリアム・モリスの模様だったので気に入って(笑)

    もっと惹かれるかなあと思ったら、そうでもなかった。作中で取り上げられる要素は面白そうだったけど、人物像があまり好みではなかった。頼子は男性から見ると魅力的な女性なのかなあ?門田さんはすこし描かれ方がかわいそうな気すらしたし。あとは「物語や言葉ではなく、感覚や本当の感情」といったことが書かれていたけど、私はわりと言葉を大事にしたいと思っているから、反発を覚えてしまったのかもしれない。この中だったら卓馬が好きかも。もっと出てきたら面白そうだった。

  • 思考の耽溺、いや、沈殿物をうまく掬いとって言葉にしてみせるなあ、この人は。作中に出てくる手紙のやりとりを読んでいると、手紙を書きたい。と考えてしまう。

  • 透明感があって読みやすい文章のわりに、前半はなかなかエンジンがかからなかった。ぼやっとした印象がぬぐえなくて。読み終わった今もぬぐえたとは思えないんだけど。
    でも、ラストでの野うさぎの話、題名に込められたものを垣間見たとき、なるほどと思いました。
    答えははっきりしていないけど、たぶんそれでいいんだろう。

    しかし、池澤夏樹さんを読むきっかけの一冊にはオススメできないかな。他の作品から読み始めて欲しいな。

  • この人の本は科学と神秘のブレンド具合が好み。よく言われているけど、じめじめしてない透明な文章も好き。この主人公は少しきれい過ぎて、共感もできず興味もさほど惹かれるわけではなく…ではあったけど。

  • 職業を持った女性の強さについて、池澤夏樹の描写はおかしな特殊やプライドや偏見に凝らず、読み心地がいい。
    男性、女性いずれにせよ、池澤夏樹のキャラは完全に良い意味での中性さが濃くてだからはまりやすいと感じる。
    私も河口に寝そべれるような自分の外枠に向かっての恋がしたい。

著者プロフィール

1945年生まれ。作家・詩人。88年『スティル・ライフ』で芥川賞、93年『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞、2010年「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」で毎日出版文化賞、11年朝日賞、ほか多数受賞。他の著書に『カデナ』『砂浜に坐り込んだ船』『キトラ・ボックス』など。

「2020年 『【一括購入特典つき】池澤夏樹=個人編集 日本文学全集【全30巻】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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