源氏供養 上巻 (中公文庫 は 31-18)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (388ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122027343

感想・レビュー・書評

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  • とても細かい内容が、
    思いついた順に書かれているという感じで、
    なかなかすっきりと理解できないのだけれど、
    でも、とても示唆に富んでいて、面白かった。

    特に、桐壺の更衣と死別した時の桐壺帝の年齢が18歳
    この推定には驚いた。
    なんとなく、中年の桐壺帝を想像していたので。
    こんなに若い青年だったなら、そして初恋だったなら、
    あの取り乱し様も理解できる。
    ちょうど、夕顔に溺れた光源氏のような状態のように。

    そして、また「うるはしき姫君の日常」として
    18畳の部屋に、2畳くらいのベッドがあり、
    それだけが、高貴な姫君の生活空間、
    というのも衝撃だった。
    しかも、することは何もない。
    退屈を紛らわすための娯楽などがあるだけ。
    御簾ごしに眺める庭が外界のすべてで、
    訪れる男君をただただ待つだけ。

    末摘花は、教養もないので、訪問者はほぼなく、
    貧乏なので、退屈しのぎにすることも限られ、
    本当に終日ボ~~っと、待ち続けていたのだろう。
    想像するのも恐ろしい日常だけれど
    宮家の高貴な姫君だから、それを苦ともしなかった、
    というか、そういうのが当たり前だったのかもしれない

    本当に、平安時代って、びっくりさせられる。

  • 朱雀帝、前々からあやしいと思っていましたがやはり…。私は男君メインで源氏物語を読んで行きたいと考えているので、著者の女君賛歌に陥らないバランス感覚ある論考が、大変読みやすく感じました。

著者プロフィール

1948年東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説、戯曲、舞台演出、評論、古典の現代語訳ほか、ジャンルを越えて活躍。著書に『桃尻娘』(小説現代新人賞佳作)、『宗教なんかこわくない!』(新潮学芸賞)、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『蝶のゆくえ』(柴田錬三郎賞)、『双調平家物語』(毎日出版文化賞)、『窯変源氏物語』、『巡礼』、『リア家の人々』、『BAcBAHその他』『あなたの苦手な彼女について』『人はなぜ「美しい」がわかるのか』『ちゃんと話すための敬語の本』他多数。

「2019年 『思いつきで世界は進む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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