散華 上巻: 紫式部の生涯 (中公文庫 す 3-15)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (567ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122020603

感想・レビュー・書評

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  • 紫式部の生涯の前編。子供の頃から始まり越前下りに同行するまでの話ですが、大半は激動の政変のあらすじみたいです。思っていたのとは少し違いましたが、真実の愛を求めて物語を書く由来の道筋はなんとなく納得。最初は叔母さまの周防が主人公と思ってしまうくらい周防に持っていかれ、紫式部の生涯よね?と思ってしまうくらいでした。子供の頃のお話が長すぎました。いよいよ後半は活躍の場になりそうです。

  • 源氏物語の作者、紫式部の生涯。
    摂関家の骨肉の争い、中流貴族の悲哀、疫病や飢饉にも神頼みしかしない朝廷の政のおかげで苦しめられるばかりの庶民など、その時代の社会が垣間見える。
    道綱の母、清少納言、和泉式部といった平安時代を代表する作品を残した女性たちが互いに近いところにいたこと、その作品がどのように流布されていったかなども興味深い。

  • 紫式部の生涯を小説にしたのは、本書が初めてですし、その後も出ていません。
    婦人公論、昭和61年(1986)3月号-平成2年(1990)1月号 に、47回連載され、1991年に上下二巻本として出版され、1994年に中公文庫本になりました。
    https://www.honzuki.jp/book/82518/review/277361/

  • この時代の人たちはほとんど知らないので名前が覚えられず途中から漢字だけを読む。詳細に語っているので紫式部の生涯に加え時代背景がよくわかる様になっていて面白い。が、歌の意味が全然わからないのでそこが楽しめたらもっと面白く読めたと思う。

  • らじは『源氏物語』フリークなので、作者の紫式部さんのお話ってことで読んでみました。
    上巻を読み終わった率直な感想としては「つまらない」…。
    この時代の貴族は「貴族みな兄弟」で人間関係が複雑なのはわかるけど、お話の本筋がブレブレで何に感情移入して良いのかわからない。
    歴史的な知識なら知ってることばかりだし、人物が生き生きと描かれている感じも全くなし。
    う~ん…。
    でも、下巻もせっかくだから読もう。

  •  副題の通り、紫式部の生涯を現代小説として綴った作品。

     今更くどくど言うまでもなく、平安時代の女性の生き様というのは表に出てこない。、千年の時間に耐えうる文学作品を醸した女性作家の名前すら判然としないというのが現状なので、これを「小説」として書く際は、どうしてもかなりの部分を資料からの推測と、個人の想像(創作)で補うこととなる。
     もちろん読み手はそうした作家の個性の差異を味わい、楽しんで読めばいいのであるけれど ――― 個人的な感触だが、やはり女性作家の一生は、同性の作家の手になるほうが、より面白く共感ができる内容に仕上がっている気がするのだ。
     
     というわけで、これは、杉本苑子の手になる「紫式部の一生」のお話となる。
     歴史小説家として定評のある彼女だけあって、時代考証もしっかりしており、書かれていることを鵜呑みにしても恥をかくことはないはず。
    (まあ、清少納言と式部がリアルに出会っていた、という創作面ではさておいて(笑))
    文体も読みやすく、式部の人柄も「地味で誠実」な感情移入しやすいタイプとして設定されているので、スムーズに平安時代に入っていけるのもよい。出版後に「この時代、女性はどうやって髪を洗っていたのか」「洗濯は?」「食事の支度は?」という質問が多く寄せられた = 自分たちの生活と身近に感じることが出来た、ということでも、この小説の価値は示されていると思います。

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著者プロフィール

杉本苑子

大正十四(一九二五)年、東京に生まれる。昭和二十四年、文化学院文科を卒業。昭和二十七年より吉川英治に師事する。昭和三十八年、『孤愁の岸』で第四十八回直木賞を受賞。昭和五十三年『滝沢馬琴』で第十二回吉川英治文学賞、昭和六十一年『穢土荘厳』で第二十五回女流文学賞を受賞。平成十四年、菊池寛賞を受賞、文化勲章を受勲。そのほかの著書に『埋み火』『散華』『悲華水滸伝』などがある。平成二十九(二〇一七)年没。

「2021年 『竹ノ御所鞠子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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