- Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122026308
感想・レビュー・書評
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10巻では横笛、鈴虫、夕霧、御法、幻までが収録されていました。
とうとう源氏の帖が終わってしまった。
紫の上が亡くなってしまい、源氏と一緒に私も虚無感に襲われています。
しみじみと悲しさが溢れ出てくる感じ。
彼女の死後、二条の院で三ノ宮(匂宮)が私の梅♪とはしゃぐシーンでは何度も読んでいるのにこらえきれず涙が・・・
住む人を欠いた屋敷にもかかわらず今年も紅梅の香りが漂い、温かい懐かしさで満たされているその屋敷の情景が、紫の包容力そのものとしか思えず、あらためて亡くなったことが悲しくなりました。
彼女の幸せとはなんだったかなあ、とか月並みだけど彼女の人生に思いを馳せずにはいられません。
極楽浄土では彼女の悩みが取り除かれますように。
と、美しく感想を終わりにしたかったのだけど。
その前の帖である夕霧と落ち葉の宮のこと。
どうでもいいと思いつつ二人について膝を打つような表現があったので、それだけちょっと書き留めておきます。(どうしても夕霧さんとその一派が気に入らない)
「真面目という名の不決断と、慎ましやかという名のたぎる硬直が、心を通わそうという事の前で無様に対峙をするというのだから、これは並大抵のことでは成らぬだろう。」
という一文。
そうなんですよ、こんな二人だからいつまでもめんどくさくって情緒がなくってイライラ。
ついでに言うと落ち葉の宮のことを「さすがに女三ノ宮共々、はばかばしいところの何もない朱雀院の血を引いた内親王だけあって、することはひとつ。よよと泣く」だって。
うーん。辛口すぎてシビれたわ!橋本源氏最高。
さて、心機一転宇治十帖に入りますか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
夕霧と落ち葉の宮の恋がのっぴきならない感じになってきました。夕霧ストーカーですよね…。子沢山の雲居の雁が腹を立てるのもさもさありなんですよね…。落ち葉の宮を口説くときも的外れ感が漂います。雲居の雁と夕霧の夫婦喧嘩はなんだかかわいらしかったです。
「横笛」が何とも情緒のある文章で、今は梅雨時なのに秋のつめたい空気を感じてヒンヤリしました。
大病の末、紫の上がとうとうはかなくなってしまいました。ヒロインとしては最高に輝いていただけに、晩年の女三の宮降嫁のことなどて心痛が溜まっていたのでしょうね。悲しいです。源氏も後悔しても遅いよ!源氏主人公の物語はここに完結しましたが、子・孫世代が気になります。これが長い作品を読む醍醐味ですね。 -
横笛・鈴虫・夕霧・御法・幻
最後の最後で現実から目を背けてしまう六条の院に涙。
うかつにも(源氏で初じゃないかな)泣いてしまうほどでした。
哀愁というよりも、寂寥という言葉でしょうか。
もっとふさわしい言葉があれば教えてください。
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「御法」が凄い。紫の上を失った源氏の虚脱感がこれでもかというくらい描かれています。
「引きちぎられた御法の果て――紫の上は、死んだのだ。」このフレーズが一際耳に残ります。これだけでなく、橋本氏の源氏物語は印象に残るフレーズがとても多いです。歌の解釈も、気に入らないのもありますが(笑)概してわかりやすくて好きです。
「雲隠」以降も嫌いではないですが、やはり一人称源氏の死後は魅力が薄れてしまうかも。 -
資料番号:011220191
請求記号:F/ ハシモ/ 10
資料区分:文庫・新書