日の名残り (中公文庫)

制作 : Kazuo Ishiguro  土屋 政雄 
  • 中央公論社
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本棚登録 : 163
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122020634

感想・レビュー・書評

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  • 長い時間手入れされてきた、上質なオークのよう。
    日本生まれの彼が日本語でこの本を書いていたら、
    どんな味わいになったんだろう。

  • 主人公の世代のこともあるのでしょうか。
    カズオイシグロの作品のなかでも、とりわけしっとりとした美しい作品です。

  • イギリスの老執事が、古き良き時代を回顧する物語。
    最後の最後になって、タイトルの意味が分かった。
    なんだろう、最後の最後に、じわっと感動が押し寄せてきた。
    真に価値のあるもののために微力を尽くそうと願い、それを試みるだけで十分だとは、生きて生き抜くだけで人生は素晴らしいんだと気づかせてくれる。そののち迎える夕方の時間が人生でいちばんいいと思えるように、一日いちにちを大切に生きていきましょうというメッセージだとも思える。

  • 英国老執事スティーブンスはアメリカ人の新しい主人から
    勧められるままに小旅行に出る、最終目的は以前勤めていた
    有能な女中頭ミス・ケントン(既婚)に会うこと

    道中で「偉大な執事とは何か」に思いを巡らせたり
    自身の父親の最後、過去の自分やミス・ケントン、
    以前の主人ダーリントン卿が歴史に翻弄されていく様
    について語られる

    旅なので途中寄り道したり、道に迷ったりもする

    最終目的を無事果たし終え、桟橋のベンチで思い出に
    ふけっていたスティーブンスは、偶然横に座った元執事から
    「夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。」と言われ
    過去の主人から解放され新しい主人のために
    アメリカ的ジョークを身に付けようと決心する

    しんみりとイギリス小説に浸ることができました

  • 最後の最後で解題に入る、みたいな風呂敷のたたみ方があまり好きではないのでどうかとは思った(同作者の「わたしを離さないで」もそうだが、演出としてわざとこの手法をとっているのはよくわかるのだが)。僕には「古き良き英国」も「品格」の何たるかもわからないし、スティーヴンスが執事としてとる職業的スタンスの素晴らしさも正直言って理解しかねるが、ある種の信念を貫くことがいかに純粋で歪んでいるかということ、そしてそれがどのような結果をもたらそうとも「日の名残り」を見つめそれが一番良いときであると信ずるしかないという人生の空虚さ、その二つがとても印象に残った。

  • 相当前に映画を見た。薄っすら残った映像イメージが読書を一層
    楽しいものにしてくれた。

  • 翻訳ものはやはりマイナス面が大きい。
    そう言うなら原文を読めと叱られること必至だが、それほどまでにこの作品ではそのマイナス面が際立つほどの完成度の高さということ。
    映画も名作の域にあると思うが、映画は男女二人の心の揺れにより焦点を当てていたと記憶する。
    原作はそれだけではない生き方を描き出し、映画とは違う奥行きがあると思う。
    いずれにせよ小説も映画も必読・必見作品であること間違いなし。

  • ・・・・微妙。急ぎ過ぎた。
    いずれ要再読

  • 執事、イギリス紳士というものを考えさせてくれる物語でした。
    様々な出来事たちが駆け抜けてゆき残った思い出そして現実と夢の混濁した幻影に目を向ける。
    まさにタイトルの如く、「その日一日のなごり、つまりは夢」

    読み終わった後の余韻がまた気持ちよいもので読んでよかったと思いました。

  • ある一人の主人に全力で尽くしてきた一人の「執事」が、主人が変わり、環境が変わり、それまで「執事」として過ごしてきた、駆け抜けてきた日々を振り返り、一人の「人間」の姿を見せる。その瞬間のえもいわれぬ感動がありました。「執事」として完全にやり、「執事」として正しき道を進んできた主人公が、「人間」としてそれを振り返った時に、その道は本当に正しい道であったのか、もっと他にやりようがなかったのか、その迷いが、主人公の執事という職業、いえ、人生への情熱、苛烈さ、高潔さの回想により、引きたてられ、それでも「執事」へ戻り、自らの理想を追い求めていく前向きさがあり、読み終わってから密度の高い満足感を得られました。本当に、素晴らしい作品と思います。

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プロフィール

カズオ・イシグロ
1954年11月8日、長崎県長崎市生まれ。5歳のときに父の仕事の関係で日本を離れて帰化、現在は日系イギリス人としてロンドンに住む(日本語は聴き取ることはある程度可能だが、ほとんど話すことができない)。
ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学。批評家・作家のマルカム・ブラッドリの指導を受ける。
1982年のデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年『浮世の画家』でウィットブレッド賞、1989年『日の名残り』でブッカー賞を受賞し、これが代表作に挙げられる。映画化もされたもう一つの代表作、2005年『わたしを離さないで』は、Time誌において文学史上のオールタイムベスト100に選ばれ、日本では「キノベス!」1位を受賞。2015年発行の『忘れられた巨人』が最新作。
2017年、ノーベル文学賞を受賞。受賞理由は、「偉大な感情の力をもつ諸小説作において、世界と繋がっているわたしたちの感覚が幻想的なものでしかないという、その奥底を明らかにした」。

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