- Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122024427
作品紹介・あらすじ
「ダーウィンの進化論」「エンゲルスとダーウィニズムとの関係」そして「今西進化論」という三つのテーマをめぐって、二人の思想家が行った白熱の対論。人類や言語の発生を問い、国家の起源、生物と環境、そして人間の未来のすがたまでを視野において、時に激しいやりとりが続く。同時代に巨人な思想のドラマを記した不朽の名篇。
感想・レビュー・書評
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今西錦司 吉本隆明 対談 「 ダーウィン を超えて 」
対談としては 失敗? 吉本隆明氏は エンゲルスと進化論の共通の価値抽出を試みていたが、今西錦司氏が 自説を広げない感じ。
吉本隆明氏としては 不本意な仕事だと思う。
今西錦司氏の進化論入門としては面白かった。ダーウィンの自然選択説を否定し、「突然変異による進化」「種と個体が一体となって変異する」ことを論述。
ダーウィンを超えた感じはしなかった。
ダーウィン進化論
*変異は 生物に備わった属性
*種が別の種になる過程で 亜種を経過する〜亜種では 交配すれば雑種ができるが、種まで進むと雑種はできない=不稔性が起きる
*生物の世界は 元は一つのものから生成発展している→生物の世界には 自己調整機能が備わっている
*個体から進化が発生する→種が個体の増加により結果的に出てくる→今西進化論と異なる
今西進化論 「自然選択は ダーウィン進化論の致命傷」
*自然選択(有利な個体が 今までのものから 置きかわる)→化石は全て絶滅種ということになる
*生物と環境は一体的→進化=ランダムな突然変異により ある方向性をもって自己完結的に行われる
今西進化論 「種と個体は二にて一のもの〜種が変わるときは個体も変わり、個体が変わるときは種も変わる」
*個体=雑社会を構成する要素→雑社会=生物的自然を構成する要素→宇宙、地球、生物界など すべてがシステム→秩序がある
*個体の変容=秩序の破壊であるため 生存競争より システム維持のため協調している
*種が変化しなければならない立場におかれた時、種の個体は個体差を超えて 同じ方向に向かって変わる
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腹の座った読んで愉しい本である
生物の環境は相互適応しながら
全体論的ホーリスティックな見方をせずに
局部的な判断をすると暴力的な迷路に入り込んでしまう
行き当たりばったりの突然変異や
その場その場の勝ち残りを賭けた個体同士の生存競争や
自然選択に任せる適者生存・自然淘汰・・
自己同一性を保ちつつ自己完結的に変化する
部分的に見れば自然界は混沌としているが
全体的に見れば秩序だっている
進化は種によって方向性を伴って起ることで
システムとして成り立つが
個々のランダムな変化で一定の進化をすることはありえない
今西進化論はセオリーの前提として事実を見つめ
別々に思考することから始まり
個別からでなく「種」社会をベースとして進化を見る
このことによってダーウィン進化論を超え
全ての進化はお互いの関係によって
在るべくしてあるのだという姿勢をとることで
言語に文化に文明に統治と
社会の成り立ち全てを語るものといえるだろう -
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4122024420
── 今西 錦司《ダーウィンを超えて 197812‥ 朝日出版社 199510‥ 中公文庫》
http://www.asahi-net.or.jp/~id8k-sgn/BAKA-9812/imanishi.html
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/B000J8CLN2
── 梅棹 忠夫・他《続・わたしの知的生産の技術 19791125 講談社》
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2008年83冊目