御馳走帖 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 796
レビュー : 74
  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122026933

作品紹介・あらすじ

朝はミルクにビスケット、昼はもり蕎麦、夜は山海の珍味に舌鼓をうつ、ご存じ食いしん坊内田先生が、幼年時代の思い出から戦中の窮乏生活、また知友と共にした食膳の楽しみに至るまで、食味の数々を愉快に綴った名随筆。

感想・レビュー・書評

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  • 序にかえて、と戦争で食料は配給で満足に食べられない日々の食事の記録した日記と思しきものが掲載されていて、「野火」を読んだ後での食の描写に不思議な感覚を覚えた。
    どちらも飢えているのだが、東京での食糧難は百閒先生にかかると切ないながらなんとも面白い。

    常識では考えられないことが平気で書き連ねられていたり、故郷を食とともに愛おしそうに思い出し、文中の言葉一つ一つが味わい深く読んで良かった。学生の頃、授業で冥土を読んだはずなのに何一つ覚えていないのはきっと私の読書力が足りず、そして若さのためだったように思う。

    百間先生、人間の格がチガウ。と思わせる一方で こんな亭主がいたら大変なんてもんじゃない。この食を支えた妻がエライ!

  • ちょっとわがままなお爺さんによる、食べ物やお酒などの随筆集である。

    “好きだから、好き”な食べ物のことが百閒先生の言葉遣いで語られている。

    読み終わるのが勿体なかったので、約1ヶ月かかって読んだ。(他にも理由はあるが)

    それくらい、どの随筆も愛しいものがある。

    自分も「通りがかりの洋食屋のカレー」に付いては面白かった。
    我慢しきれず食べことについて、それがおいしいんだかまずいんだか、よくわからないことになっているのが、すごく面白かった。

  • 百閒食べる食べる飲む呑む喫むが、ギッチリ詰まった百閒好きのための百閒本。ひい!
    おいしそうな物がたくさん登場しますが、油揚げを焼いて生姜醤油をかけたのを友人に出して、後世まであれは美味いねと(優しさと勘違いを含め)云われ続けた一品がやたら美味そうだったので、週末の肴に決定。

  • アイスクリームを「食べる」とするか「飲む」とするか、百閒さんが表現迷ってるところがあって、ああ新しい食べ物に対しては連なる動詞も最初は決まってへんのか、とおもった。あとソップがスープのこととか、へーそんな風に言うてたん。そんな習慣があったん。みたいなのが多くて面白かった。

    でも、百閒先生自身がものすごーく食い意地がはってるかというと、どうだろって思うのね。だって戦争云々抜きにして、空腹を我慢して生活してるとこたくさん出てくるでしょう?あと詳しい調理法にもいうほど興味が無いようで(おからにレモンを絞るとかその程度である)、昨今のグルメエッセイを読み慣れてると、どうも物足りない感じの主観者なのよね。全然つまらない本じゃない!さすが百閒先生でいっぺんいっぺん面白いっちゃ面白いんだけど、わたしには物足りなかったって感じ。

    最初の一遍と、途中に日記形式で食べたもの、食べたいものをメモしているやつがあるけど、なんかそういうのをもっと読みたいなー武田百合子さんの富士日記ぽくておもしろかったもん。そういうの無いかねぇ?

  • 平たく言えばおっさんの日記帳。好きなタバコは。好きな食事は。好きな酒は。といった内容が続く。印税の前借までしてパーティをし、酒の歯止めが利かずにべろんべろんに前後不覚になる「御慶」は印象に残った。蛍の光を差し止めさせるあたりのくだりは吹き出してしまう。概ねこんな感じなので、たぶん得るものはあまりないが、私はこういうのが好きです。

  • ※1979年出版のものを読んだので、もしかしたらここに登録されているものとは多少内容が違うかもしれません。

    食いしん坊で大酒飲みの、わがままじいさんの、食べ物にまつわる随筆集。あいかわらずむちゃくちゃなのに、どうにも憎めなくって、妙にかわいくて笑える。
    絶対に巻き込まれたくないけれど、宴会のどんちゃん騒ぎの夢と現の境目が曖昧な描写はすごいなぁ。
    私もこれから呑むのは麦酒とお酒に絞ろうかな、なんて、考えてみたり…

  • 旧仮名使いであるが、それがまたこの作品の良さを引き出している。シュークリームやらカステラやら麦酒やら食へのこだわりを感じた。当時の人にしてはかなり良いものを堪能していたのではないだろうか。
    また最初から最後まできっちり読まなくても、短い短編としても気軽に楽しめるのもこの作品の良いところ。
    夏目漱石には頭が上がらないんだろうなぁ

  • 20170304 時間がかかったがようやく読み終わった。作者の食べ物に対するこだわりは付いていけないくらいすごいとおもう。あの時代だという事が余計にすごい。何かこだわるならそこまでやれないといけないのかな?

  • 堀江敏幸さんの朝日カルチャーでの講座で使用するとのことで購入。

  • 他人の徹底したこだわりを聞くのは、面白くて興味深いし、タメになることも多いなと感じる。ただ、本人や周りの人は苦労することもあるだろうけど。「養生訓」で、医者から養生のために牛肉を食べるのはいけないと注意されながら、牛の本質は餌にしている藁だと滅茶苦茶な定義をして、牛肉のすき焼きの事を藁鍋と呼び、「私は此頃頻りに藁を食つてゐる」と言ってのけるところに笑わされた。「麦酒」の自分が幼い時に経験した父親とビールにまつわる思い出について、何ということもない些細な出来事であるのに、鮮明に記憶されているその情景の描かれ方に、心地好いノスタルジーな気分になる。「猪の足頸」の「何となくゐのしし、ゐのししした気持ちになつた」という表現が、文面からそれらしい雰囲気が伝わってきて好き。

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