文章読本 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.59
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本棚登録 : 643
レビュー : 47
  • Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122024663

作品紹介・あらすじ

当代の最適任者が、多彩な名文を実例に引きながら、豊かな蓄積と深い洞察によって文章の本質を明らかにし、作文のコツを具体的に説く。最も正統的で最も実際的な文章読本。

感想・レビュー・書評

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  • 「多彩な名文を実例に引きながら、
    豊かな蓄積と深い洞察によって文章の本質を明らかにし、
    作文のコツを具体的に説く。」

    いまさらなんですが、これでも少しは勉強しようかと
    読んだからとて、教養は一朝一夕にいかず、才能は生まれつきにしかず

    第1章から第12章までのうち、いいなと思った章は

    第2章 名文を読め
    第3章 ちょっと気取って書け
    第5章 新しい和漢混淆文
    第9章 文体とレトリック

    少々乱暴にまとめると

    名作名文をたくさん読んで
    意気込みと勇気をもって
    今の日本語、漢字かなカタカナ混じりの、時々はローマ字もいれて
    言いまわしを選び、リズムをもって書くのだ

    つまり何はともかく、本をたくさん、たくさん読めってことで
    丸谷才一さんの『文章読本』はさながら高級な読書案内でもありましたよ

  • ちょっと小難しい本を読んでみる…と、思った以上に読了までに時間がかかってしまった。

    一番の理由はきちんと時間をとって読み進めようとする意図が足りていなかったこと。我が国においては元来文語と口語には明確な境界があったこと、それが言文一致体となり始めてからまださほどの時間が経過していないこと、しかしながらそのかつてあった文語はまず外国語のそれを輸入しただけの形であった頃から、時間をかけてより洗練された日本語文語として熟成されていった経緯を持つこと等々を様々な引用を用いながら滔々と説かれるとき、うすら眠い頭で読んだのではスキっと入ってこず、何度も読み返さざるを得なくなってしまうためだった。

    そもそもは自身が今までに触れた文語日本語の量が圧倒的に少ないことに起因するからであろうことは読んでいるうちに分かってくる。そしてそれと同時にとはいえこれからどうすればよいのだという絶望感にも襲われる。そんななか筆者はやわらかいことばで、わかりやすい言葉で、ときには励まし、ときには突き放し気味に、今後の精進を促してくれる。本作に引用された作品を全て踏破する器量は自分にはないであろうと思われるものの、折にふれて本作を読み返すことによりその疑似体験を経るところからまずは始めたい。

    さすが米原女史が惚れ込んだだけのことはある御方。すばらしい。

  • 『考える力をつける本』の著者である轡田隆史氏の推薦書。
    轡田氏曰く「文章について読むべき一冊だけを挙げろといわれたら、ためらいなく『文章読本』を推す」と。
    そして、本書の中のこの一説を味わうことが書かれている。
    「人は好んで才能を云々したがるけれど、個人の才能とは実のところ伝統を学ぶ学び方の才能にほかならない。」

  • 英文学者で小説家の著者が、文章の書き方を指南する本です。

    本書の冒頭で著者は、谷崎潤一郎が『文章読本』を著して以来、川端康成、三島由紀夫、中村真一郎という三人の小説家がおなじタイトルの本を刊行したことに触れていますが、とくに谷崎の著作を念頭に置きつつ、著者みずからの意見を提出しているところが多いように感じられます。

    東西両洋の古典に造詣の深い著者だけあって、わたくしのような読者がふだん文章を書く際の参考にするにはかなり高尚にすぎると感じられるところも多いのですが、「ちよっと気取つて書け」といったわかりやすいアドヴァイスもあり、また名文とされる文章を読む際に、どのようなところに目を向ければよいのかということを知るためにも、参考になる内容でした。

  • 文学者が膨大な読書体験から視点を増やしてまた文章を読んでることを感じた。

  • 151104

    p.158「一応の説明ではうまく言へないところまで説明し、いはゆる理屈では不十分になりがちな事情を呑み込ませる力である。もちろんイメージは美をもたらす。」
    論理では説明がしにくいことを、イメージで補う、という。ピンときた。

    p.308「この教訓は、文章においてさらによく当てはまるだろう。すなはち、記すに値することがあつてはじめて筆をとれ。書くべきこと、語るべきことがあるとき、言葉は力強く流れるだらう。これこそは人間の精神と文章との極めて自然な関係にほかならない。」

    起承転結は論理のためにあるのではなく、物語のためにあるのではないか?と感じる。

  • 濃密な文章論だった。精神面から技術面まで微に入り細にわたり記されているが、結局は第二章の「名文を読め」に尽きる。たくさんの言葉やレトリックを知っているだけでは良い文章を書くことはできない。

    古今東西の名文を読み、その息遣いを感じること。文章の型を学び自分のものにすること。これは名文家であれば誰しも通る道なのだろう。多読家が名文家とは限らないが、名文家は必ず多読家であるはずだ。

    本書の中に引用されている文章は読んだことのないものばかりだった。谷崎潤一郎、佐藤春夫、折口信夫、石川淳、その他いろいろ。今年も大いに読まなければ。

  • 中に収められている古今東西の名文の中で、私が最も感銘を受けたのは、日露戦争の折、幸徳秋水が『平民新聞』に載せた「兵士に送る」。丸谷さんが絶讃なさる通りの傑作。これ程胸を打つ反戦の文章があったろうか。保守リベラル双方の陣営の政治家、論客、マスコミの方々に是非一読
    していただきたい。勿論若い人にも。

  • 文章作法というよりは名文とは何かを論じた本。谷崎版と三島版の中間と位置づければいいか。
    どちらかというと書きたい人向けではあるが、読み物としても面白い。谷崎版は読み物としてはちょっと……なところがあるので、そういう意味では丸谷版の方が面白かった。

    ただ、新字旧仮名ってとっても読みづらい……。

  • 例文がすばらしい。佐藤春夫の「好き友」には参った。

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著者プロフィール

1925-2012。作家・英文学者。山形県生まれ。東京大学英文科卒。「年の残り」で芥川賞、『たった一人の反乱』で谷崎潤一郎賞など受賞多数。他『後鳥羽院』『輝く日の宮』、ジョイス『ユリシーズ』共訳など。

「2016年 『松尾芭蕉 おくのほそ道/与謝蕪村/小林一茶/とくとく歌仙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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