永楽帝 (中公文庫 て 7-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122027992

作品紹介・あらすじ

明帝国の初期、自ら兵を率いてのモンゴリア遠征、南海への鄭和派遣、日本との勘合貿易など対外関係を中心に華々しい功績を残した成祖永楽帝。中国史上屈指の"英雄豪傑"皇帝の生涯を、明朝創始者・朱元璋の四男としての生い立ちに始まり、靖難の変による帝位簒奪、遠征中の死に至るまで、丹念に辿った傑作評伝。

感想・レビュー・書評

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    [明帝国の初期、自ら兵を率いてのモンゴリア遠征、南海への鄭和派遣、日本との勘合貿易など対外関係を中心に華々しい功績を残した成祖永楽帝。中国史上屈指の“英雄豪傑”皇帝の生涯を、明朝創始者・朱元璋の四男としての生い立ちに始まり、靖難の変による帝位簒奪、遠征中の死に至るまで、丹念に辿った傑作評伝。]

    「ぼくはすべての学問は「人間とは何か」という問いにたどりつくものだと考えている。歴史学においても、直接「人間」を描いたものが一番おもしろい。ー永楽帝は中国史上初めて、万里の長城を自ら越えてモンゴルと戦った皇帝であり(後に新の康熙帝も遠征を行った)、ムスリムの宦官である鄭和を6回も南海遠征に向かわせて遠くアフリカにまで到達させた人物であり、国内では秘密の諜報機関を設置して敵対者を排除した人物でもあった。大胆にして細心、これが永楽帝!」
    (『世界史読書案内』津野田興一著 より紹介)


    目次
    1 明帝国の成立
    2 燕王朱棣の登場
    3 建文帝と燕王
    4 靖難の変
    5 燕王から永楽帝へ
    6 永楽帝、沙漠をわたる
    7 西蔵と安南とシベリア―対外積極政策のゆくえ
    8 草原の英傑チムール
    9 チムールの征明計画
    10 日本国王源道義
    11 鄭和の南海遠征
    12 永楽帝の時代

  • 朱元璋の創業、永楽帝の登場と3年に渡った「靖南の変」、五度にわたるモンゴリア遠征(漠北征伐)、西蔵と安南、シベリアの対外政策、ティムールによる征明計画、日本の足利義満との関係、鄭和の南海遠征、『永楽大典』などの事業が書いてある。文体も面白く、読みやすかった。

  • (後で書きます。簒奪者ゆえに華夷秩序の完成を自身の成果としたいとするアプローチ。参考文献リストあり)

  • 古本で購入。

    明の第3代皇帝・成祖永楽帝。
    彼は史上唯一、漢人皇帝として漠北への親征を行い、側近の鄭和に大艦隊を率いさせてアフリカ東岸にまで威令を及ぼし、『永楽大典』という不朽の文化事業をなした。
    まさに中国史上屈指の英傑と呼ぶに足る男である。

    しかし一方で、暗さがつきまとうのもまた事実。
    甥である第2代皇帝・建文帝を滅ぼして帝位を簒奪し、宦官に大権を与えたことで後々の宦官跋扈の種を蒔いた。
    言ってみれば、永楽帝は大明帝国の光と影を一身に背負った皇帝だった。

    著者は、当時の中国の充実した国力・社会に潜むエネルギーと、永楽帝個人の積極性・雄才大略との相互作用によって生まれたものが、活気あふれる永楽帝の時代であったとする。
    「名君」よりも「英雄」という表現がふさわしい永楽帝は、明暗兼ね備えているからこそ強く輝く個性として映るのかも知れない。
    気宇壮大な側面の一方に猜疑心・残虐性を強く持っていたというのが、逆に、ある意味で人間らしい。

    波乱に満ちた生涯を送った永楽帝だが、評伝の類はかなり少ないそうだ(1996当時)。
    この本は原書の出版から40年以上経っているが、内容は古びていないと思う。文章も読みやすくておもしろい。中公文庫の中国史人物評伝の常で絶版だと思うが、オススメ。

  • 明王朝第3代永楽帝の伝記です
    ティムールや足利義満に関する言及もあり面白く読めました

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