窯変 源氏物語〈1〉 (中公文庫)

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  • 中央公論新社
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レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122024748

感想・レビュー・書評

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  • 気障でいけすかない源氏。ほぼ中二病です。橋本源氏は源氏の一人語りでお話が進行しますが、文末全てに「フッ、参っちゃうよなァー!」を付け足して読むのがお約束。

    危うさを感じさせる程の美貌、全ての才に秀で、帝の子でありながら愛ゆえに臣下に降された境遇。潔癖だった思春期には、最低野郎としか思えなかった光の君ですが、今読むとなかなかに痛くて宜しい。

    なにより、当時の「通い婚」文化が案外魅力的に思えてくるから不思議。
    この巻には桐壺、帚木、空蝉、夕顔が収録されております。源氏出生から17歳まで。

    • desicoさん
      あっ「源氏物語」にハマっていた時にコレ読みました。
      「源氏物語」は今日でも いとをかし
      あっ「源氏物語」にハマっていた時にコレ読みました。
      「源氏物語」は今日でも いとをかし
      2013/05/18
    • hetarebooksさん
      desicoさん

      コメントありがとうございます♥源氏、一度はハマりますよね。まさに、もののあはれの文学☆私のオススメは田辺聖子さんの「絵草...
      desicoさん

      コメントありがとうございます♥源氏、一度はハマりますよね。まさに、もののあはれの文学☆私のオススメは田辺聖子さんの「絵草紙 源氏物語」「源氏たまゆら」です。かなりダイジェスト版なのでさらりと読めてしまいますが、岡田嘉夫さんの挿絵も物語を盛り上げてくれます。よかったら一度どうぞ〜♪
      2013/05/18
  • とりあえず、1巻にレビューつけときます。

    私にとっての源氏物語はもう橋本源氏以外には考えられません。

    橋本源氏は光源氏による一人称の小説です。
    光源氏という特殊な男の視線から描かれることで
    多様な側面を浮き彫りにする物語。
    しかも橋本治が憑依してるから面白くないわけがない。

    きちんと原文を読んでいるわけではないので、
    どこまで彼の(補助的な)創作なのかあいまいなんですが
    キャラクターが見事に肉づけされて、
    豊かで深みのある複雑な味わいがあるのです。

    源氏物語
    =光源氏という絶世の美男(プレイボーイ)があまたの美女と繰り広げるラブアフェア、
    な単純を絵にかいたような認識の枠には全く収まらない壮大な人間模様。

    橋本源氏を読んでいると、
    女は政治の道具であり、自身(と一族)にとっての重要な駒であり、
    同時に政治を超えた個人の愛と性愛の問題であり、
    しかしながらやはり個人の問題だけに留めることのできないものであり、
    と、実に複雑に入り組んだ関係性であることが分かる。
    この駆け引きや、予想外の展開で様相を変えていく自分の位置、
    なんてのがもう本当に面白いのだ。
    もちろん話者である光源氏個人の考え方、
    ものの見方も掘り下げてあって唸ってしまう。

    言葉の美しさにとことんこだわった文章も素晴らしい。
    情景描写を読むだけで目眩がするような鮮やかな映像が頭の中に浮かんでくる。
    日本語ってこんなに美しくて味わいがあって豊かなんだと再認識。
    カタカナを一切使わず、日常では出てこないような絢爛豪華な言葉や漢字でも
    浮きあがらずに流れるような自然さで繋がっていく。
    セリフの中に出てくる古語も違和感なく、
    むしろかつて持っていた知識をくすぐるような感じがイイ。
    このへんはもう橋本治の持ってるインテリジェンスとセンスに裏付けされて
    間違いがない。

    これまでもう何度も読み返している橋本源氏だけど、
    読むたびに新鮮で気がつくことが多い。
    忘れてるだけと言う話もありますが。
    今回は特に登場人物の描き方に唸りまくってしまった。
    一般的な源氏の本や入門書にあるような類型的な性格や特徴ではカバーしきれない
    もっと入り組んで、その人物自身ですら把握しきれないでいるような様々な要素が
    光源氏の目線と、光源氏になりきった橋本治の冷徹な観察眼を通して
    重層的に描かれている。
    おそらく女性の人気が高いであろう夕霧なんかは
    もう身も蓋もない性格描写が、さらっと、それでいて言葉を変えて何度も出てくるあたり、
    なるほどなあ、と何度もニヤっとしてしまった。
    光源氏の子でありながら、低い階位を与えられ、
    勉学に励み階位を自ら登って行き、
    同時に幼馴染に一途な思いを持ち続け、最後には一緒になる、
    なんて女子好みの、真面目でひたむきで健気な美しい男、
    というのが一般的な夕霧像なのかもしれないけど
    むしろ夕霧の実直といえば聞えのいい子供っぽい頑固さとか、
    頭でっかちで融通の効かないセンスの無さとか、
    何考えてるのかよくわからないとりとめのなさとか、
    実に鮮やかに人物像が浮き上がる。
    で、最後の落葉の宮への対応の残酷さ(本人分かってない)なんかが
    「うわーありがちー」とストンと腑に落ちたり。

    あとわりと好印象だった花散里も、
    最初に出てきた時は存在感の希薄なジミな登場だったのが意外だった。
    源氏が長く面倒を見た女人の中ではかなりの厚遇だが
    美人でなくても、気立てとセンスと控えめさである一定の位置をキープできている、
    というのがよく分かる。
    なんかお母さんになった妻、って感じなんだよね。
    源氏からすれば、家のことは任せて自分は外で好きなことやって、
    一応大事にしてるけど抱くほどじゃねー、という。
    でも花散里の方も別にそれでいいやと思ってて、生活には困らないし、
    子供の世話なんかをやいて満足しているというところが。
    でもわりと女性の共感は得やすいような気がする。楽そうで。

    皇太后(弘徽殿)は、きっと書いてて楽しかっただろうなあと思う。
    筆がイキイキしてるもんなあ。
    源氏の中でははっきりとした陽性の悪役で、
    敬われ丁重な扱いを篤く受け、影響力も持っているのだけど、
    誰からも女性として扱われてないというのが不憫。
    逆に藤壺は捉えどころがないというか、
    実際に何を考えていたのか分からないし、
    政治的な面で力を見せて動いてくるあたりも不気味な印象。
    翻弄される源氏のことも生まれた子供のことも、結局どう思っていたのかと
    何か引っかかりが残る。
    また次に読んだ時に、違う印象を持つかもしれない。

    好きなのはやっぱり紫の上ですかねえ。
    少年のようなきっぱりとしたまっすぐな性格と
    屈託のない愛らしさ。
    美しさと幸せに満たされた後に待っている、徐々に苦しめられていく終盤は
    読んでいて胸が苦しくなってくる。

    今回読んで一番印象に残った帖は「野分」かなあ。
    台風をはさんで源氏が六条邸の各町を見舞っていく話で
    それぞれの女性たちの性格やら、
    見事な庭の前栽が風や雨でなぎ倒される様が
    美しい言葉で描かれていて。
    この時の嵐を楽しむような紫の上が魅力的なんだよねえ。

    源氏物語は女人だけでなく、男たちも個性的で面白い。
    朱雀院のなよなよとしてるのに執念深いところは、
    最後のクライマックスに行くほどに存在感を増して気持が悪いのなんの。
    イメージとして春風亭小朝が浮かぶのはなんでだろう。
    ついでにイメージが浮かぶのは朱雀院の息子の春宮=ルーニー。
    若いのに偉そうで好色なところとか。
    色白でむちっとしてる感じが浮かぶのだ。

    橋本源氏を読んでると、
    それぞれの人間的な部分がとても濃く印象に残る。

    平安の時代に厳然としてあるのが身分。
    それに基づいたたくさんの決まりごと。
    どうにもならない出自を、
    娘という武器を足がかりに、出世の糸口を見出す男や女の思惑、
    情勢によって移ろう栄華と浮き沈み。
    明石の一族や玉鬘の物語は当時の人にどんなふうなインパクトがあったのかと。
    服喪の期間も墨染の濃さも身につけていい色もきちんと決まっているような社会で
    思いをかけることの際どいバランス。
    簡単に行き来できない距離や身分、顔を見ることが性交渉に繋がるような距離感、
    今ではとても想像できないような時間や距離の感覚が
    読んでいていっそうもどかしさを感じて引き込まれていくんだよねー。

    あとは宮中や季節ごとの行事などがとても興味深い。
    五節の舞姫選出のエピソード、伊勢へ下る斎宮を朱雀院が送るシーン、
    五十日の祝い(いかのいわい)や三日夜の餅、
    薫物合せや女楽、と読んでいるだけで美しいイメージが膨らんでくる。

    少しでも興味のある方には、橋本源氏はものすごくお勧めなんだけど
    いかんせん量が膨大なのでね。
    でもどんどん読みたくなる内容ですよ。
    http://takoashiattack.blog8.fc2.com/blog-entry-1951.html

  • 「女人」を入れたのでこちらも。「女性の物語」である源氏物語に男性視点で切り込んだ斬新な解釈が面白い。

  • 友人から「源氏供養の、ここの場面間違ってない?!」と問われ、初心者ながら源氏好きを公言し、尚且つ橋本治先生は大好きなのになんと!源氏供養を読んでなかったと今更気が付く私・・・
    日々、友人にお勧めされた本やミーハー本に追われて最近源氏関連本読んでいなかったなあと反省しました。
    源氏供養を読むならその前に窯変再読せねば!と小さな一念発起、久々に全14巻窯変源氏に手を出すことを決意しました(大げさ・笑)。

    久々に読んだ橋本源氏、やっぱり異質ですごいわ。
    未だにこれを超える訳本は出てないと思っています。そもそも訳本という枠を超えている。

    普通の源氏物語は、誰が訳していても光源氏が主役でありながら彼をめぐるまわりの女達にスポットをあてた物語に仕上がっていて、原文も、紫式部という女房の客観目線が主軸です。
    そんな中本書は、一貫して光源氏の主観で物語が進みます。
    何もかももってる光り輝く主人公ではなく、奪われたものに焦点を当て、それに対する不満や闇を抱え苦悩する、冷徹だけどまだ幼い光君が登場した時のインパクトは、何度も再読したはずなのにやっぱり衝撃的でした。
    紫式部が描かなかった男目線の平安貴族の世界を再現し、ねちねち、くどくど、でも、これこそが当時の人間のありようだ!と私は信じています。。

    1巻は桐壷~夕顔まで。
    ゆっくり読んでいこうと思います。。

  • 紫式部の源氏物語の筋は変えず、物語はすべて光源氏の一人称で語られるという、珍しいタイプの源氏物語です。この作品は、それだけで現代小説として成立しており、古文を忠実に訳した文章のような違和感がありません。源氏物語の現代語訳を読むのに挫折した人にもおすすめです。

  • 橋本治 窯変 源氏物語 1/14 桐壺〜夕顔。

    1巻における著者の源氏物語観
    *愛=政治の別名。美=力→貴族社会を揺るがす力
    *右大臣と左大臣の勢力争い→女との結婚=父の勢力引継
    *左大臣の後見→第二皇子である源氏の出世
    *源氏の孤独、女性たちの愛

    読みやすいけど 14冊読めるかは不安

    桐壺→闇の中から光が生まれる
    *愛=政治の別名→女=政権欲の形
    *第一皇子が継ぐ→権力の中心は 右大臣へ
    *源氏を春宮にしたい→源氏の後見が問題
    *源氏は 左大臣家の婿になり 左大臣の後見を得た
    *藤壺の女御への恋〜背徳

    帚木
    *左大臣家の頭の中将と 右大臣家の四の姫の結婚=両家の勢力均衡を図るため
    *源氏の男としての目覚め→男の愚かさ

    空蝉→男と女の戦いが始まる
    *葵の上=終生の拠り所となる真の妻
    *空蝉=抜け殻→源氏を避けた女

    夕顔→六条御息所 登場
    *源氏が 死の穢れに触れる
    *源氏の初めての恋は 夕顔→夕顔の死
    *源氏の孤独の歌=過ぎし日に 今日別れるも二方に行方も知らず秋は逝くかな

  •  与謝野源氏、円地源氏、瀬戸内源氏、田辺源氏・・・どれも面白くなかった。どれもできるだけ正確に現代語訳しようとしているから無理が出る。
     この本は橋本の「印象」で描かれているので実に読みやすい。
     完全読破できる自信はないけど・・・

  • 無学で恥ずかしいけど、間違って殺してしまったの?まさかそんな話があるとは思わなかった。古文でむずかしいのかと思っていたけど、生身の人間の話だったんだと今更びっくり。

  • 今更ながら源氏物語にチャレンジすることにしたが、潤一郎
    訳の前に、読み易さの点からこちらのシリーズからスタート。

  • Hashimoto's 14 volumes of Yōhen Genji mono
    gatari [The Transformed Tale of Genji]: He spent three years retelling the story as a confessional from Prince Genji’s soul, adding scenic grandeur that is not explicitly existent in the original text but that can be detected from the ancient writing.
    The archaic Japanese language has a seemingly
    magical capability to convey more meaning
    than the words themselves express. Few Japanese
    today value this tradition, but Hashimoto has made elucidating the delicacy, precision, and beauty that
    Japan’s language once embraced a part of his lifework.

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著者プロフィール

橋本治
1948年3月25日 - 2019年1月29日
東京生まれの作家。東京大学文学部国文学科卒業。イラストレーターを経て、1977年に小説『桃尻娘』を発表、以後文筆業を中心とする。同作は第29回小説現代新人賞佳作となり、映画・ドラマ化もされた。1996年『宗教なんかこわくない!』にて第9回新潮学芸賞、2002年『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』にて第1回小林秀雄賞、2005年『蝶のゆくえ』にて第18回柴田錬三郎賞、2008年『双調 平家物語』にて第62回毎日出版文化賞、2018年『草薙の剣』で第71回野間文芸賞をそれぞれ受賞。
編み物にも通じており、1989年『男の編み物(ニット)、橋本治の手トリ足トリ』を刊行。自身の編んだセーターを着てCMに出演したこともあり、オールラウンドに活躍を続けた。

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