中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.50
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本棚登録 : 3500
レビュー : 342
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122028401

作品紹介・あらすじ

青春の追憶と内なる魂の旅を描く表題作ほか6篇。著者初の短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 初短篇集。

    「午後の最後の芝生」と「土の中の彼女の小さな犬」が好きです。どこが、とかは上手く言えないけども…

    全体的になんだかよく分からない話が多くて、3回目だと思うけどだいたいどれも初めて読んだような気持ちで読みました。
    よく分からないから印象が定まらず、記憶に残らないみたいです。
    羊男の話が入ってたことも忘れてました。

    前半のお話より「カンガルー通信」以降の方がまだ読みやすくて、話に入っていけると思いました。
    まぁ、カンガルー通信もよく分からないお話でしたけど。
    このテープを貰った人のリアクションが気になります。

  • 村上春樹は10代~20代前半くらいにわりとはりきって代表作を読んだつもりだったのだけど、たぶんこれはすっぽり抜け落ちていました。今更80年代の初短編集を手にとったのは、これも小川洋子&クラフトエヴィング商会『注文の多い注文書』で「貧乏な叔母さんの話」パスティーシュを読んで興味が沸いたから。

    ある日突然、背中に謎の叔母さんが貼りついてしまう「貧乏な叔母さんの話」はやっぱり面白かった。貧乏といっても貧乏神のように憑りついた相手を不幸にするわけじゃなく、彼女を見た人の記憶に残る最も不幸な女性の姿を取るだけだ。今もどこかの誰かの背中を叔母さんが転々としているかも、と想像すると楽しい。

    羊男と私立探偵の「シドニーのグリーン・ストリート」は、子供向け媒体で発表されたもののせいか、可愛らしくて好きだった。当たり前だがセックスだのワギナだのって単語も出てこないし。

    つまりそれ以外の、二言目にはセックスの話をするところが今も昔も変わらず村上春樹で、もちろん人生や恋愛を語る上でそれは欠かせない要素ではあるわけだけど、なんかもうちょっと直接的じゃない言い方できないかな、というかいい加減「もうええわ!」とツッコミのひとつも関西人のおばちゃんは入れたくなるわけで。

    文学作品だし真面目に受け取るほうがバカだけれども、お客のクレーム返信にセックス連呼、あなたと寝てみたいと書く(言う)クレーム処理係の独白「カンガルー通信」なんかもうただのセクハラですからね。2019年の今この作品を発表する作家がいたら炎上するんじゃなかろうか。

    なんて、くだらないことに目くじらたててごめんなさい。好きな部分もいっぱいあるのだけど、なんというか、パクチーと同じで好き嫌い分かれるよねっていうか、全体としてお料理は美味しいのだけどそこにパクチー(露骨なセックスの話題)を乗せないでくれたら、もっと美味しくいただけるのにという感じ。

    ※収録
    中国行きのスロウ・ボート/貧乏な叔母さんの話/ニューヨーク炭鉱の悲劇/カンガルー通信/午後の最後の芝生/土の中の彼女の小さな犬/シドニーのグリーン・ストリート

  • 村上春樹 中国行きのスロウボート ほか短編集

    苦手なメタファー小説。タイトルの意味や テーマについて、解答があるなら、教えてほしい。

    小説に出てくる 音楽のチョイスは 好きだけど。こういうのが好きな ハルキストは 凄いと思う


    「 中国行きのスロウボート」
    近づきたいのに、距離が縮まらない 日本と中国の精神的距離感がテーマ? まだ間に合うという論調?

    「貧乏な叔母さんの話」
    貧乏から 抜け出したくても、抜け出せない自分がテーマ? 貧乏な叔母さん=自身の先入観、コンプレックス、誰からも評価されない自身の能力?

    「午後の最後の芝生」小説論?
    *記憶というのは 小説に似ている〜どれだけきちんとした形に整えようとしても〜最後は 文脈ですらなくなる
    *人間存在を〜純粋な動機に基づく馬鹿げた行為〜そして そこから 記憶が生まれ、小説が生まれる

    金なんていらないと思ったとたんに金が入ってくる

  • 1980年春から1982年夏にかけて発表された七つの短編が年代順に収められた村上春樹の最初の短編集。
    装丁が素敵なこの本はまた手に取ることになるでしょう。
    そのときのために、自分が今感じたことをエピソードごとに記しておきます。

    ●中国行きのスロウ・ボート
     少年が中国人小学校でしたことは、尊敬の手順を飛ばした仲良くなるための行為であってほしい。そして月曜の朝に登校した小学生がそれを見つけて笑ってくれることを願う。
    ●貧乏な叔母さんの話
     なんだかよく分からない
    ●ニューヨーク炭鉱の悲劇
     タイトルが不可解
    ●カンガルー通信
     タイトルは素敵。しかし、読む人が読めばストーカーの独白でしかない
    ●午後の最後の芝生
     飛び抜けて好きな話。ギラギラした太陽の下、さわやかな夏を感じる。個人的にちょうど日中の長さから夏の気配を感じたところで、夏の準備がしたくなる話。最後に芝を刈った家の女主人(ジブリ映画に出てきそうな)をキャスティングするとしたら、40歳代後半の小池栄子。
    ●土の中の彼女の小さな犬
     タイトルが残念。題名が話の着地点のようなもので、謎解き要素がほぼゼロだったからかもしれない。
    ●シドニーのグリーン・ストリート
     ご存知!羊男の登場。今回も損な役回りで、彼のことがだんだん不憫になってきました。

  • 中国行きのスロウ・ボート◆貧乏な叔母さんの話◆ニューヨーク炭鉱の悲劇◆カンガルー通信◆午後の最後の芝生◆土の中の彼女の小さな犬◆シドニーのグリーン・ストリート

  • 話よりリズム。
    よくわからなくてもすんなり入ってくる。
    小説と言えどもやっぱりリズムは重要。

    グッドリズムメイクグッドヴァイブス

  • ある雨の日に、ただホテルに泊まって朝ごはんを食べに行くだけの描写を、こんなに丁寧にねっちりと描くことができる作家さんが他にいるでしょうか?
    この短編集には7つの小作品が収められていて、他の本の読書の合間合間に1作品ずつ長い時間をかけて読みました。はじめの頃に読んだ作品はもう忘却の彼方です。はじめに戻ってそのうちにもう一度読みたいです。
    もうかれこれ20年くらい前に友達だった羊男に久し振りに会うことができました。村上さんありがとう☺︎

  • 再読日 19940205 11111111 19980828

    なんだかこの年になって読むと昔よりも格別によい。「午後の芝生」は格別の夏がある。「ニューヨーク」は今回発見したような感じがする。19980828

  • 最初期の短編集。「午後の最後の芝生」と「土の中の彼女の小さな犬」は間違いなくマスターピース。実際この二篇にはえらく共通している部分がある。山の手の高級住宅地の庭、彼女と別れたばかりの「僕」、大切なもの(あるときは娘や夫、あるときは犬)に取り残された女の人、職業的な勘で女の人の抱えている問題をぼんやりと言葉に置き換える「僕」、「僕」とその女の人とのささやかな関わり合いを通して二人の心の内にあった澱が取り払われること。以後の村上作品で取り扱われ続けるそういったテーマが詰まった短編である。「我々の日常生活はほとんど意味のない些細な動作の集積で成立している」。心に留めておきたい言葉だ。

  • 「カンガルー通信」が読みたくて、購入。

    独特の比喩が、分かるようで分からん!
    ブラームスとマーラーを間違えて買ったことを、レシートもなく一週間後に気付いた女性は、果たしてこのテープをどのように聴くだろう。
    いや、その前に、聴くのだろうか。
    そもそも、送られているのだろうか。
    村上春樹を読むと、無性に自分の文章に傍点を打ちたくなる。

    ただ、目的の「カンガルー通信」は思っていた話ではなかったんだけど、「中国行きのスロウ・ボート」に自分を重ねてしまった。
    私も、アジア系の女の子にどの地下鉄に乗ればいいか聞かれ、反対方向に向かう電車に乗せてしまったことがあった。
    その「グロテスクで意味のない間違い」は、確実に私の心に残っている。
    お互いに、何の悪気がなくとも、本当にふとしたボタンのかけ違いのような何かが積み重なって、気付けばハッキリとした間違いを描くことがある。
    こうすれば良かったとか、こういうことだったんじゃないかとか、自分なりに反省をするんだけど、あの時のしまった感は、彼女を大きく傷つけ、「あの人はわざとそうしたのではないか」という答えに導かれたのではないかという、しまったのような気がする。

    他のどの話も、やっぱり分かるような分からないような展開が待っていて、面白い。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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