- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122027954
感想・レビュー・書評
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再読。新選組三部作完結編。表題の「新選組物語」は、聞き込みされた談話もまじえつつ小説仕立てになっており、おそらくこれが作者の創作と資料部分の切り離しが一番難しい作品。すべて実話と誤解されやすいため、のちの新選組小説の元ネタになったものも多くある。
「新選組」と、最後の短編「流山の朝」は史実ベースといえど完全に小説とわかりやすい。「新選組/新選組聞書―稗田利八翁思出話―」のみ、タイトル通り、昭和13年まで存命だった最後の生き残り隊士・稗田利八(池田七三郎)に子母澤さんが取材した談話。やはり体験談がいちばん興味深い。
※収録
新選組物語(隊士絶命記/人斬り鍬次郎/死損ねの左之助/隊中美男五人衆/近藤勇の屍を掘る/壬生心中/かしく女郎/月下の死骸)/新選組/新選組聞書―稗田利八翁思出話―/流山の朝詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
聞き書きを忠実にやったものと、小説とがある。
聞き書きでは随分と客観的にやったが、小説は随分と思い入れをやって書いてある。やり過ぎだと思いながらも、新選組への愛情を感じ、心打たれるものがあった。 -
子母澤寛の新選組三部作、完結編。主に新選組隊士の死に際を描いたもの。特に近藤勇の最後を描いた「流山の朝」は土方歳三と比較をしながら自らの原点に還っていくストーリーでありエンディングに相応しい。
「隊士絶命記」に登場する南部藩の吉村貫一郎の死に際は浅田次郎の「壬生義士伝」につながるもの。 -
読んだ本 新撰組物語 子母澤寛 20230906
新撰組三部作の最後、「新撰組遺聞」のインタビューや遺稿なんかの資料的なものを、小説風に仕立てたもので、続けて読むと味がありますね。結局ノンフィクションなんですが、まあ読みやすく、順番としては物語→遺聞の方が、小説→事実(種明かし)的で面白かったかなとも思います。
遺聞になかったと思うんですが、浅田次郎の「壬生義士伝」の主人公、吉村貫一郎が描かれていて、その人物像も正に同じで、浅田次郎は間違いなくここからテーマを選んだんだろうなって思いました。これを膨らませて、あんな小説に仕立てるなんてすごい。
ほとんどが、取材内容を小説仕立てにしてるんですが、最後の「流山の朝」については、近藤の土方への思いの複雑さなんかが溢れてて、ジンと来ました。ちゃんと小説です。近藤の最後って、なんか釈然としなかったんですが、これ読むとなんか納得するものがありましたね。ノンフィクションとは違った説得力が小説にはあるんだなって改めて気づかされました。 -
※売却済み
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資料性が高く、一定の知識が付いた後読むといい。
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まだおそらく江戸・幕末の名残の感じられただろう明治後期に生まれ、昭和にかけて生きた著者。新聞記者として働いたこともあったようで、関係者に聞き取りをしたり、当時の手紙や資料を読んだり、ご自分で「新選組」を調査してまとめたのがこの3部作ということだ。
聞き取りをした相手にしても、手紙や資料を残した人にしても、人によって記憶が違っていたり曖昧になっていたりもするのだろう、ところどころ今現在 知られている「史実」とは異なる記述も多い。けれど、幕末を生き延びた元新選組隊士や、幕末に生きた人物たちのごく親しい家族(配偶者や子供)・親戚等に実際会いに行き話を聞いて集めた逸話も多く、新選組の隊士達の生きざまや人生模様、当時の空気が活き活きと生々しく伝わってくる。この内容が小説・資料として残った価値は高いのではないかと思う。
ずいぶん前に司馬遼太郎の新選組血風録等を読んで以降、私の中では近藤勇の存在感が薄かったのだが、今回子母澤寛の新選組3部作を読んで近藤勇に対する印象が大きく変わった。 -
「人斬り鍬次郎」「隊中美男五人衆」など隊士の実相を綴った表題作の他、稗田利八翁の聞書、近藤勇の最期を描いた「流山の朝」を収載。菊池寛賞に輝いた幕末維新作品の出発点となった新選組シリーズ完結。
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新選組3部作の第3作
少しだけ吉村貫一郎が出てきたのは、
壬生義士伝好きとしては、嬉しかった。
一番良かったのは、近藤勇を書いた 、
流山の朝
近藤勇という人物は、土方を通して、
語られていた部分が多かったので、
近藤勇、その人がとても清々しい。
武士になってしまった、農民の窮屈さが、
とても切ない。
浅田次郎で、新選組に興味を持ったので、
土方贔屓になっていたところがある事を、
再認識させられた。