富士日記 中巻 改版 (中公文庫 た 15-7)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 46
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122028548

作品紹介・あらすじ

並はずれて奇抜で誰も思い及ばぬ発想のなかで、事物の核心をすべて喝破する、いわば生まれながらの天性の無垢な芸術者が、一瞬一瞬の生を澄明な感性でとらえ、また昭和期を代表する質実な生活をあますところなく克明に記録する。

感想・レビュー・書評

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  • 下巻にまとめてレビュー

  • 最後の一文がとても好き

  • 中巻では、昭和41年10月から44年6月までの日記が収録されています。

    上巻に引きつづいて、地元の人びととの交流と、ときに意のままにならない出来事に対する著者の率直な感情がつづられており、おもしろく読みました。そして、愛犬ポコの死は、人の目に触れることを意識して書かれたものでない文章だけに、飾りのない著者の気持ちと事実の記述が胸にせまります。

  • 2020.7
    引き続き。生活そのもののおもしろさ。少し前はこんなに人はおおらかだった。ものもルールも情報も溢れて今はおおらかさは見えなくなってしまった。ギスギスしだした。自然とともにあるとおおらかに生きられるのかもしれないな。大事でしょ、おおらかさ。次は下巻。読み終わりたくない。

  • 見当たらないので再度購入

  • 文学

  • 上巻から引き続き、百合子さんの綴る富士の自然の情景が何とも美しい。ポコの死には思わずもらい泣きをしそうになるほど切羽詰まるものを感じました。あと何より毎回の献立がシンプルで美味しそうで為になる。

  • おいしいエッセー。流れるように文が書かれているので、スラスラと読めてしまい、ふと顔をあげて振り返ると「あれ、さっきの段落で何を読んだんだっけ?」って分からなくなるぐらい。それでもページをめくる手がとまらない。日本を生きる人の素敵な生活が垣間見れる夢の書だと私は思う。

  • 週末の旅行先で読もうと思って持って行ったのを、結局1ページも読まずに帰ってきてしまった。帰宅して疲れて何もする気が起きない状態でページを繰り始め、気が付いたら読み終えていた。特別面白い訳でも、はっとすることが書いてあるわけでもない、赤の他人の日記なのに、なぜこんなに夢中になってしまうんだろう。慣れない山暮らしののためどこかぎこちなさを感じた上巻に比べ、中巻はかなり土地にも人にもなじんできていて、こちらも肩の力を抜いて読むことができました。ていねいな暮らしの模範のようでいて実際はだいぶ適当なところも良い。

  • 変わらず面白い。外川さんの登場が上巻より少ないかな?

  • 再読 2016/04/01

  • 上巻に引き続き、読了。まるでその場にわたしも居させてもらえているような描写がやはり良かった。自然物に対する距離の取り方がサバサバしていて面白い。中巻と下巻の間にロシア旅行が挟まるので、下巻に行くか犬が星見たにいくか悩ましい。

  • 上巻にあります

  • 自然描写が面白い。

  • 中巻は昭和四十一年十月から昭和四十四年六月まで。

    山での生活にも慣れてきてリズムが出来てきた雰囲気。
    愛犬ポコの死はあまりにも唐突すぎて驚いた。

    夜中に出掛けた百合子さんを必死に探す泰淳さん。
    泰淳さんの体を拭いてあげる百合子さん。
    2人の関係がとても素敵。

    「ポコ、早く土の中で腐っておしまい」
    「お礼をこめて夕日に向って、一と踊り踊ってみせてやる」等
    きらめくフレーズがたくさん散らばっている。

  • 上巻では淡々としていた文体が、だんだん詩情溢れる文章に変化してきた。日記を読むということは、その人の人生を読むということなんだなあ。

  • 相変わらず百合子さん節が最高です。この終わりだと、次、下巻を読むべきく、犬が星見たを読むべきか、迷う!!

  • 天性の伸びやかな筆致で描かれた、富士山の麓での生活。普通の人が恥ずかしがって省くようなこともありのままに書かれていて、そこに書き手の強さを感じた。

  • ようやく上巻を読み終わって二冊目に突入。
    マーカー引きながら読みたくなるほどはっとする描写が散りばめられている。

  • 中巻 昭和41年10月~昭和44年6月まで
    上巻では花ちゃんだったような気がするけれど中巻では花子さんになった。ネットで検索してみると花子さんになっていた。私の思い違いかな。残念ながら確かめようにも手元に上巻が無い…。
    武田泰淳さん1912(明治45).2.12~1976(昭和51年).10.5
    武田百合子さん1925(大正1).9.25~1993(平成5).5.27
    武田花子さん1951(昭和26).10.31~

    ペットのポコちゃん~昭和42年7月18日死ぬ。今なら明らかに過失致死であるが、この時代ではこんなもんなんだろうなぁと思う。先人たちの失敗の経験に学び私たちは今、より安全に生活している。百合子さんが車で移動するとかなりの頻度で事故車や故障車両を見かける。今の時代、道路を走っても故障して路肩に止まっている車を見ることはほとんどない。半世紀で車の性能の進歩と運転技術の向上を、本を読んでいてすごく実感する。
    当初、小学生だった花子さんは高校生になり、両親が山へ行っている間東京での一人でのお留守番がすごく多くなる。この時代コンビニもないし、食事はどうしていたのかとても気になる。それらしいことは一切書いてないが家政婦さんでもいたのだろうか。それともちゃんと自炊していたのだろうか。見ていると娘を顧みずひたすら泰淳さんに付いて世話をする百合子さん。花子さんは寂しくなかったんだろうか。へたに兄弟がいない分強いのだろうか。

    『階段をラワンの虫が喰っているので、プープーをまく。』←本文より
    よくわからないけど なんだか可笑しい。他にも私の知らない『ゲイシャネズミ』(華奢な手をしているらしい)が時々出てくる。
    もっと可笑しいのは昭和42年1月だから花子さんは15歳ですね。彼女が家族と一緒に行った初詣、富士吉田の浅間神社でさんざん迷い、選んで自分で購入したお守りが『学業成就』と『安産』。思わず吹き出しました。なんで安産なんだーーーーwwwかわいい御守りだったんですかねぇ 
    もうひとつ、友人で作家の大岡昇平さんが奥様と愛犬デデ(コッカスパニエル6カ月)をつれ武田泰淳さんの山荘へ遊びに来る。泰淳さんが靴下をはいた足を組んでいると、その高い方の足先をデデが首を伸ばして噛む。喜んで噛む。泰淳さんが足を揺らすと更に喜んで噛む。しばらく黙ってみていた大岡さん いきなり「デデ!!それは汚ねえんだぞ」と愛犬に注意した。 物を噛むことの注意ではなく、衛生上の注意だったのが可笑しかったです。飼ったばかりの愛犬がなついて喜んでいたのでちょっとばかり親友に嫉妬したんでしょうかねぇ^^

    今回も楽しく拝読いたしました。

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著者プロフィール

武田百合子
一九二五(大正一四)年、神奈川県横浜市生まれ。旧制高女卒業。五一年、作家の武田泰淳と結婚。取材旅行の運転や口述筆記など、夫の仕事を助けた。七七年、夫の没後に発表した『富士日記』により、田村俊子賞を、七九年、『犬が星見た――ロシア旅行』で、読売文学賞を受賞。他の作品に、『ことばの食卓』『遊覧日記』『日日雑記』『あの頃――単行本未収録エッセイ集』がある。九三(平成五)年死去。

「2023年 『日日雑記 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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