魯山人味道 (中公文庫 き 7-3)

制作 : 平野 雅章 
  • 中央公論新社
3.47
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本棚登録 : 387
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122023468

作品紹介・あらすじ

書をよくし、画を描き、印を彫り、美味を探り、古美術を愛し、後半生やきものに寧日なかった多芸多才の芸術家-魯山人が、終生変らず追い求めたのは美食であった。折りに触れ、筆を執り、語り遺した唯一の味道の本。

感想・レビュー・書評

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  • 北海道立近代美術館で特別展を開催しているらしい、北大路魯山人。
    積読状態だった本書をようやく。
    昭和一桁~30年代までの和食の食材を中心にしたエッセイ。話題となる料理は素材を活かしつつ、極めてシンプルである。味の素が一般的になってきたあたりの記述も面白い。

    旨い料理の根本は材料に有。『庖丁の力は四であり、購買の力は六』
    その根底に流れる哲学のようなものを感じる一冊。

  • 多芸多才な魯山人の中でも、最も才を発揮した料理についての随筆集。しかしながら辛口すぎて、これは飯が不味くなるなあ。あとがきにも、孤独な晩年が言及されている。「理を料るのが料理」とあったが、厳しさの加減は料れずか。。納豆茶漬けが美味いとの教えは試したい。

  • 読んでて美味い魯山人の食エッセー。
    山椒魚の料理法が書いてあるとは思いもしなかった。
    ~目次~
    お茶漬けの味/くちこ/すき焼きと鴨料理――洋食雑感――
    てんぷらの茶漬け/三州仕立て小蕪汁/味を知るもの鮮し
    味覚の美と芸術の美/塩鮭・塩鱒の茶漬け/夏日小味
    家庭料理の話/小ざかな干物の味/山椒魚/序に代えて
    持ち味を生かす/数の子は音を食うもの/料理する心
    料理の妙味/料理の秘訣/料理は道理を料るもの/料理も創作である
    料理一夕話/日本料理の要点――新雇いの料理人を前にして――
    昆布とろ/昆布とろの吸い物/明石鯛に優る朝鮮の鯛
    東京で自慢の鮑/洗いづくりの世界/洗いづくりの美味さ
    洛北深泥池の蓴菜/海にふぐ山にわらび/海苔の茶漬け/猪の味
    琥珀揚げ/生き烏賊白味噌漬け/田螺/知らずや肝の美味
    筍の美味さは第一席/納豆の茶漬け/美食と人生/美食多産期の腹構え
    若狭春鯖のなれずし/若鮎の気品を食う/茶碗蒸し/蝦蟇を食べた話
    西園寺公の食道楽/道は次第に狭し/食器は料理のきもの
    鮎ははらわた/鮎を食う/鮑の水貝

  • 魯山人の食への拘りが、ここまで書かれているとは。魯山人が、終生変わらず追い求めたのは美食であった。美食家・北大路魯山人を語り遺した唯一の味道の本です。

  • 魯山人が茶漬けが好きなのがよくわかった

  • 北大路魯山人は特に陶芸と料理の分野で
    特に知られていると思います。

    本書はその魯山人が生前、料理について書いた文章を
    編集した本になります。
    日本料理に興味がある人や
    魯山人という人間に興味がある人には
    お勧めします。
    そのような方は読んでみると面白いでしょう。

    本の内容はおおよそ前半が各食材の説明、
    後半が魯山人の料理への思想となっています。
    私は食に興味のない人間です。
    ですから前半は興味が持てませんでした。
    しかし後半の料理への思想は非常に勉強になり、
    興味深く読むことが出来ました。
    良くも悪くも独自性の強い文章です。

    ここからは私の魯山人に対する想いを
    書かせてもらいます。

    私は魯山人が本当に好きです。
    どこが好きかといえば、その思想です。
    本当に私は魯山人と芸術に関する思想が似ています。
    魯山人は芸術や料理に関しては
    特に師匠というものを持たず、独学で学んだ方です。
    そのため魯山人の芸術思想は非常に独自性が強い。
    この独自性が私は本当に好きなのです。
    魅了されていると言っても良いと思います。

    そして魯山人は生前に「独歩」という言葉を
    好んで使っていたらしいです。
    独歩とは
    「1人(独り)で歩む」
    という意味だと私は理解しています。
    この点も私も同じです。

    つまり私の思想は非常に魯山人に近いのです。
    ここが私が魯山人が好きな理由なのでしょう。

    ※尚、私が読んだのは同じ中公文庫が
    1980年に出版した旧版になります。
    旧版は303ページで新版よりも
    90ページほど少ないです。
    ですので、内容も違っているはずです。

  • お茶漬けが衝撃だった。
    他にも美食家としてのふるまいがおもしろい。
    美味しんぼの元ネタでもある魯山人。
    昔読んで、納豆をかき混ぜてから醤油を入れるのは明らかにこの本の影響だ。

  • 読んでも、面倒な人だという印象しか浮かばないのだが、高価な食事だけではなくお茶漬けのような食事についても言及しているのは面白かった。やっぱり食事というのは気安いのが一番良い。

  • 書店で見かけてなんとなく購入。偏屈ジジイだがおもしろい。若い頃苦労した人とは知らなかった。中盤以降の考え方のところが読み応えがある。
     
    実業家・大倉喜八郎の家の料理がうまいという老女中をこき下ろす話がいい。宴会的な飾る料理を批判し、実質にこだわる。偏屈と言われようとも、自分の感覚を頼りに人真似でない我が道を進む点は見習いたいと思った。
     
    ・出盛りのさんまより場違いのたいをご馳走と思い込む、卑しい陋習から抜けきらない・・・(p206)
     
    ・好きなものが、はっきり言えないのは嘆かわしい。つまり、味覚に対して無神経・・・(p219)
     
    「器が重要」と「食材が重要」の主張が繰り返し述べられている。でもきれいな器に盛りつけるのは虚飾にならないのか。エンジニアならB級材料でA級を作るのが腕の見せ所と思うが料理は違うのだろうか。

  • 20160609読了
    足立美術館に掲げてあった魯山人の言葉にひかれて購入(肝心のその言葉を忘れるという失態)。料理人だよね…名前は聞いたことある…程度の認識で読み始める。食に重きを置く人の頭の中を覗く。●料理は「理を料る」●おいしいものが分かる人は食の基準が高いため、旅先で食べる食事や、人にごちそうしてもらう食事など、一般に嬉しい出来事であるはずのことが、そうでなくなってしまうという側面もあるらしい。

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著者プロフィール

北大路魯山人 (きたおおじ ろさんじん)
料理研究家・陶芸家・書家=本名房次郎。1883(明治16)年、京都・上賀茂神社の社家の次男として生まれる。1904(明治37)年、日本美術展覧会の千字文の書で一等を受賞。その後、篆刻、陶芸に手を染める。19年には古美術商を営むかたわら、会員制の「美食倶楽部」を発足させる。25年には東京麹町に、当時のセレブを対象にした日本料理の料亭、星岡茶寮を創設、顧問兼料理長に就任。26年、北鎌倉の山崎に窯を築き、星岡窯と称した。料理と陶磁器と書に鬼才を発揮、新境地を開いた。美食に人生をかけ、美的生活に耽溺した。1959(昭和34)年12月21日、好物のタニシのジストマによる肝硬変で死去。

「2020年 『魯山人の和食力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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