夜の橋 (中公文庫)

著者 : 藤沢周平
  • 中央公論社 (1995年3月18日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122022669

作品紹介

無頼の男民次の心の中にふと芽生えた一掬の情愛-雪散る江戸深川の夜の橋を舞台に、男女の心の葛藤を切々と描く表題作ほか、多彩な人間模様を哀感こめて刻む自選傑作時代小説八篇。

夜の橋 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 市井もの、武家もの、その他混合の、著者自薦の時代小説9編。著者自ら選んだだけあり、どれもそれぞれに味わいのある短編、
    「孫十の逆襲」に黒沢映画を連想し、「泣くな、けい」に太宰治の「走れ、メロス」を想起するのは、穿ちすぎかな(笑)

  • 武家から町人までを題材にした短編集。
    静かな作品。
    独特の優しさが前面にあふれているというより、
    少々の世間の苦味が強い作品たち。
    なので、自然すこし暗い仕上がり。

  • 武士から町人まで。

  • 20120725 さすがの短編。それぞれ変化があって楽しめる。

  • ・あとがき 藤沢周平

    ・・・私には、時代小説というものはとかく型にはまりやすい小説ではなかろうかという考えがある。無論現代小説にも型にはまるということはあるわけだが、事に時代小説はいろいろの約束事がある。つまり外側から形を規制される面があって、その規制は、時代小説が時代小説として成り立つために、最小限度必要なものでもある。そのぶんだけ、現代小説よりも型にはまる危険性が大きいように思われるのである。
     既にそういう前提があるところに、小説を書き出す動機となるヒントまで、昔のお話の中に探すということになると、私のように非力な書き手は、型にがんじがらめにされる危険がある。そして型に縛られた小説は、想像への飛躍が無いので、よくできていても読んでつまらないことが多い。そうならないためにせめて小説のヒントぐらいは、自分の目で見、耳で聞き、あるいは無理にでも頭の中からひねり出したものを使いたいと思うわけである。



    ・解説 尾崎秀樹

    時代の流れの中で、人間の考え方、生き方は変化を強いられ、大きく変わったかに見えるが、人間の内部、本音においては、むしろ何も変わっていないというのがしんそうだろうと彼はいい、次のように書いていた。
    『どんな時代にも、親箱を気遣わざるをえないし、男女は相惹かれる。景気がいい隣人に対する嫉妬は昔も今もあるし、無理解な上役に対する憎しみは、江戸城中でもあったことである。
     小説を書くということはこういう人間の根底にあるものに問いかけ、人間とはこういうものかと、仮に答えを出す作業であろう。時代小説で、今日的状況をすべてすくい上げることは無理だが、そう言う小説本来の働きという点では、現代小説を書く場合と少しも変わる所がない、と私は考えている』
     これは彼の時代小説に関する立場を表明したものであり、時代物としての一応の約束事を踏まえた上で、テーマを現代に選んでみたり、現代物に近い手法を取ったり、種々試みているという。


    ・個人的な感想

    小説とは人間の本質に問いかけ、人間というものがこういうものであると仮の答えを出す作業。


    この短編小説では『人の秘密』が物語の推進力となるパターンが多かった。



    ・鬼気

    主人公:徳丸 20代後半 既婚
        鳶田 20代後半 既婚
        平野 20代前半  独身

    腕に覚えもあり自惚れている若い侍たち。
    見かけは平凡だが伝説的な存在である老いた侍の噂に興味を抱く。
    けしかける物頭。
    若いサラリーマンと部長の関係か
    『人の秘密』
    伝説に対する軽率な好奇心と強烈なしっぺ返し


    ・夜の橋

    主人公:ギャンブルに溺れ妻にも逃げられた男
    話の核:別れた女を忘れられない、いつまでも覚えている男の悲しい性
    モチーフは現代のチンピラとその嫁
    「別れた妻の秘密」が物語を動かしている。
    個人的には女はわかれた男のことなど引きずらないので
    この妻のように暖かく迎えてくれはしないと思うが、
    まあフィクション、男の願望なんだからそれでいい。
    人間の根底にあるものを揺さぶり、答えを出す。その答えは例え現実的であっても味気ないものであってはならない。


    ・裏切り

    主人公:ごく一般的な職人 (サラリーマン)

    これも『妻の秘密』が物語を転がす鍵となっている。
    妻の死を解明していく所がミステリー的でもある。
    妻の死を解明しながら自身がいた環境のほんとうの姿を知る。
    妻と幼馴染に裏切られる。
    話の核:男と女には色いろある。
    仮の答えは出た。ただし救いのために幼馴染のお松がいる。


    ・一夢の敗北

    退屈


    ・冬の足音

    主人公:初恋を引きずる町娘
    話の核:青春への憧憬と決別
    初恋の人と再開するが、そこには埋めがたい『時間の経過』があった。
    もはや青春は戻らないということを痛感し青春への熱は急速に冷えていった。

    ・梅薫る

    主人公:かつて断られた縁談を未だ引きずる女(既婚)
    その断られた理由を明かすまで引っ張っているのがミステリー的。
    これも断った侍の『秘密』である。
    個人的には女がそんなことを引きずるとは考え難いし、男達の勝手なやり取りで納得する女というのも時代小説とはいえ共感しがたいものがある。
    まあ昔の思い出に引きずられる女への仮の答えとしてはこういうものなのだろうか。


    ・孫十の逆襲

    主人公:村唯一の戦場を経験して尊敬されている老人
    話の核:家族を守るために戦う。
        身内を犯されることはなんとしてもさけたい。
        男は決断しなければならない

    老人の勇気
    人情物でなくてアクションもの

    ・泣くな、けい

    主従関係間における心の交流

    ・暗い鏡

    姪が体を売って殺された。
    姪の『秘密』が物語の推進。
    姪の秘密を追って真実を知っていく。

  • 時代小説は

    わたしの性に合っているのか。

    年齢ももうすぐ60になるからだろうか。

    宇江佐さん、諸田さんはじめ女性作家がいい物を書いていますね。

    でも、藤沢周平さんを忘れてはいけませんね。

  • 江戸庶民の暮らしと武家の暮らしをバランス良く描いています。人の心は今も昔も同じ。読後は心が温かくなります。

  • 重たい本の後 何とも言えぬ軽さ

  • 101001(n 101016)

  • 00年9刷本

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