比島投降記: ある新聞記者の見た敗戦 (中公文庫 い 67-1)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122022485

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  • 1995年(底本1946年)刊行。著者は米大留学経験もある新聞記者。◆戦後直後に刊行された、敗戦直後のフィリピンでの捕虜体験記。とはいえ、英語に堪能であるが故に士官の通訳に抜擢される等優遇待遇が感得できる書。とはいえ、体罰前提の日本軍の模様は其処彼処に。◇一方で、本書での印象は、米軍の兵站力、あるいは後方支援力の充実ぶりだ。特に、水などの衛生面での意の払い方は日本軍の比ではない。勿論、優勢に戦いを進められたフィリピン戦線の、しかも戦後のそれであることを割り引いても歴然とした差が描かれる。
    なお、本書は検閲された可能性は低い。理由は米軍の悪徳が殆ど描かれているわけではなく、逆の内容ならともかく、本書のような書を検閲する必要はないからだ。むしろ、記憶の鮮明な時期の刊行ということで、体験談的な価値は十分あると言えよう。

  • ・ルソン島で終戦をむかえ、米軍に投降した新聞記者の書いた随筆。
    ・PWとして(実際はCI=民間人抑留者=Civilian Interneeだけど)彼が出会った米兵や士官は、例外なく当時の日本人に比べて民度とでも言うようなものが高かった、感心できる人物に沢山会った、という内容が書かれている。
    ・「アーロン収容所」とはまさに対極、正反対。アーロンの方は西洋人が東洋人を人間としてすら扱っていない、という点について書かれているけれど、この本はアメリカ人の体現している真の民主主義に驚かされた、というような内容。これホントの話?イギリス人とアメリカ人でこんなに違うのか?
    ・でもリンドバーグの日記を見ても、戦中は日本人に対して獣同然の扱いを米軍は太平洋でしたはず。やっぱり戦勝後だから違うのかなあ?でもじゃあイギリスは?イギリスはアメリカと違って、戦勝国ではあるけど日本を木っ端みじんに打ち破ってはいないから、アーロンみたいな話になったわけ?
    ・俺の意見としては、筆者は英語も出来て米文化にもとても理解があって、PWの中でも通訳として最上級の扱いを受けた、幸運な体験だったんじゃないかと思っている。

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著者プロフィール

1895年、東京に生まれる。東京大学英文科を中退して渡米し、1919年、プリンストン大学卒業。大阪毎日新聞社学芸部員、東京日日新聞社学芸部員・ロンドン特派員、大阪毎日新聞社文化部長・東京本社出版局長等を歴任。訳書に、グルー『滞日十年』、チャーチル『第二次大戦回顧録』、モース『日本その日その日』等がある。1959年死去。

「2014年 『ヒロシマ 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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