ファラオの墓 (4) (中公文庫 コミック版 た 1-7)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122025707

感想・レビュー・書評

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  • ウルジナに捕えられてしまったサリオのために、アウラが奔走。アビドスの援軍を得て、サリオの命は保証される。全てを知ったスネフェルとサリオの最期の対決。

    スネフェルの孤独と、ナイルへの愛、それを失った喪失感が本当に辛い。サリオが、もしウルジナがエステ―リアに攻め込まず、スネフェルが正式にナイルを妻としてウルジナに迎えていたら、こんなことにはならなかったのに、とスネフェルに語る場面の苦しさよ。

    悪役が魅力的なのは竹宮恵子の特徴だと思う。スネフェルとサリオの関係は『地球へ』におけるジョニーとキースの関係と重なった。そしてアンケスエン姫が地味に好きなので、彼女の潔さも胸に刺さる。名作。

  • 4/4
    時期的には「風と木の詩」直前。
    経緯としては、竹宮、「風木」を発表したい。
    しかし編集部から待ったをかけられる。
    じゃあ今から連載する作品で読者アンケートで一位を取ったら発表させてくれ、と交渉。
    したはいいが、どうしたもんかね。
    増山法恵「貴種流離譚がいいよ」とアドバイス。
    竹宮がなんとなく思い描いていたビジョンと合わせて、じゃあ時代はどこにする? エジプト? 「墓」ってタイトルはどうなん?
    などと戦略的に作り上げていった作品、とのこと……「少年の名はジルベール」より。
    この成立過程自体が面白い。

    戦略的にストーリーを随時見直しているためか、とにかく展開は目まぐるしく、次はどうなる、今後どうなる、と引き込む。
    確かに面白い。目が離せない。当時の少女たちの鼻息が、感じられる。
    が、清廉潔白なサキオリスと、無垢な妹ナイルキアと、イカレた暴君スネフェルと、話の分かる婚約者アンケスエン姫……と、あまりに「顔=性格そのもの」すぎて、飛躍や逸脱はない。
    そりゃ年頃の少女をときめかせるための漫画だから仕方ないが、たとえば(当時の習俗だからとかいって)サリオが妾を持ったり、スネフェルが性病で全身が病み爛れたり(三島由紀夫「癩王のテラス」)……と、いや、これはおじさんの発想だった。
    それにしても、アビドスのアウラ・メサ姫の健気さよ! 可愛い!

  •  相変わらずナイルの位置や、イザイの生き様など、実に神話的である。
     それ故に主要登場人物らの人間的魅力は薄くなってしまう。なんだろう、物によって都合よく動かされているように見えてしまう。しかし脇役が輝くのは力量なのか。
     アウラがけなげでかわいいが、しかし、このさき神々と同列に並ぶのかと思うと、彼女は悲劇のヒロインのようにも見えてしまう。

  • 作者自身が創作した「エステーリア戦記」が題材。<br>
    普通だったら既存の神話などを下敷きにするのに、<br>
    自分で戦記まで書いた作者に脱帽。<br>
    国を滅ぼされた王子、サリオキス。<br>
    敵国ウルジナのスネフェル王。<br>
    スネフェルに恋したナイル姫はサリオの妹で。<br>
    壮大で豪華なコミックです。<br>
    エジプト好きなら是非一読をw

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著者プロフィール

1950年、徳島市に生まれる。徳島大学教育学部中退。68年『リンゴの罪』でデビュー。70年、雑誌連載をきっかけに上京。以後、SF、同性愛、音楽、歴史などを題材に多彩な執筆活動を展開。80年、『風と木の詩(うた)』『地球(テラ)へ…』により第25回小学館漫画賞を受賞。主な作品に『ファラオの墓』『イズァローン伝説』『私を月まで連れてって!』『紅にほふ』『天馬の血族』『マンガ日本の古典 吾妻鏡』などがある。京都精華大学にて2000年~教授就任。14年~18年学長。2014年紫綬褒章受章。

「2021年 『扉はひらく いくたびも 時代の証言者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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