- 本 ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122021549
感想・レビュー・書評
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「鬼灯(ほおづき)」 by 司馬遼太郎
戦国武将 荒木村重を描いたものだが、司馬遼太郎には珍しく戯曲の形にした作品。
実際に昭和50年に杉村春子他の文学座で上演されたとのこと。
人間として、武士として、どうしようもないように思える男 荒木村重を司馬遼太郎がどう描いているのか興味を持って読んだ。
なるほどという感触には至らなかったが、結局は「最後は自分で何も決められない男」というように捉えられているように思えた。
.......
荒木村重は、織田信長の元で摂津の国の守護職を任された武将で、配下に高山右近、中川清秀らがいる。
1578年11月16日(天正6年10月17日)、荒木村重は主君信長への反旗をひるがえす。舞台は現在の兵庫県伊丹市の有岡城。
村重が謀反を企てた本意もよく分からないし、勝算は毛利の援軍がくることにあったとされているが、結局毛利の援軍が来るわけもなく、信長軍に城を取り囲まれて籠城を強いられる。
そして、十ケ月も過ぎた頃、こともあろうに村重は家族も家臣も全て置いて、一人だけ有岡城を抜け出して、尼崎城に逃げ込む。
最終的に信長の和睦に応じなかった村重に対して、信長は有岡城に残る妻子、近親の36名を京都に連れていき斬首、120人の婦人達は尼崎で磔、更に541人は火あぶりの刑に処した。
だというのに、肝心の村重は毛利へ亡命して隠遁。 本能寺の変で信長が亡くなると、秀吉の前に茶人として姿を現し、御伽衆を務め、利休とも親交を深めたという。
読了後もよくは分からないままだったが、村重の不甲斐なさの一旦は分かったような気分にはなった。
ついでながら、
この謀反を思いとどまるように説得に来た黒田官兵衛は、逆に有岡城の牢屋に閉じ込められ、これがもとで足が不自由となる。
また村重配下であり高槻城主だった高山右近は、村重の説得に当たるが聞き入れらず、信長と村重の間に立ち苦しむ。
最後は髪を切り、刀を捨て、紙の装束一枚という捨て身の覚悟で信長の前に立ち、自身の忠誠を示し、引いてはキリスト教布教の基盤を守った。
多くの人々を巻き添えにしながらも一人生き延びていく村重という男、とんでもない野郎だ!
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どちらも戯曲で『花の館』は1970年に書かれた応仁の乱前夜の話、
『鬼灯』は1975年に書かれた荒木村重についての話
いつもの小説でなくなれない戯曲なので肩に力が入っているが
2作目の後者は自身の解説にあるようにだいぶんわりきっていて
小説ではしづらい話にまとまっていて面白い
ただしとくに後者では現在とはかなり見方が違って評価されづらいか -
18/8/15読了
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司馬遼太郎の戯曲って読みづらいかと思ったら逆。うまい。セリフまわしが天才。義政と富子のコンビ、悪の華。
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戯曲が2つ。足利義政と富子、荒木村重の人としての妖しさが描かれている。司馬遼太郎の戯曲というのは珍しい。
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