日日雑記 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 573
レビュー : 58
  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122027961

作品紹介・あらすじ

通信販売、水族館、美空ひばり公演、愛猫の死…世事万端に興味をもつ天性の無垢な芸術者が、身辺の出来事と折々の想いを、時には繊細な感性で、時には大胆な発想で、丹念につづった最後のエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 恋人が貸してくれたから、というのもあるのでしょうが、
    ・・・・・こんな女、好きになるに決まっているじゃないか!
    という勝手な嫉妬。
    こんな、魅力的な人は怖い。

  • 著者の最後のエッセイ集で、代表作『富士日記』同様、日記形式の文章がつづられています。また、大岡昇平の追悼文も収録されています。

    ただ『富士日記』のばあい、いちおうは公開されることを想定されずに書き記された日記とされているのに対して、本書はエッセイとして発表された文章ということもあり、ユーモアがやや強く出ています。

    19歳まで生きた飼い猫の玉の衰弱と死をえがいた文章にも、思わず目頭が熱くなりながらも、同様の印象が感想をいだきました。もちろん、それが悪いということではないのですが、どこまでも現実の生活のなかでその死を迎え入れなければならない過程が生のまま現われ出ている愛犬ポコの死の描写とくらべると、やはり異なるものだなと感じます。

  • 武田百合子さんのエッセイ。生前最後の著作。表紙写真は 娘の花さん。昔から 知ってる 友達のお母さんみたいな文章

    序文「いなくなった人たちに」で始まる。雑記のように見えて、生と死が どのエッセイにも盛り込まれている気がする

    映画、外食、人の観察が好きみたい

  • ねばっこくない。見た物をそのまま言葉に書き取った文章。

  • 2016/07/20 再読

  • この著作でも、『遊覧日記』などと同じように、武田百合子さんの観察力がすみずみまで発揮されています。そして、その観察眼は、周りの人たちや事物のみならず、自分や娘にまで及んでいます。

    武田百合子さんの対象を見る視点はその細部を含めた切り取り方がとてもいいのですが、一方で、好きなもの、嫌いなものがはっきりしていて、好きなものへのあたたかさもじんわりと響いてきます。

  • さらりと読みやすい文章だと油断すると、あっという間に足元をとられ飲み込まれて流されてしまいそうになる。その感覚にぞくりとする。

  • 大切にとっておいた武田百合子の最後の本.また読み返せばいいのだけれど,これでもう,新しい本に出会うことはないと思うと,寂しいね.

  • 「ある日」で始まる日記。武田百合子最後の書籍。
    どこかに出掛けた話や食べたもの・見たものの話が多いが、
    身近な人たち(愛猫のタマを含む)に先立たれて残されてしまった寂しさが全体に漂う。

    娘の花との親子関係が対等な感じが素敵。

  • 作家によっては読者側の脳の働きがその本を読む専用の仕様にカスタマイズされていくような気持ちになるときがある。
    彼女の正月の話を目で追いながら、頭の中があれやこれや動いていく。そしていったんそうなってしまうと、ずるずると引き込まれていくのだ。
    彼女は武田泰淳の奥さんだが、この世界観というか空気はどちらかというと、川上弘美、さらにいえばそれに連なる内田百閒を思い起こさせる。
    ひょうひょうとした語り口と、悲しいことを書いていてもどこかユーモラスな視点。
    湯治場にいって、そこの常連に熱心に入っているから自分は長生きだと自慢されて、娘が後で母親に一日中風呂につかっているだけで過ごして長生きといっても何もできないじゃないかと指摘したり、仲良しアヒルの光景にほのぼのしてたら実は食べられる運命だと教えられたり。
    また、このアヒルが夜の池に浮かんでいる情景の描写がすばらしいから余計ブラックでおかしい。
    特に飼い猫の晩年と死についての描写はいい。
    もう動けなくなった猫の言葉もかわいらしく、消えゆく愛するものへのいとおしみがよく出ている。
    その猫が死に亡き泰淳と猫との思い出に泣きながらペット霊園にいって、焼き場のおっちゃんに尻尾の骨をほめてもらい、大事に飼っていたんだね、と言われる。
    そして猫の葬式代を友人の猫の葬式代と比較して、それが相場なんだろうと納得し、骨をほめてくれたことを思い出す。
    やはり、内田百閒ぽいなぁ。
    もっと読みたい。
    しかし、これは最後のエッセイでこれ以降は無い。
    残りは数冊、また脳みそを切り替える時間の余裕ができたときに少しずつ読みたい。

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著者プロフィール

武田百合子

大正14(1925)年、神奈川県横浜市生まれ。旧制高女卒業。昭和25年、作家の武田泰淳と結婚。口述筆記をしたり、取材旅行に同行し、夫の手となり、足となっていたが、夫の没後、『富士日記』により、昭和52年、田村俊子賞を受賞。竹内好と武田夫妻、三人での旅行記『犬が星見た――ロシア旅行』で、昭和54年、読売文学賞を受賞。『武田百合子全作品』全7巻がある。平成5年死去。

「2019年 『武田百合子対談集(仮)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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